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禁煙大国になったスペイン

23 2月
2011年2月23日

私が初めてスペインを訪れたのは今から15年前のこと。多くのカルチャーショックを受けましたが、
その中でもハッキリ覚えているシーンがあります。それは、タバコの煙でうっすら曇ったバルの中、
ワインを飲む母親の傍らに置かれたベビーカーですやすや眠る赤ちゃんの姿。
日本だったらありえない!と驚いたものです。

話は少しそれますが、道端で知らない人に「タバコ持ってる?」と1本ねだる人がいることにも
驚きました。「火ある?」ならわかりますけどね。

<エスタンコと呼ばれるタバコ屋>
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とにかく、スペインはほんの数年前まで喫煙大国でした。レストランやバルはもちろん、バスや列車、
駅、職場、禁煙マークのあるところでももくもくと煙があがっていたものです。空港の荷物受け取り
ゾーンでは、禁煙マークがあちこちに貼られているにも関わらず、機内で我慢をしていた喫煙者達が
一斉にタバコに火をつけるシーンが印象的でした。

そんな禁煙事情が変わったのが、2006年1月に施行された禁煙法。飲食店、公共施設、駅、空港、
職場(禁煙室の設置も不可)での喫煙が禁止されるようになったのです。面積が100m2以下の
飲食店では喫煙か禁煙を選ぶことができ、100m2以上のところでは禁煙席と喫煙席を分けることが
義務付けられたものの、前者は客足が減ることを懸念し、禁煙としないケースがほとんどだったようです。

そして今年からさらに厳しくなりました!! 数年前の煙もくもく大国から一気に禁煙大国への
転身です。スペインに旅行に来る方はご注意くださいね。飲食店は全面禁煙になり、あらゆる屋内
公共施設での喫煙も禁止となりました。クラブやディスコでもです。

<ショッピングセンターのテラスにあった灰皿兼ゴミ箱。屋内公共施設内一切禁煙>
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また、子供が通う学校や子供用遊具のある公園内でも一切吸ってはいけないばかりか、半径200m
以内での禁煙を謳っています。子供をお迎えに来た親が門の前で煙をくゆらせることも、公園で
子供を遊ばせながら一服することもできません。嫌煙者の私ですら喫煙者が気の毒になるような
徹底ぶりです。

どうしてここまで厳しくなったのか? その理由のひとつに挙げられるのが、タバコが原因で
命を落とす人の数が年間5万人を下らないという現状。スペインでは公的医療は一切無料なので、
医療費の軽減も狙っているわけです。

さて、2011年1月からは飲食店やクラブ内で一切タバコが吸えないため、喫煙者はいったん
外に出て一服するようになり、それに伴う騒音が問題になっています。夜中に通りでタバコを
吸いながら大声で話す声や音がうるさく、近所の人の睡眠妨害になるのです。

一方、ホテル飲食店業界は新しい禁煙法で客足が遠のいたことに打撃を受けており、各地でデモが
行われています。飲食店でも屋外のテラス席では喫煙が可能なので、この寒い季節にもテラスに座る
人の姿が目立つようになりました。客足確保のためテラス用ストーブを設置する店が相次いでいるとか。

<バレンシアで行われたデモを報じる新聞記事>
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<テラス用のストーブのお陰で、冬でもテラスでお茶&喫煙可能>
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今回は観光や食べ物の話ではなく、ちょっと硬い現代社会事情をテーマにしてみました。
喫煙者の皆さま、屋外ではたいてい吸えますし、ホテルの客室は私的空間とみなされて
喫煙ルームを置くことが許されていますので、あまり心配されずにスペインにいらして下さいね。

ところで、タバコはスペイン語、ポルトガル語でもtabaco。
戦国時代にイベリア半島から日本に入ってきた言葉だとご存知でしたか^^?

テルエルの恋人達とサン・ペドロ教会

18 2月
2011年2月18日

テルエルの鉄道駅を出て、すぐに目につくのがネオムデハル様式のすばらしい大階段。
これを登ると旧市街です。

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大階段の中央にある大きな大理石のレリーフに描かれているのは、スペイン版ロミオと
ジュリエットともいわれる実際にあった悲恋物語“テルエルの恋人達”のワンシーン。

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日本人には馴染みがないものの、これまで数々の映画や小説、絵画、演劇、オペラの題材に
取り上げられるほどスペインでは知られた話です。シェークスピアのロミオとジュリエットは
この話からインスピレーションを得たとまで言うスペイン人もいるようですが、それは確かでは
ありません^^;

<プラド美術館所蔵のアントニオ・ムニョス・デグライン作『テルエルの恋人達』>
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時は13世紀のはじめのテルエルの町。幼なじみだったディエゴ・デ・マルシージャと
イサベル・デ・セグーラは成長とともに愛し合うようになり、将来を誓う仲でした。
しかし、イサベルは裕福な名家の生まれだったので、父親は没落した家系の貧乏なディエゴとの
結婚を許すわけがありません。5年間で富を手に入れれば結婚を許すという難題を突き付け、
ディエゴを悩ませます。当時のスペインはレコンキスタ(国土回復運動)の真っ最中。
ディエゴはイスラム教徒との戦いで名を挙げ富を得ることを誓い、町を出て行きました。

ちょうど5年の歳月が過ぎ、イサベルの父親を納得させるだけの富を得たディエゴは
愛するイサベルの待つテルエルに戻ってきます。ところがなんとしたことか、
イサベルはアルバラシンの名家の男性と望まぬ結婚したばかりだったのです。
なんとかしてイサベルの住む家に忍び込んだディエゴは一度だけでいいから唇を許してほしいと
願いますが、既に人妻となったイサベルはそれを受け入れるわけにはいきませんでした。
悲嘆にくれたディエゴは、その場で息絶えてしまいます。翌日、教会で行われた葬儀に参列した
イサベルは、冷たくなったディエゴの唇に口をつけると同時に、悲しみのあまりに息を引き取って
しまったそうです・・・

16世紀半ばに発見された2人の亡骸は、今日サン・ペドロ教会内の霊廟に並んで安置されています。
何百年経った今でも人々はディエゴとイサベルの悲恋物語を忘れることはありません。

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(棺の下の亡骸が少し見えるのがちょっと怖い・・・)

サン・ペドロ教会自体は14世紀に建てられたものですが、それ以前からあった塔はムデハル様式の
建築物として世界遺産に指定されています。

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また、19世紀末から20世紀初頭にかけてネオムデハル風の装飾がほどこされた教会内は
一見の価値あり。天井から壁まで、本当に見事に彩色されています。

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教会の中央はマリア様? ~マリア信仰の篤いスペイン

11 2月
2011年2月11日

キリスト教にはまったく馴染みがないままカトリック国スペインに来て、最初に「はて?」と
思ったのは、中央にマリア様が祀られている教会が多かったこと。私の乏しいイメージでは、
中央にあるのは十字架に架けられたキリスト像だったのです。それに、教会の中央に鎮座する
マリア像のきらびやかで美しいこと! 失礼ながら、中には官能的なマリア様までいらっしゃいます。
それまで抱いていたマリア様のイメージは、ひたすら清楚だったんですけどね^^;、
<セビージャの聖週間でお神輿のような山車で担ぎ出され、大聖堂へ向かうトリアナ地区のマリア像>
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この印象は、初めて訪れたのが特にマリア信仰が強いアンダルシア地方だったことも強く影響
していると思います。NKHの某番組では、セビージャが世界一篤いマリア信仰の伝統を持つ町だと
紹介されていたとか。

そのセビージャでも一、二を誇る人気でスペイン中に名を馳せるのが、マカレナ教会の希望の聖母。
ミサ以外の時間でも、教会には人の姿が絶えません。初めてみた時に、こんな美しいマリア様が
いるのかと一目ぼれして以来、非信者である私のお気に入り聖母です。

<マカレナ教会の中央は聖母マリア>
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<聖週間の時に担ぎ出される山車に乗ったマカレナのマリア像>
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マカレナと同等の人気を誇るのは、トリアナ地区の希望の聖母。

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こちらの方が母のイメージがありませんか? どちらも聖週間で外に担ぎ出された時には、大勢の
観衆から「グアパ(美人さん)!!」の掛け声が飛びます。山車に手を触れて涙を流すおばあさんの
姿を見ると、信仰の強さを感じ入ります。

ちなみに、1990年代後半に世界的にヒットした「恋のマカレナ」を歌った2人のおじさん
デュオ、ロス・デル・リオはセビージャ郊外の出身です。あのダンス、なつかしいですね。

プロテスタントでは認められていないものの、カトリックでは聖母マリアをはじめとする
聖人信仰が非常に盛んです。いわば、聖母マリアは数多いる聖人の中で頂点に立つ存在。
マリア信仰は4世紀ごろには既に盛んだったと言われています。キリスト教を広めるにあたり、
その土地土地に根付いていた大地母神信仰をうまくマリア信仰に変えたという説が有力だとか。
人種や宗教が違っても、やはり母の存在というのはおおらかでやさしく偉大なものなのですね。
マリア信仰に関係するのかどうか、スペインやイタリアではマザコン男性が多いような・・・^^;

日本カトリック司教団では、聖母マリアを『神ではなく、すべての造られたもののうち
最もすぐれた方』と定義づけています。聖母マリアを崇敬するのは、聖母が神の恩恵を特別に
お受けになった方だからだそうです。

日本人観光客も多く訪れるバルセロナ郊外モンセラットの山にある9世紀に創建された修道院には、
幼子イエスを抱いた黒いマリア像があります。これはカタルーニャ州の守護聖母として
何百年も篤い信仰の対象になっています。なんでも12世紀に近くの洞窟で見つかったものだとか。

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アンダルシア州ウエルバ県ロシオ村にあるロシオの聖母像はちょっとのっぺりしたアジア顔で
個人的に好感を持っています。高級ポーセリンブランドのリヤドロもこの像を作って販売しています。

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<サンルーカル・デ・バラメダの町中で見つけたロシオの聖母のタイル画>
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ブランカ・パロマと呼ばれるロシオの聖母像が発見されて以来、奇跡の村とされているこの地には、
毎年復活祭後50日目の日曜日に多くの信者が集まります。その日にあわせ、信者たちは、
セビージャ、ウエルバ、カディスなどの近県以外にマドリッドからも巡礼団を組んでやって来るのです。
フラメンコ調の華やかな民族衣装をまとい、砂ぼこりの中を馬や牛車に乗ってまたは徒歩で、
時にはそのまま橋のない川を渡り、途中途中で飲んだり歌ったり踊ったりしながら何日もかけて
ロシオ村を目指す巡礼の様子は、日本人の想像する巡礼とはまったく違ったもの。
ここでどんな感じなのか見てみて下さいね。必見!!

巡礼については、ここで詳しく読むことができます
http://www.esflamenco.com/scripts/news/janews.php?frmIdPagina=124

バレンシアの大聖堂の隣にある聖堂には、デサンパラードと呼ばれるバレンシア州の守護聖母が
います。特にバレンシアの地元民に圧倒的な人気を誇るのですが、私好みではありません。
(はい、信者ではないので、見た目だけで決めています。あしからず^^;)

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ほかにも、スペインの守護聖母と言われるサラゴサのピラール、スペインの黄金時代に全スペイン
世界の守護聖母と言われたグアダルーペの聖母など、スペイン中に有名なマリア様が何体もあります。
このように同じマリア様がいろんな名前で呼ばれているのは面白いですね。また、バルセロナには
モンセラット、サラゴサにはピラール、バレンシアにはデサンパラード、と各土地には守護聖母と
同じ名前の女性が多いことも私とっては興味深いカルチャーショックでした。

人気のあるマリア像はブロマイド等のグッズまで売られており、信仰するマリア様グッズを飾る
バルやタクシーを見かけることもあります。スペイン旅行の際には、皆さまもお気に入りの
マリア様を見つけるのはどうでしょう?

オーブンで作るお米料理 アロス・アル・オルノ

04 2月
2011年2月4日

スペイン料理といえば、パエージャが有名ですね。
(日本ではパエリア、パエリヤと呼ばれていますが、スペインでそう発音すると多分通じないと
思います。エにアクセントを置いてパエーヤ、パエーリャ、パエージャと発音しましょう^^)
パエージャは米どころバレンシアの郷土料理。ここでは、日本でポピュラーな魚介類や
イカ墨に限らず、本当にいろんな種類のパエージャを食べることができます。
また、直火でつくるパエージャ以外に、オーブンを使うお米料理もあります。
バレンシア県南部の内陸地方が発祥と言われるアロス・アル・オルノです。まさに私の住むあたり^^
ここハティバの町では、毎年アロス・アル・オルノ国際コンクールが開かれています。
もともとはコシード(スペイン各地で食べられる煮込み料理)の残りを使った料理だったとか。

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パエージャより簡単に作れるというので、先日ママ友宅で作り方を教わってきました。

<3人前の材料>
豚の厚切りバラ肉 : 適量
豚の耳: 適量(耳に限らず顔ならどこでもOK)
モルシージャ(血を使った黒い腸詰): 1本
豚の肉団子: 適量(ハーブや松の実を入れるとなお可)
トマト: よく熟したもの2つ
じゃがいも: 中1つ
ガルバンソ(ひよこ豆): お玉1杯くらい
にんにく: 丸ごと1つ
米: お玉3杯
オリーブオイル: 鍋底全体を覆う量
塩: 適量

量なのですが、大ざっぱですみません。言い訳するわけではありませんが、
スペインのレシピは日本に比べると大ざっぱです^^; 写真でだいたいの量を見て下さいませ。

<作り方>
鍋底全体を覆う量のオリーブオイルを熱し、外側の皮を剥いただけのにんにく丸ごと一個、
一口大に切ったバラ肉、耳を炒める。

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①の鍋から火がよく通ったものを取り出し、代わりに肉団子、じゃがいもを入れて焼く。

肉団子とじゃがいもに火が通ったら取り出し、肉類を戻す。そこにすりおろした
トマト1つ分を入れ、中火で煮立てる。

③の鍋にお玉7杯分の水、ひよこ豆、塩を入れ、約15分中火にかける。

その間に土鍋にお米を入れ(スペインでは洗いません)、その上にモルシージャ、
輪切りにしたトマトとじゃがいも(各1つずつ)、鍋から出しておいた肉団子を並べておく。

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④の味見をし、足りなければ塩を追加。ややしょっぱめにしておく。
それからまず鍋から具だけを取り出し土鍋の上に並べ、出汁はお米のちょうど2倍量注ぐ。

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200度に温めておいたオーブンに入れ、約45分。温度は途中で190度、その後180度に。

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時間になったらオーブンを開け、お米の炊け具合をチェック。水分が完全に飛んでいれば
出来上がり。ここで水分がないのにお米が硬かったら、⑥の時点で残った出汁を入れて
もうしばらく焼く。

この日の出来上がりが一番最初の写真。脂がたっぷりでカロリーは高いですが、おいしいです。
材料が手に入るようなら、ぜひ作ってみて下さい。パエージャ用着色料やサフランを使うと、
おいしそうな黄色いご飯に。具には、一口大の骨付き豚リブ肉、豚の脂身、また大根を使うことも。
あります。食べる時には、にんにくの中身やモルシージャ、トマトはつぶしてご飯に混ぜるとグー。

ちなみに、これは行きつけのバルのおばさんが作るアロス・アル・オルノです。
トマトやじゃがいもは使わず、骨付きのリブ肉がゴロゴロ。
山間のおばさんの村では、このバージョンがポピュラーだとのこと。

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最近では、日本のスペイン料理屋さんでも食べられるところがあるようですが、
やはり本場で食べて頂きたいものです^^

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