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現代に続くイスラム軍とキリスト軍の戦い

21 5月
2010年5月21日

なーんて、タイトルをつけてみましたが、お祭りの話です(笑)
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スペインという国はまだ存在せず
ゲルマン系でカトリックを国教とする西ゴート王国がイベリア半島を支配していた711年、
突然侵入してきたイスラム王朝のウマイヤ朝はあっという間に半島の大半を征服してしまいました。
722年、北部に留まっていたキリスト教軍が蜂起し国土再征服を始めたものの、
最終的にイスラム勢力を完全に半島から追い出すまでに実に770年もかかりました。
イスラム教文化とキリスト教文化が融合した豊かなスペイン文化は、
711年から1492年の長きに渡るイスラム勢力の支配のお陰で生まれた次第です。

この何百年にも渡る戦いは、今はお祭りとしてスペイン各地に残っています。
その名もズバリそのまま“Moros y Cristianos(イスラム教徒とキリスト教徒)”。
記録によると12世紀には既にカタルーニャ州のレリダに存在していた大変歴史のあるお祭りです。
昔はスペイン全土で催されていたそうですが、現在ではスペインの東南部にのみ。
特にアリカンテ県において盛んで、年中どこかしらの町で行われています。

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私はスペイン東部に住んで8年経つもののまだこのお祭りを見たことがなかったので、
4月末にアリカンテ県のアルコイ、5月の初めにはアルバセテ県のアルマンサに見物に行ってきました。

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町によって多少の違いはあると思いますが、イスラム教徒の入城行進、キリスト教徒の入城行進、
そして両軍による戦闘があり、最終的にはキリスト軍が勝利するストーリーになっているようです。

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アルコイの“モロス・イ・クリスティアーノス”は特に有名なのですが、
私が行った時間はちょうどイベントがなく、楽しむことができませんでした。
プログラムを調べてから行かないとダメなんですね。
<今年のアルコイの“モロス・イ・クリスティアーノス”ポスター>

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アルマンサでは、お祭りに詳しい友人に案内されてキリスト・イスラム両軍のパレードを見物。
両軍ともコンパルサと呼ばれるお祭りのグループ5つから構成され(その中でも小さなグループに
分かれている)、それぞれがブラスバンドや山車を伴った大掛かりなパレードです。
人口3万弱の小さな町のどこからこんなに人がわいてくるの!?と思うほど多くの人が参加しており
延々3時間も続いたものの、数々の凝った衣装が目を楽しませてくれるので飽きることはありませんでした。

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ここでは、本物のお城を使った夜の戦闘シーンが見ものだとのこと。
まずはキリスト軍が守るお城にイスラム軍が攻め込んできて占領され、
翌晩の戦いでキリスト軍が再征服するそうです。ここにお祭りのPRビデオがあります。
(赤い衣装にひげをたくわえたキリスト軍の大使役は友人の義理のお父様です^^)

本格的ですね。お祭りというよりも、劇みたい。私もいつか見てみたいものです。

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が、よく考えてみると、スペインに住む大勢のイスラム教徒の人達は
このお祭りをどう思っているのでしょう。もしどこかの国で“日本と○○”などという
お祭りが盛んで、最後には日本が負けることがお決まりとなっていたら・・・。
うーん、あまり気持ちがいいものではないかもしれませんね。
そんなことを気にせずお祭りを楽しむあたりが、スペイン人のおおらかさなのでしょうか(^^;)

*付記*
スペイン語ですが、ここにこのお祭りがおこなわれている町とその時期の一覧があります。
アリカンテ県以外にイスラム教徒最後の砦があったグラナダ県でも盛んなようです。
http://es.wikipedia.org/wiki/Moros_y_cristianos

スペインが誇る食材No.1といえば・・・

19 5月
2010年5月19日

私が初めて訪れたスペインの地セビージャで、初めて目にしてビックリしたのがこれです。

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バルの天井からいくつもぶら下がった獣の足。気味悪いとさえ思いました。
実は、当時は中南米好きだったのでスペインに関する知識はほとんどなく、
これがスペイン名物の“ハモン(生ハム)”だとは知らなかったのです。
あれは14年以上前のこと。
今は輸入も解禁になり、日本でもスペインのおいしいハモンが食べられるようになりましたね。
ただ、スペインではごく身近な食べ物ながら、日本ではなかなかお高いそうで・・・。

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辞書やガイドブックには、生ハムはハモン・セラーノと書かれていますが、
これは白豚で作る生ハムの総称。さらに高級で美味なのは、スペイン西部の限られた地方でのみ
飼育されているスペイン原産の黒豚・イベリコ豚から作られるハモン・イベリコなのです。
白豚に比べ飼育に手がかかり(基本は放牧)、
2~4年と長い熟成期間を必要とするので、味だけでなく値段もあがります。
また、ハモンと呼ばれるのは後脚で、前脚を使ったものはパレタと呼ばれ、
ハモンに比べて熟成期間が短く脂肪も少なめです。
<市場で売られているハモン・セラーノ>

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このハモン・イベリコの中にもさらに4つのランクがあります。
最上級とされるのがハモン・デ・ベジョータで、どんぐり(ベジョータ)をメインに
食べて育ったイベリコ豚から作られます。薄切りの霜降りベジョータを口に入れると、
舌の上でトロっととろけるような濃厚な食感がたまりません!
サラマンカ県のギフエロやウェルバ県のハブーゴが産地として有名です。
<最高級のハモンを置いているセビージャ・トリアナ地区の小さなバル>

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その次が、肉質がベジョータに届かなかったり、
体重増加のために人工飼料を与えられたイベリコ豚からできたハモン・デ・レセボ。
お次は2007年に制定されたハモン・デ・セボ・デ・カンポで、
これは穀物飼料で育った屋外飼育のイベリコ豚で作られます。
そして、穀物飼料のみで育ったハモン・デ・セボ、と続きます。

生ハムは空気に触れると味が落ちるので、切り立てが一番美味!
ハモン・イベリコのような高級生ハムはナイフで切るため、
スペインにはコルタドールと呼ばれるハモン切りのプロまで存在するんですよ。

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さて、気になるお値段ですが、
スーパーや市場ならハモン・デ・ベジョータはキロあたり軽く100ユーロを超えます。
和牛の高さを考えたら、日本人から見るとそんなに高価なものでもないかもしれませんね。
一般のスペイン人は特別の日はハモン・イベリコ、ボカディージョ(スペイン版バゲットサンド)や
普段の食卓にはハモン・セラーノなどと使い分けをしています。

ところで、ハモンは日本への個人持ち込みが禁止されていることはご存知ですか?
お土産に持って帰れないのなら、スペインに来た時に思い切り食べようではないですか!
高級なハモン・イベリコよりもセラーノが好きだという人もいますので、
いろんな生ハムの味比べをするのも面白いかも。
<光り輝く最高級ハモン様>

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食事に美容に人気のカタツムリ

15 5月
2010年5月15日

フランスでカタツムリ(エスカルゴ)を食べることは日本でもよく知られていますが、
ここスペインでも人気のある食べ物だとご存知でしたか?
好き嫌いのほとんどない私ながら、これはちょっと苦手です。
意外なことに、日本でも昔はカタツムリを食べる文化があったそうですね。
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パエージャの本家本元バレンシアでは、ウサギ肉、鶏肉、インゲン豆、
そしてガラフォンという白く大粒な豆で作るバレンシア風パエージャに一緒に入っていたりします。

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ちなみにカタツムリ好きの夫いわく、
パエージャのカタツムリはいい出汁をとるために入れるので食べる必要はないとのこと。

そんな夫が好むのは、カタツムリの煮込みです。
行きつけのバルのおばさんが作るのはチョリソ入りで、スパイスがピリリときいた一品。

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なんでも正しい食べ方があるそうで、まずは丸ごと口に入れてチューと汁を吸い、
それを口から出し爪楊枝で身をクルンと取り出して頂きます。

バレンシアの中央市場に行くとうようよと動くカタツムリが山盛りで売られていますし、
スーパーでも冷凍物を扱っています。
先日友人が「子どもの時に雨が降った後はカタツムリをとりに行ったものだわ」と言うので、
「私もとって、家で飼っていたよ」と応えたところ、
「え? ペットってこと? 私はもちろん食べるためよ」と笑われました。
このようにカタツムリは身近な食材なのです。

カタルーニャ州のレリダ(カタルーニャ語ではリェイダ)では、毎年カタツムリ祭りが
開催されるほど有名な郷土料理。ここでは鉄板で焼き、アリオリソースをつけて頂くそうです。

アンダルシア州の田舎町では、ガラスのコップに透明な汁と一緒に入った
小粒なカタツムリを見ました(もちろん食べてはいません^^;)

地方によって食べ方は違ってもスペイン中で愛されているカタツムリは、なんと美容界でも人気者!!
カタツムリが這った後にはベタベタした粘液が残りますよね。
スペインや中南米では、baba de caracol(カタツムリのヨダレ)と呼ばれる
あの粘液を使った高級クリームが人気なのです。
なんでもお肌の再生に効果があるそうで、シワやシミをとり、ニキビや傷跡を消すと言われています。

そういえば、日本にもウグイスの糞なるゲテモノ美顔コスメがありますよね。

私はまだ美容クリームは試したことがないのですが(気になってはいます^^)、
今使っているハンドクリームは自然コスメのお店で勧められたカタツムリの粘液とアロエ配合のもの。
伸びがよくベタつかず、わりと効き目もあるようで気に入っています。

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スペイン旅行のお土産に、ちょっと変わったカタツムリ美容グッズはいかがですか?

エレガントで華やか! セビージャの春祭り

06 5月
2010年5月6日

つい先日、バレンシアの火祭り、パンプローナの牛追いと並んで
スペイン三大祭りに数えられているセビージャの春祭りが終わりました。
世界中から観光客が集まるため、ホテルを探すのが困難になるほど人気の高い
明るく華やかなお祭りです。私もこれまで3回ほど見に行きました。

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毎年聖週間が終わった2週間後の火曜日になる瞬間にお祭り会場の正門に電飾が点き、
次の日曜日まで計6日間に渡ってノンストップで飲めや踊れやの宴が続きます
(※来年のように移動祭日である聖週間が遅い年に限り、1週間後にスタート)。

会場内には約1000ものカセータ(仮設のお祭り小屋)が設置され、その中で食事やお酒を楽しんだり、
フラメンコによく似たアンダルシア民謡セビジャーナスを踊ったり。
お祭りでよく飲まれるのは、マンサニージャ(シェリー酒の一種)というお酒です。
なお、このカセータのほとんどは企業や家族、友達同士によるプライベートな空間で
招待客以外は入ることができません。それゆえ閉鎖的と批判する人もいるのですが、
もともとお祭りは観光目的ではなく地元の人が楽しむためのものだったわけですから仕方ないですね。
公営カセータもいくつかあるので、その中で飲んだり踊ったりすることができます。

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このお祭りには“昼の顔”と“夜の顔”があります。
まずは昼。明るいうちは馬の入場が許可されているため、
会場の通路には手入れの行き届いた美しい馬に乗りエレガントな乗馬服に身を包んだ人や、
飾りをつけた馬に引かれた馬車が行き交います。
男性はもちろん、シックな乗馬服を着た女性は上品でとても魅力的。
私はシャンシャンと鳴る馬の鈴と蹄の二重唱も好きです。
セビージャのあるアンダルシア州は名馬の産地でもあるんですよ。

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そして夜になると、会場内は電飾とカセータからもれる明かりで昼とは違った華やかさに。
飲んで踊って、宴は夜明けまで続きます。

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また昼夜を問わず、民族衣装をつけた女性達がお祭りの雰囲気を一層華やかに盛り上げます。
衣装や小物にもその年の流行があり、ここ数年はマーメイドラインが主流の様子。
セビージャ出身のモデルで元ミス・スペインのエバ・ゴンサレスは、こんな個性的な衣装で会場を
訪れていました。(写真はゴシップ雑誌DIEZ MINUTOSのサイトより: www.diezminutos.es/)

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フラメンコダンサーや歌手、闘牛士、サッカー選手など、有名人遭遇率が高いのも
このお祭りの特徴かもしれません。

まるでお人形さんのようにかわいい子ですね。

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フラメンコ留学に来る日本人が多いセビージャなので、衣装を着てバッチリ決めた
日本人の姿も見かけます。もちろん日本からこのお祭りに参加するためにわざわざやってくる人も。
民族舞踊のセビジャーナスが踊れると、より楽しい時間が過ごせることでしょうね。
Youtubeでこんな動画を見つけました。 http://www.youtube.com/watch?v=jLuj1onBQ3E

来年のセビージャの春祭りは5月3日から8日まで。ちょうどゴールデンウィークにかかっています。
ぜひともこのスペインらしい明るく華やかなお祭りを体感してほしいものです。

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