月別アーカイブ: 10月, 2010

繊細なポーセリンアートLLADRO(リヤドロ)の工房見学ツアー

30 10月
2010年10月30日

スペインが世界に誇るポーセリン(磁器)ブランドのリヤドロは、
1953年にバレンシア郊外のアルマセラという小さな町で産声をあげました。
農家に生まれ美術工芸学校で学んだ後、陶器工場で働いていたフアン、ホセ、ビセンテの
三兄弟が自宅の庭に窯を作り、繊細なポーセリンアートの制作を始めたのです。

<ベストセラーの『ロマンティックな朝』は高さ約30cm、日本での定価は525,000円>
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世界中で愛されているリヤドロのポーセリンは、
バレンシア市に隣接するタベルネス・ブランケスにある工場のみで生産されています。
先日、そこで行われている無料の工房見学ツアー(要予約)に行ってきました。
バレンシア市の中心、市役所広場から16番の市バスに揺られて約20分。
バス停のすぐ横におなじみのロゴが見えました。

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見学ではまず5分ほどのビデオを見ます。
日本語版はこれ: http://www.lladro.co.jp/company/index.html
それから原料となる3種類の石やクレイモデルを作る粘土、クレイモデルの簡単な説明。
そして見学用の工房では数ある製造工程の中から、鋳込み型に陶土液を流し込んだり
パーツを取り出す工程、成形とパーツの組み立ての工程、彩色を施す工程、
また色付きの粘土で細かい花をつくる工程を職人さんのすぐ横で見ることができます。

型に入れた陶土液の時間管理、型から出てくるパーツの精巧さ、フラメンコダンサーの
片手さえ2つのパーツを組み合わせて作られていること等々、驚くことがいっぱいでした。
<このフラメンコダンサーのパーツ組み立てを見学>

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一般的にスペイン人は細かい手作業が苦手だと言われていますが、
いるところにはちゃんといるのですね(笑)
緻密な手作業を見て、リヤドロのポーセリンの値段が張る理由もよーくわかりました。

ショールームを兼ねたショップでは、最新コレクションをじっくり見ることができます。
私はここで初めてハイポーセリンのコレクションを目にしました。
そのコンセプトは“究極のリヤドロ作品”。表現力や美しさ、技術的な完成度など、
すべてにおいて特に優れたもので、どの作品も制作数が限られているそうです。
中でも、リヤドロ史上もっとも複雑で、構想から完成までに5年の歳月を要した
『ナイルの女王』の美しさには圧倒されました。長さは約1.5m。パーツの組み立てには150時間、
彩色には400時間もの時間を費やしたとのこと。なんとお値段は120,000ユーロ(約1500万円!)。 限定品で100しか作っていないそうですが、いったいどんな人が買うのでしょうね。

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最近では、従来のクラシックなコレクションのほか、
若手アーティストとのコラボレーション等で新しいリヤドロの世界も生み出しています。
<マドリード生まれのデザイナー、ハイメ・アジョンとのコラボ作品>

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日本はリヤドロにとって重要で大きなマーケットだそうで、
こんな日本向けの作品も作られています。

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従来の外国人向けの日本をテーマにした作品とは違いますね。(これまでの日本人女性は、
中国人女性と混同されていたり、着物の着付け方や髪型に違和感がありました。)

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また、リヤドロにはリーズナブルなナオというシスターブランドがありますが、
最近ではこんなキティちゃんの作品まで作っているようです。

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これまで特にリヤドロ作品には興味がなかった私ながら、見学後は急にほしくなってきました。
そんな入門者にありがたいのが、見学工房の隣併設されているアウトレットショップ。
素人の目ではわからない欠陥を持ったB級品が半額以下で売られているんですよ。
ここは見学の予約なしに訪れることができます。私も近々ゆっくり買い物に行くつもりです。

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バレンシアにお越しの際には、
ぜひ世界一流のポーセリンアートを生み出すリヤドロの工房見学を!!

見学申込フォーム(英語、スペイン語のみ): http://www.lladro.com/company/book/
リヤドロ銀座本店公式サイト: http://www.lladro.co.jp/index.html

バレンシア的10月9日

22 10月
2010年10月22日

1238年10月9日はバレンシアの歴史上、記念すべき大切な日となりました。
8世紀からバレンシアを占領していたイスラム教徒を追い出し、
アラゴン王ハイメ1世(1208-1276)が現在のバレンシア市内に入城したのです。
よって、10月9日は“バレンシアの日”としてバレンシア自治州全体の祝日に
定められており、この日は州のあちこちでコンサートや花火大会などのイベントが催されます。

<青空にはためくバレンシアの州旗>
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幼稚園や小学校でもこの日が近づくとハイメ1世について学び、
前日には王冠にマントをつけて帰ってくる子供たちの姿を見かけます。
ハイメ1世は、バレンシアのほかにマジョルカ島、メノルカ島、
イビサ島からもイスラム勢力を一掃したこの辺りの英雄なのです。

<ハイメ1世の銅像>
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また、この日はバレンシアの恋人たちの守護聖人である
ディオニシスの日でもあります(バレンシア語ではSan Donis)。
今では商業主義の台頭とグローバル化で、2月14日のバレンタインデーの方が
すっかり有名になってしまったものの、一部の地域で伝統が残っています。

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ディオニシスの日が近づくと、ケーキ屋さんのウィンドーは
果物や野菜の形をしたマジパン(アーモンドの粉や砂糖、卵を使った練り菓子)や
スカーフで飾られます。マジパンがのったトレイをスカーフに包み、
愛する女性や母親に贈る習慣があるのです。

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由来について調べてみると、キリスト教軍がイスラム軍を倒しバレンシアに入城した際に
バレンシアの農民女性達がバンダナに果物を包んで兵士たちに贈った、ハイメ1世や延臣達を
迎えた人々がバレンシアの大地の恵みである野菜や果物を贈った等、諸説があるようです。

9日の日に私がケーキ屋さんでお茶を飲んでいると、
年配の男性数人がわいわいと連れだってマジパンとスカーフを買いに来ました。
このおじちゃん達にはバレンタインデーなんていう習慣は馴染みのないもので、
若い頃からずっと10月9日のディオニシスの日に女性に贈り物をしているんでしょうね。
とても微笑ましい光景でした。

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マサパンに並んで普段は見かけないパンのようなお菓子があったので、
お店の人に何を表しているのか聞いたところ、
「男性器と女性器よ」と笑いながら教えてくれました。
そ、そりゃ恋人たちの日ではあるけれど・・・(^^;) はい、これも伝統だそうなのです。

<これが女性器、男性器をかたどったお菓子>
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スペインの国民食ボカディージョ

12 10月
2010年10月12日

ボカディージョとは、パサついて太いスペイン版フランスパンに具をはさんだもの。
朝食と昼食の間に食べるアルムエルソの定番であり、
朝と夕方の子供のおやつの定番でもあるボカディージョは、
おにぎりのようにピクニックやビーチに持って行く食べ物でもあります。
また、お弁当として職場に持って行く人もいる、これぞスペインの国民食!

スペインに初めて来た頃はボカディージョの種類も知らず、
パサパサしたパンにバターも何も塗らず、チーズと頼めばチーズだけ、
生ハムと頼めば生ハムだけしか入っていないボカディージョは味気ない食べ物でした。

これはスペインオムレツのボカディージョ。中身はオムレツのみ。

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その後、スペインを知るにつれ、ボカディージョの魅力がわかってきました。
はじめてイカのリング揚げボカディージョを食べた時は
軽いカルチャーショックを覚えましたが、今では家で作ることもあります。
レタスとマヨネーズを加えるとより美味!
近所のお惣菜屋さんのメニューには、実に35種類のボカディージョがのっています。
私のお気に入りは、豚ロース肉にトマト、レタス、ベーコン、目玉焼き、
マヨネーズを挟んだ“チビート”と呼ばれるボカディージョです。
栄養もボリュームもたっぷり。1本は食べきれないので、いつも半分でオーダーします。

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“セラニート“という豚ロース肉と生ハム、素揚げピーマン、
トマトを挟んだボカディージョはセビージャ名物です。

ほかにも牛肉や鶏肉、スモークサーモン、イカ、などなど、ありとあらゆる食材を挟む
ボカディージョ。板チョコやチョコレートクリームを挟んだものもあるんですよ。

よくボカディージョを日本のおにぎりに例える人がいますが、そのバラエティ豊かな
点からすると、おにぎりどころか丼ものをも超えた存在だと思いますね(笑)

ここまでスペイン人の食生活に浸透したボカディージョは、
ファーストフード店となり全国展開もしています。有名なのはPans & CompanyとBOCATTA。
町中やショッピングセンター、駅など、至るところで目にします。

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ボカディージョにポテトフライ、飲み物がついたセットメニューがメイン。

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ハンバーガーショップのように写真が出ているので、
スペイン語が話せなくても注文しやすいですよ。

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Pans & Company http://www.pansandcompany.com/cas/index.html
Bocatta http://www.bocatta.com/movie.html

バロック期を代表する画家・ムリーリョ

01 10月
2010年10月1日

日本で知られているスペイン人画家というと、
ピカソやダリ、もう少し古い時代でゴヤやベラスケスが挙げられますが、
スペインではムリーリョを知らない人はいないほど有名です

私に絵画鑑賞の楽しさを教えてくれた恩人でもあります。

バルトロメ・エステバン・ムリーリョは、
スペインの黄金時代、1617年にセビージャで生まれました。
セビージャ派の巨匠であり、スペインのバロック期を代表する画家です。
主に宗教画を手掛けたほか、「乞食の少年」や「窓辺の女たち」等の風俗画も残しています。
1682年、カディスの修道院での制作中に足場から落下。それが原因で亡くなったそうです。
現在世界中にはおよそ300のムリーリョ作品があるとか。

<マドリードのプラド美術館脇にあるムリーリョの像>

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ムリーリョの描く幼子イエスはとにかく愛くるしく、聖母マリアは美しくやさしく清らかです。
信者でなくとも思わず手を合わせたい衝動に駆られます。
その昔貧しかった人々は、ムリーリョの描く宗教世界から信仰を訴えかけられたことでしょう。

世界でもっとも有名な美術館のひとつに挙げられるマドリードのプラド美術館には、
「エル・エスコリアルの無原罪の御宿り」をはじめ、ムリーリョの傑作の数々が
展示されています。ムリーリョは聖母マリアの純潔性を表す“無原罪の御宿り”というテーマを
何作も残していますが、私はこのあどけなくかわいらしいマリアが描かれた作品が一番好きです。
(自宅にコピー品を飾っています^^)
「小鳥のいる聖家族」には、父ヨセフにもたれかかり小鳥を手に犬と遊ぶイエス、
傍らで糸を紡ぐ母マリアの慎ましくも愛情あふれる生活が描かれています。
宗教画に詳しいわけではありませんが、
このようなかたちで親子3人の姿を描いた絵は珍しいかと思います。

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いとこ同士であったイエスと洗礼者ヨハネの幼き日を描いたこんなかわいらしい絵も。
(実際は、2人が初めて会ったのはヨルダン河でヨハネがキリストに洗礼を授けた時だとか。)

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生まれ故郷のセビージャにある県立美術館もムリーリョ作品の宝庫です。
昔の修道院を改装したこじんまりした美術館は建物自体も見ごたえがあり、
セビージャ観光でぜひ立ち寄って頂きたいオススメの場所。
ムリーリョの作品群は、天井が高く美しい旧教会棟におさめられています。

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セビージャには、大地震が起きた時に地元出身の聖女フスタと聖女ルフィーナ姉妹が
天から舞い降り、大聖堂のヒラルダの塔を支えて倒壊を防いだという言い伝えがあります。
これはその言い伝えを描いたもの。

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このモチーフの作品はゴヤやほかの画家達も残したほか、大聖堂のステンドグラスにもなっています。

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もっともっとムリーリョの絵画を紹介したいのですが、キリがありません。
というわけで、グーグルで“ムリーリョ”とキーワードを入れて画像検索してみてください。
ムリーリョの世界をのぞき見ることができますよ。(便利な時代になりましたね^^)

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