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スペイン中に厳かな空気が漂う聖週間

27 4月
2010年4月27日

スペインでは聖週間(セマナサンタ)が終わったばかりで、
バレンシア州では復活祭(イースター)の休暇中です。
学生にとっては、ちょうど2学期と3学期の間にある春休みのような休暇に当たります。

さて、日本人は聖週間と復活祭を混同しがちですが、正確に言うとこれは別物です。
前者はキリストのエルサレム入城に始まる受難の1週間を指し、
後者は磔刑で亡くなったキリストの復活を祝うもの。
ただ、聖週間は枝の主日などと呼ばれる日曜日から始まる1週間で、
すぐ次の日曜日が復活祭に当たるため切っても切れない縁ではあります。
<ろばに乗ってエルサレムに入城するシーンをあらわしたキリスト像>

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なお、春分の日の後の最初の満月の次の日曜日が復活祭の日曜日になるため、
毎年日付が変わる移動祝日になります。

スペインでは特に聖週間を盛大かつ厳かに祝います。
普段は教会に設置されているキリストや聖母マリアの聖像がのった山車が担ぎ出され、
信徒やブラスバンドを従えて町を練り歩きます。
<KKK(クー・クラックス・クラン)を彷彿させる三角頭巾を被った装束姿の信徒>

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一番有名なのは、アンダルシア地方のセビージャでしょう。
数か月前でもホテルを探すのが困難なほど、多くの観光客で賑わいます。
実は私、このセビージャの聖週間が大好きで、今までに4回ほど見に行きました。
毎日いくつか信徒団の行列が、各々の教会と世界遺産に指定されている大聖堂の間を往復します。
教会の場所によっては、往復に10時間以上かかる行列も。

大勢のコスタレロ(担ぎ手)に担がれまるで歩いているかのように進む聖像をのせた山車、
ブラスバンドが奏でる厳かな音楽、フラメンコに似たサエタ(行列に向けて歌われる短い宗教歌)の響き、
涙を流す悲しみの聖母像の美しさ、感極まった表情で山車を見つめる敬虔な信者たち・・・
カトリック教徒でない私の胸を打ち、強く惹きつける何かがそこにはあるのです。

<特に人気の高いマカレナの聖母>

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<山車の下に隠れて担ぐセビージャのコスタレロ達>

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私の住む小さなこの町でも聖週間には毎晩行列が出ます。火曜日の夜は、
お気に入りのマリア様が家の前を通り過ぎる様子をベランダから眺めるのが好きです。
<残念ながら担ぎ手はなく、電動で動く山車>

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聖金曜日には町中の公式信徒団が勢ぞろいする長い長い行列があります。
今年は退屈する息子をなだめすかし、1時間半ほど見物。
マントを着て行列に参加する幼稚園のお友達の姿もちらほら見えました。

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<悔悛のために重い十字架を担ぎ、足首には鎖をつけて裸足で参加する信徒>

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バレンシアでは海岸近くのカバニャル地区の聖週間が有名です。
復活祭の日曜日の行列は、聖週間の厳かなものとは違って非常に明るいものでした。

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宗教の自由が認められ、宗教離れも進んでいるスペインですが、
毎年聖週間になるとやはりカトリック国なのだとつくづく実感します。
ミサやお祈りのために教会に行ったことのない、普段は大の肉食の夫でさえ、
聖金曜日には肉類は一切口にしませんからね(^^)

オルチャータの季節到来

19 4月
2010年4月19日

すっかり春めき、太陽の眩しいバレンシアです。オルチャータのおいしい季節になりました。

オルチャータとはバレンシア発祥の清涼飲料水。

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乾燥させたチュファ(カヤツリ草の一種)の地下茎と水、砂糖で作る乳白色の甘い飲み物で、
強いて言えば豆乳に似ているかもしれません。
メキシコをはじめとする中米で飲まれるオルチャータとは原料が異なります。

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<乾燥させたカヤツリ草の地下茎>

夏になるとスペイン各地のバルやカフェで飲め、スーパーで買うこともできますが、
やはり本場、それも自家製を出すオルチャータ専門カフェ(オルチャテリーア)で飲みたいものです。

原料のチュファの産地はバレンシア市に隣接するアルボラジャという町。
オルチャータという名前の通りには、かのサルバドール・ダリも訪れた有名な『Daniel』をはじめ、
何軒ものオルチャテリーアが並んでいます。

もちろんバレンシア市内にも自家製を飲ませるオルチャテリーアが多々あります。
私の友人で公式資格を持つスペイン人観光ガイドのイチオシは、
大聖堂に近いサンタ・カタリナ広場にある1836年創業の『El Siglo』

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すぐななめ前には、同じく老舗の『Santa Catalina』が店を構えています。
20世紀の初めにはスペイン国王の娘であるイサベル王女が数度にわたり来店したとか。
店内のマニセス焼きのタイル画は一見の価値あり!です。

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また暖かくなると、市内中心部にはこんなオルチャータ・スタンドもお目見えします。
私はここのファン(^^)

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ここ数年のスペイン食ブームで日本全国にスペインバルやレストランがあるものの、
オルチャータはなかなか飲めないようです。いえ、飲めると聞いたことがありません。
スペインに来る際にはぜひ試して頂きたいですね。
なお、ファルトンと呼ばれる細長いパンをオルチャータに浸しながら食べるのが、本場バレンシア流。
もしオルチャータを飲む時にファルトンがあれば、これも一緒にどうぞ。

華麗なる騎馬闘牛

15 4月
2010年4月15日

バレンシアの火祭りプログラムの一環として、今年も10数日に渡る闘牛の連続興業がありました。
闘牛というと、赤や青の生地にキラキラ光る装飾のついたきらびやかな衣装を着た闘牛士が
ピンク色のカポーテや赤いムレータで牛を操るシーンをイメージしますよね。

それ以外に、騎馬闘牛があることはご存知ですか? 闘牛士が馬上から牛に挑む闘牛です。
日本ではあまり知られていないようで、私もスペインに住むまでは知りませんでした。
もっとも普通の闘牛に比べると興業回数もわずかです。

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全力疾走する馬と闘牛のスピード感。スタイルがよく、手入れの行き届いた馬。
初めて見たときに、その躍動感と馬の美しさに感動しました。

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もともと闘牛といえば貴族や騎士が行う騎馬闘牛を指すものでしたが、
18世紀以降は馬を使わない徒歩闘牛が主流になったそうです。
徒歩闘牛同様、1回の闘牛で6頭の牛が使われ、3人もしくは6人の騎馬闘牛士が登場します。
これもまた同じように、手槍、銛、とどめの手槍の3シーンがあり、
騎馬闘牛士はシーンごとに違う馬を操ります。

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<6人の騎馬闘牛士の入場シーン>

アースカラーの渋い乗馬服に身を包んだ騎馬闘牛士は、
きらびやかな衣装をつけた闘牛士とは違った魅力があります
(中にはフリルのブラウスに刺繍がほどこされた長いジャケット姿の貴族風衣装を着る騎馬闘牛士も)

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<好きです、セルヒオ・ガラン(笑) http://www.sergiogalan.com/ >

そして何よりも騎馬闘牛士の華麗な馬さばきが一番の見どころでしょう。
とがった角で馬を刺さんばかりに追ってくる牛をうまくかわしたかと思えば、
牛を挑発するために馬を後ろ脚だけで歩かせたり踊るように操ったりと、まさに人馬一体。
また、牛に銛や手槍を刺す時に片手だけで手綱を持つのはもちろんのこと、
両手とも手綱から放して牛に挑むこともあります。

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騎馬闘牛士の華麗な技にどんなに魅せられても、傷つき息絶えて行く牛を見るのは心が痛みます。
闘牛というショーは、尊い牛の命を犠牲に成り立っていることを忘れてはいけませんね。

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<素晴らしい闘牛を披露した闘牛士を称える白いハンカチを振り、主催者に褒美を要求する観衆。褒美とは仕留めた牛の耳と尻尾。この数と出場回数で闘牛士のランキングが決まる>

11億5000万円が一晩で灰に・・・ 【2010年火祭り報告】

07 4月
2010年4月7日

スペインは欧州内でも特に深刻な不況に見舞われ、失業率は20%弱。
ここバレンシア州では全国平均を上回る24%とも言われています。
そんな中、今年も華々しい火祭りが開催され、バレンシア市及び隣接した
6つの町だけで焼かれたオブジェの総製作費は、成人・子供の部をあわせ
なんと9,415,126ユーロ(約11億5000万円!!)にものぼりました。
不況など気にせず、祭りに生きるバレンシアっ子の心意気を感じますね。

2月28日から始まったお祭りのメインは最後の3日間と言えるでしょう。
15日から毎晩1時に開催される花火大会のほかに、19日には火のパレード、
17、18日の午後には全ファジャ(火祭りグループ)による献花パレードがあります。
豪華な民族衣装を着た女性達がバレンシアの聖母に捧げる花束を手にして歩く様子は、
とても華やかです。

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<老若男女、ベビーカーに乗ったり抱っこされた赤ちゃんまでみんな誇らしげ>

捧げられた花束は、ビルヘン広場に設置されたバレンシアの聖母デサンパラードスの
巨大なレプリカの胴体を飾っていきます。

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<これは2004年の写真>

17日の午後にはオブジェの順位も発表されます。
製作費に応じて17の部門に分かれており各部門の中で順位が決まるのですが、
いつも注目されるのは特別部門。製作費が118,000ユーロ以上の大型オブジェで、
全部で13あります。今年はコンベント・ヘルサレンが1位の座に輝きました
(製作費300,000ユーロ、高さ22m)。

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ここは私のお気に入りのファジャで、去年も一昨年もここのオブジェが一番好きでした。
バレンシアの高級陶器人形メーカーLLADROの人形を彷彿させる繊細さがあるんですよ。

ここ数年財力から1位を独占し、新興住宅街の成金ファジャと陰口を叩かれていた
ノウ・カンパナルはこの倍の600,000ユーロを費やしましたが、今年は2位に終わりました。

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<火祭り公式サイトより>

ちなみに3位はここ。製作費180,000ユーロ、高さ18mのオブジェです。

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毎年日本人や中国人を模したニノット(人形)があるオブジェを見かけます
(日本と中国を混同していることも多々)。
今年はスペインにおける中国人ビジネスを風刺したものがいくつかあったそうです。

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<特別部門4位に入賞したオブジェには、バレンシア風の髪を結った大和撫子のニノットが>

イルミネーションの素晴らしさで有名なルサファ地区は、今年は例年にない力の入れ用でした。見てください、このまばゆい光、光、光。

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日本人観光客の多くは市役所広場や大聖堂のある旧市街を回られるようですが、
私がお勧めするのは一番イルミネーションがきれいでファジャが密集しているルサファ地区です。
最終日19日のクライマックスは、この地区にある高さ17mほどのオブジェ(特別部門10位)を
燃やすところを見学しました。
爆竹が鳴り響き花火があがった後、オブジェはあっという間に炎に包まれます。

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燃えるオブジェを見ながら涙を流すファジャのメンバー達もいるのですが、
その気持ちはきっとメンバーにしかわからないのでしょうね。

見学後、ワンブロックほど歩くとまさに燃え尽きる寸前の小ぶりのファジャが。
大小いくつものオブジェが立ち並ぶクーバ通りならではです。

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午前1時前。
あちこちで燃やされるオブジェの煙で町中がうっすらくもり、空からは灰がパラパラ。

700近いオブジェが燃やされた後は夜が明けるまでに清掃の人達が精を出し、
翌朝は火祭りなどなかったかのようにいつもの町に戻っていました。

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