カテゴリー: 観光

カーマニア必見!ヘレニック・モーター・ミュージアムが開館

07 4月
2011年4月7日

3月2日、メトロの駅のオモニア駅、イサプのヴィクトリア
駅の近くに「ヘレニック・モーター・ミュージアム」がオー
プンしました。建設業を営むギリシャ人、テオドロス・ハラ
ギオニス氏の貴重なカーコレクションで、19世紀末、20世
紀初頭の古く希少な車両も豊富。マセラッティ、ロールスロイ
ス、メルセデス、フェラーリなど、ヨーロッパの歴史あるメー
カーの素晴らしいコレクションを一堂に展示した見ごたえの
ある博物館です。俳優ポール・ニューマンが所有していた
メルセデスSLも展示されています。 続きを読む →

マラソン競技発祥の地・マラトンの考古学博物館

01 11月
2010年11月1日

マラソナス(マラトン)はアテネの中心部から約40km
ほどに位置し、紀元前490年、ペルシャ戦争における
「マラトンの戦い」の戦場として有名になった地です。
この戦いの勝利をアテネに伝えるべく42.195kmを
ひた走った伝令フィディピディス。彼は勝利を伝え終
えた後、息をひきとったという伝説があります。この
話については史実なのか伝説なのか?、史実だとして
も諸説あるようですが、近年、彼が走った距離はもっ
と長かったことなどがわかってきたようです。

何はともあれこのお話に基づき、オリンピックのマラ
ソン競技の規定距離が決められました。今でもアテネ
市内、アンベロキピには、この伝令の名に因んだフィ
ディピドゥ通りがあります。

このマラトンからアテネへ、オリジナルマラソンコースを
走る「アテネ・クラシック・マラソン」、ことしはなんと
2500周年記念大会となりました!(10月31日開催)。
その様子はもちろん、ブログでアップしていきますが、
まずは大会の前に備え、マラトンの地のいろいろな遺跡
や博物館を改めて訪ねてみました。

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上の画像はマラトンの考古学博物館。こじんまりした博物館
なので、今まで行ったことはなかったのですが、展示内容は
なかなかのもので、とても見応えがありました。ギリシャ系
アメリカ人の富豪、エフゲニオス・パナゴプロス氏の多大な
寄付によって1975年に建てられたもの。2004年に改装工事
をして、展示内容もかなり整えられ再オープンしたそうです。

紀元前2000年から200年くらいまでというなんとも幅広い時代
に渡る貴重な展示物があります。たくさんの展示物がありますが、
博物館の入口で、エジプトからの彫刻群以外はフラッシュなし
なら撮影が可だと言われたので、印象に残ったものを一部ご紹介。

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上の画像は幾何学様式のジュエリーボックス。紀元前8世紀のも
ので、底まできめ細かく美しい文様が施されているので、鏡が
設置され、底面も見えるように展示されています。

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次は男性の彫像ですが、おそらくマラトンのハラドゥロス川の化身
ではないかと推察される大理石像です。2世紀ごろのものですが、
衣服のひだや皮膚、筋肉がリアルに表現されています。

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時代ごとに部屋が分かれていますが、期待以上に素晴らしい
展示物ばかりで、見応えも十分。しかもアテネの都心にあるような
博物館や美術館と比較すると格段に空いているので、じっくりと
素晴らしい古代彫刻を眺めることができます。

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上の画像はとても貴重な展示物。マラトンにあった大富豪イロド・
アティコスの邸宅の門構え(アーチ)の一部です。イロド・アティ
コスと言えば、亡き妻の記念にと、アクロポリスの丘にあるイロ
ド・アティコス音楽堂(161年建立)をまるごとアテネ市に寄贈
した人物。音楽堂は約5千人以上収容の巨大な施設で、何度も
修復されている遺跡とはいえ、現代も立派に機能し、音楽や演劇
などの祭典が開催されています。イロド・アティコスの邸宅
の一部がごろっと展示されているところもさすがギリシャです!
その他、展示室5には200年ごろのエジプトの見事な彫刻群
がありますが、ここだけはフラッシュなしでも撮影が禁じら
れていますので、ご注意ください。

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博物館の隣には、紀元前2000年から1200年ごろにかけての
古墳(塚)があります。考古学上、重要なこの敷地を保存する
ために1970年に屋根だけがつけられましたが、2003年には
完全に建物内に収まり、階段や踏み板も整備されました。古
墳をぐるっと囲むように、スロープや階段があり、少し高い位
置から古墳全体を見渡すことができるようになっています。

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尚、上記の博物館と古墳から約2kmほど離れたところには紀元前
3200年~2700年の古墳(塚)もあり、こちらも屋内にまるごと
保存されています。訪ねた日はこちらの建物は開いていませんで
したが、ガラス越しに見ることはできました。

マラトンの地には、他にもマラトンの戦いの戦死者を祀る塚や、
牧羊神パンの洞窟など、歴史的に興味深いスポットが多く点在
しています。アテネからマラトンに向かう中距離バスは、メトロ
(イサプ)の緑のライン、ヴィクトリア駅近くのアレオス公園
(マヴロマテオン通り)から出ています。見所はたくさん
あるので、数人で訪ねるならタクシーを使って回ってもいい
かもしれませんね。特に博物館は小さいからといってあなどれ
ません。私が訪ねた日は無料でしたが、大人3ユーロ、学生や
外国人、65歳以上は2ユーロ。博物館のチケットでマラトン
に点在する全ての歴史的スポットに入場可。ギリシャの悠久の
歴史に興味のある方はぜひ訪ねてみてください。

マラトン考古学博物館
TEL  : 22940 55155
開館時間: 8:30~15:00 月曜休館
※小さい村なので住所は特に表記なし。夏場は
18時まで開館する場合もあり。事前に要確認。

アテネ 冬の日曜日は無料で遺跡や博物館へ!

03 12月
2009年12月3日

ギリシャの日曜日は、観光地を除き、ほとんどの店が閉まってしまうので、ショッピングはできません。日本のように、いつでも夜遅くまで店が開いている便利さに慣れてしまうと、不便に思えますが、日曜日位はリラックスして、ちょっと別の物に目を向ける良い機会かもしれません。

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アクロポリスのパルテノン神殿

ギリシャで冬場(11月~3月)の日曜日のメリットは、主要遺跡や博物館が無料になること!
特に、アクロポリスの共通チケットは通常12ユーロ、国立考古学博物館のチケットは7ユーロですから、かなりのお得感があり、お勧めです。古代アゴラ、ゼウス神殿、ケラミコス、ローマンアゴラなどの遺跡も無料なので、散策すると楽しいですよ。また、冬場の日曜日以外にも、下記のように入場無料の日が色々ありますので、利用してみて下さいね。
(私設の博物館など、例外もありますので、ご注意下さい。)

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国立考古学博物館の展示

主要博物館・遺跡入場無料の日
<冬場の日曜日>
11/1~3/31の毎週日曜

<春・秋の第1日曜日>
4、5、6、10月の第1日曜日(第1が法定祝祭日の場合は第2日曜)

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ゼウス神殿

<各種記念日・祝日>3/6 メリナ・メルクーリ(前文化大臣)記念日
4/18 世界遺跡の日
5/18 世界博物館の日
6/5  世界環境の日
9/27 世界観光の日
9月最後の土・日曜日: ヨーロッパ文化遺産の日
その他 ギリシャ法定祝日

パトモス島とトルコのクサダシ

18 10月
2009年10月18日

クルーズ船の寄港地について書いてきましたが、今回で最終回です。もう、クルーズの季節もそろそろ終わりですね。3泊4日のクルーズのうち、パトモス島は早朝の到着で停泊時間も短いため、寝過ごして見逃す人も多いかも知れませんが、せっかくの機会を逃さずにしっかり見ておきたい島です。

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ドデカニサ諸島の中で最も北にあるパトモス島は、聖書の「ヨハネの黙示録」が書かれた場所として有名です。今でもキリスト教の巡礼者が絶えない島ですが、あまり栄えているとはいえない感じの静かな島です。一番の見所は、使徒ヨハネが神の啓示を受けたとされる洞窟。ヨハネは、現在のトルコのエフェソス地方でキリスト教を広めたという理由でローマ皇帝から追放され、95年にパトモス島に住み着きました。ヨハネが当時住んでいたという隠れ家の洞窟は、狭くて天井も低く暗い印象です。ヨハネが寝起きし、執筆をしたという場所が残っていて、今では毎日のように中でミサが行われています。神の啓示を受けたという場所の岩の天井には、その衝撃のために3つに裂けた、三位一体を象徴する3本の割れ目が残っています。ユネスコの世界遺産にも登録されていて興味深い場所ですが、中の撮影は禁止されています。(下の写真は、洞窟の入り口)

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そして、その洞窟よりも上方、丘を登りきったところに、城塞のような堅牢な造りの聖ヨハネ修道院があります。この修道院は、1088年にヨハネを記念して建てられた修道院で、堅固な見かけとは違い、一歩中に入れば花の咲き乱れる中庭があり、美しく魅力のある場所となっています。ビザンティン時代の壁画やイコンが残り、資料館には、宝石、エル・グレコのオリジナル絵画、古文書、聖書原本の一部のページなど、貴重な資料が残されています。

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この修道院に登ると、パトモスの首都・ホーラと呼ばれる市街、小さな島々が浮かぶエーゲ海、複雑な入り江が見渡せ、静謐で神聖、清々しい気分になる独特の雰囲気を持っており、さすがキリスト教の聖地と言われるところだなと実感します。

パトモス島は雨が少ないため、冬場の降雨を屋根の上で集め、地下に貯蔵する仕組みの建築様式が特徴的で、シンプルな四角いマッチ箱のような家並が調和を見せています。キリスト教の聖地であることから、男性のみの神学校も設立されています。

クルーズ船最後の寄港地、トルコのクサダシは、クルーズ船の着く港の周りに繁華街があり、トルコの名産である繊細で魅惑的な手織りの絨毯、革製品、貴金属の店がそこかしこに見られ、目を奪われます。

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でも、一番の見所は、オプションツアーで別料金になりますが、バスで1時間弱のエフェソスの遺跡。そこには、女神アルテミスの神殿と共に発展した古代都市の遺跡が壮大な規模で残っており、当時の街の繁栄の様子が手に取るように分かります。中でも壮麗な図書館の建物は圧巻。

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他にも「聖母マリアの家」などの見所があります。トルコの観光地なので詳しくは書きませんが、クルーズ船に乗ったら、是非、行く価値のあるところです。

中世の街並とヨハネ騎士団の島、ロドス島

15 10月
2009年10月15日

引き続き、クルーズで行った島のご紹介をしています。
3泊4日のクルーズ船の寄港地で、一番長く滞在できるのは、ロドス島です。早朝から夕刻まで、ほぼ丸1日あるのですが、遺跡、博物館、旧市街と新市街、ビーチなど、見所が多いので、どれを優先するか迷うところです。ロドス島は、東エーゲ海に浮かぶドデカニサ諸島最大の島で、ミコノス島やサントリーニ島と並び、年間80万人以上の観光客が押し寄せる人気のリゾート地です。トルコや小アジアに近いという地理的条件があったため、古代から侵入者が入り乱れる波乱万丈の歴史を繰り返してきました。そのために、歴史的に重要かつ興味深い建築物も多く、ユネスコの世界遺産にも指定されています。美しいビーチはもちろん、歴史と自然とを、両方を満喫できる貴重な場所となっています。

島の中心部はロドス・タウンと呼ばれますが、中世の街並をそのまま残した城壁に囲まれた旧市街と、近代的なホテルや瀟洒なカジノが並び、ビーチリゾートの雰囲気を満喫できる新市街とに分かれています。新市街の港に立つ鹿の像は、ロドス島のシンボルともなっています。

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港からすぐの旧市街は、まず、その城壁の重々しさに圧倒されます。というのも、ロドス島は、昔ヨハネ騎士団の軍事拠点だったからです。ヨハネ騎士団とは、中世の時代に、聖地エルサレムへの参拝者を保護するために作られた宗教的・軍事的な団体です。騎士団が13世紀にトルコ軍により聖地から追われた後、移り住み、軍事拠点として選んだ土地がこのロドス島です。要するに、対トルコの軍事基地だったわけですから、その堅牢な要塞の雰囲気がそこかしこに残っているわけです。それにしても、城壁の窓から見える海は、一幅の絵ですね。

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歴史的な見所は、やはり城壁に囲まれた旧市街。旧市街に入るには、重厚な門がいくつもあります。
旧市街の見所はたくさんありますが、まず見逃せないのが騎士団長(グランドマスター)の宮殿です。
当時、聖ヨハネ騎士団の歴代団長が居住していた宮殿ですが、要塞としても使用されたため、外壁には銃を撃つ小窓が作られています。

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1856年の火薬倉庫爆発によって崩壊したものの、ムッソリーニなどの夏季別荘としてイタリア人によって再建されたものが現在にまで残っています。外観は、オリジナルにできるだけ忠実に再現され、中庭を囲む四角い要塞のような形。内装は、再建当時の贅を尽くしたものになっており、海外の宮殿から集められた家具や調度品、ヘレニズム期、ローマ時代のモザイクの床(ライオン狩りの場面が有名)など、どれも見応えがあります。

この宮殿の隣の通りが、中世にタイムトリップしたような気にさせる、ちょっと暗くて圧迫感のある騎士団(イポトン)通りです。

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当時のヨハネ騎士団は、出身地によって7つのグループに分けられており、それぞれの語族(プロヴァンス語族、スペイン語族、フランス語族、イタリア語族等)がこの通り沿いにそれぞれの「館」を所有していました。この「館」は15―6世紀のゴシック様式の建築で、石畳の道を歩いていくと、中世の騎士の姿が飛び出してきそう気になります。

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そして、この通りの最後が、当時は騎士団の病院だった建物。現在は島からの出土品を集めた考古学博物館となっていて、先史時代やミケーネ時代の土器、アルカイック期やヘレニズム・ローマ時代の彫刻など、優れた芸術品を鑑賞することができます。髪を持ち上げた姿の優美な「ロドス島のアフロディーテ」像は必見です。

時間があれば、古代都市の一つであるリンドス観光もお勧めです。ロドス・タウンから南に50キロほど離れた場所、車輌進入禁止になっているこの小高い丘の上に、リンドスのアクロポリスの遺跡があります。夏場に徒歩で上るにはちょっときついですが、ロバのタクシーも良い思い出になりますし、頂上からの眺めは最高!エメラルドグリーンの海の色は、息をのむほどに美しいです。このアクロポリスには、当時アテナ女神に捧げられた神殿があり、ドーリス式の円柱や台座がその名残として残っています。現在ある神殿は紀元前4世紀のもので、当時、中には金と象牙で作られたアテナ像が祀られていたそうです。

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ロドス島も、クルーズで1日立ち寄るだけでなく、是非、時間をかけてまた訪れたい場所です。

エーゲ海の真珠、ミコノス島

05 10月
2009年10月5日

今日は前回記事にしたクルーズ船の停泊地、ミコノス島の紹介です。クルーズだと、夕方から夜のほんの数時間の滞在なのですが、正にギリシャの島のイメージそのもの!とも言えるこの島は、できれば、夏なら2-3泊はしたいところ。

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エーゲ海に浮かぶミコノス島は、この数十年の間に、世界中から観光客が押し寄せる超人気の島となりました。約40程の島からなるキクラデス諸島の中の一つで、ファッショナブルな人達やゲイが集まるところとしても有名です。キクラデスという名前は、聖なる島・デロス島というミコノス島近隣の小島を中心に、島々がキクロス(円)を描いて散らばっていることに由来しています。

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照りつける太陽と透き通る紺碧の海、個性豊かな数多くの美しいビーチ、海と空に映える白い家並み、ランドマークともいえるカト・ミリの風車、センスの良いおしゃれなブティック、おいしいシーフードレストラン、若者に人気のナイトライフ・・・夏のミコノスは、昼も夜もホットな島です。
港の前に広がるミコノス・タウンは、ワクワクが一杯詰まった場所です。鮮やかなピンクのブーゲンビリアに彩られた迷路のような細道は、車は通れず、迷子になりながらブラブラ散策するのも楽しみ。おみやげ物屋さんを冷やかしたり、リゾートにぴったりな服やアクセサリーを探したり、青や赤の屋根が可愛らしい教会をのぞいたり、路上の猫と戯れたり、海辺のカフェで夕日が落ちるのを見つめたり・・・日頃の疲れがとれて、体も心もリラックスしていくのが分かるでしょう。ちなみに、夕日の名所は、リトルベニス。イタリアのベニスに似てる??ことから名付けられたのでしょうが、その真偽はさておき、ここからの夕日は最高!左側には名物の風車も見え、海辺のカフェやタベルナに座り、のんびりと暮れなずむミコノスの夕景を堪能するのも旅の醍醐味です。

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昼間は、ビーチホッピングも楽しみ。バスやボートを駆使して、アギオス・ヤニス、オルノス、プラティス・ヤロス、プサル、パラダイス、スーパーパラダイス・・・などのビーチを巡って、お気に入りのビーチを見つけるのも良いですね。ビーチによってかなり雰囲気が違い、水はあくまでも澄んで美しく、真夏でも冷たく、魚が泳ぐ姿も見られます。

夏のミコノスは、夜になると、また活気づいて、別の顔を見せます。深夜まで営業する店も多く、バーやクラブからは、若者向けの騒々しい音楽が流れ、日焼けしたおしゃれな人たちが闊歩する白い石畳の迷路は、独特のヨーロッパリゾートの雰囲気を持っています。

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また、時間があるならば、ボートに乗って小一時間で行ける、お隣の遺跡の宝庫、デロス島もお勧め。小さな無人島ですが、太陽神アポロンと月の女神アルテミス(双子)の誕生した場所とされ、古代、エーゲ海の中心地として繁栄していたので、デロスのシンボルであるライオン像を始め、島全体が遺跡とも言える、大変貴重な島です。ユネスコの世界遺産にも指定されています。

ちなみに、私がミコノを初めて訪れたのは12月の冬真っ盛り。大雨、強風で、歩くのもままならない天気で大ショック!冬場は天気も悪いことが多く、おまけに店もホテルもたいてい閉まっているので閑散としてもの寂しく・・・ですから、冬場は避けた方が良いかも知れません。また、ミコノスの象徴ともいえる白い町並みも、夏のシーズン前に毎年塗り替えられるため、シーズンオフの冬場はくすんで見えるのです。でも、この冬があるからこそ、街が息を吹き返す夏の光と賑わいが、愛おしいものに思えます。
ギリシャに滞在していた作家の村上春樹が書いた「遠い太鼓」「スプートニクの恋人」などを読むと、ギリシャの島のイメージが浮かびますので、旅の気分を盛り上げるのにお勧めです。

憧れのエーゲ海クルーズ(その1) 

19 9月
2009年9月19日

「エーゲ海」・・・その言葉の放つ魅惑的な響きとイメージは、人を夢と空想の世界へいざないます。紺碧のエーゲ海に浮かぶ島々を回りながら過ごす優雅なクルーズと言えば、一生に一度は経験したいと思う方も多いのではないでしょうか?でも、「値段が高い?船酔いは?食事は?言葉は?ドレスコード(服装)は?」など、色々な疑問や不安もありますよね。

実は、私もギリシャに長く住んでいるのに、なんとなくクルーズというと高すぎて手の届かないイメージがあって敬遠していたのですが、この夏、初めて3泊4日のお手軽クルーズをしてきましたので、皆さんがお持ちではないかと思う疑問について、体験談をご紹介します。私の経験による独断ですが、ご参考になればと思います。

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1)値段は高い?
今回のクルーズは、キプロスのルイス・クルーズ社が運航するもの。ルイス社は、ギリシャのピレウスやイタリアのジェノバなど4港を拠点に、エーゲ海・地中海クルーズを運航し、短期から長期クルーズまで、多彩な日程とコースがあります。私が乗ったクルーズは、ミコノス島、ロドス島、パトモス島、トルコのクシャダシを巡るショートクルーズ。ルイス社保有の客船11隻のうち、今回の船はアクアマリン。フィンランド製23トンの中古船で、最大乗客数は1200名ほど。内装は、華美な豪華客船というイメージはあまりなく、気軽に利用できます。値段は、時期、キャビン(部屋)の広さや場所、種類によってかなり幅があるようですが、我が家は「1家4人が一部屋に眠れれば良い」ということで、窓なし、シャワーとトイレ、二段ベッドとダブルベッド付きの質素なキャビン。床のフリースペースは一畳ほどしかないので、かなりきつい印象ですが、引き出しやクローゼットが充実しているので、スーツケースから物を出して整理整頓すれば大丈夫。この安いキャビン(部屋)なら、クルーズ料金にホテル代、全食事代、交通費、船内アクティビティー代が含まれていると思えば、普通に旅行するのと変わりないような値段です。下の写真は、窓付きツインのキャビンです。

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はじめは基本料金の安さに逆にびっくりした位なのですが、それほど人生は甘くありません。高いのは寄港地のオプショナルツアー。限られた時間で効率良く回るために、かなり高い料金設定で、このオプションのツアーだけで、家族4名で400ユーロ近くかかりました(涙)。これでも、全部のオプションを申し込んだわけではなく、フルで申し込めば、倍くらいかかります。でも、船に乗り遅れる心配はないし、タクシーの値段交渉をしたり、観光名所を探し回ったり迷ったり・・・という時間と労力を考えれば、ガイドの説明もついているし、仕方ないですね。

総合的に見れば、クルーズ会社・旅行時期・オプショナルツアーの選択・キャビンのレベルにもよりますが、3泊で4カ所も行ける効率の良さ、全食事付き、宿泊費、交通費、娯楽費込みと考えれば、値段は、決して高くはないと思います。

2)スケジュールは?退屈?それとも慌ただしい?
金曜日の午前11時に、アテネ市内から30分ほど離れたピレウス港出航で、翌月曜日の早朝に帰還する、下記のような3泊4日の日程。
金曜日 11:00 ピレウス港出航 18:00~22:00 ミコノス島
土曜日 9:30~19:30 ロドス島
日曜日 6:30~10:00 パトモス島   14:00~18:00 トルコ クシャダシ
月曜日 7:00 ピレウス港到着

3日間で4カ所も寄港するので、はっきり言うとかなり慌ただしく、優雅にゆっくりしている暇はありません(笑)。というか、数ある選択をあれもこれも・・とこなそうとすると、大変です。何かを諦める気があれば、もちろんゆっくりできますが・・・3度の食事の他に、ティータイム、様々な船内イベント(ギリシャ語講座、ギリシャダンス体験(下の写真)、ゲーム、料理実演、ナイトショーなど)、夜のスナックタイムまであるのです。

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船内にはプールやカジノ、サウナやマッサージ(別料金)、エステ(別料金)、ショップ、インターネットコーナー(別料金)、子供のプレイルームもありますし、ミコノス島やパトモス島には、ボートに乗り換えてのピストン輸送とういうこともあり、順番待ちの時間もかかります。毎日配られる船内ニュースで、スケジュールや注意事項を確認しておくのは必須。避難訓練、重要事項の説明会があったり、下船手順やイベント情報、寄港地のガイド的説明や地図・・・など、ちゃんと目を通しておかないと、痛い目に遭います。ちなみに、オプションを申し込まなかった我が家の旦那と子供は、早朝寄港地パトモス島へのボートの最終乗船時間を確認しなかったために、島に上陸できませんでした・・・・
私はといえば、夜まで体力が続かず疲れ果て、見たかったナイトショーを見逃しました(涙)。そして、プールサイドで優雅に読書でもしようと持って行った本など、一文字も読みませんでした(笑)。

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(次回に続く)

エギナ島 日帰りの旅

22 8月
2009年8月22日

ギリシャには、数え切れないほどの島がありますが、アテネから日帰りで行くとしたら、サロニコス諸島の一つ、エギナ島がお勧め。風光明媚でビーチや遺跡もあり、船の便数が多くて便利。何より、高速船でピレウス港から40分という近さで、ギリシャの島の雰囲気を満喫できるのが魅力です。エギナは、古代、貨幣を早くから鋳造して繁栄を極め、本土のポリス・アテナイにとって宿敵とも言うべき力を持っていました。また、この島は近代ギリシャ独立の際、最初に首都が置かれたところでもあります。

アテネ中心地からLine1の電車に30分ほど乗って、終点のピレウス駅で下車。降りたところから斜め左側にエギナ島行きの乗船ゲートがあります。夏場の金・土・日曜日は混むので、チケットは事前に買っておいたが無難ですが、平日なら、港に着いてからの購入で大丈夫。チケット売り場がたくさん並んでいるので、そこで一番早い船のチケットを購入すればOK。フライングドルフィンという高速船なら40分、大型船なら1時間半ほどで到着です。

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多くのクルーザーが停泊している港と可愛らしい街並が船から見えてくると、心もウキウキ。着いてすぐのエギナタウンには、港に沿って、カフェやお土産物屋さんが軒を連ねています。この島は、ピスタチオナッツが名産で屋台でも売っています。値段は高いのですが、他のと食べて比べてみると、エギナ島産ピスタチオのおいしさを実感します。うちの子供達も、「全然違うねー!」と言って、病みつきです(笑)。色々店はあるのですが、粗悪品もあるので要注意。ナッツの横ではなく、頭の方がぱっくりと大きく開いているのを選んで買って下さいね。このピスタチオを使った薄緑色のアイスクリームも、なかなかおいしいです。

エギナタウンを右側の方に歩いていくと、小さな魚市場があり、そこには朝捕れた新鮮な魚が並び、まわりには、シーフードのレストランが並んでいます。エギナ島に来たら、必ず食べて欲しいのがタコ。シンプルな炭火焼き、ゆでてビネガーとオレガノ、オリーブオイルで食べるのも、本当においしいです。お酒は、ギリシャの蒸留酒「ウゾ」がとっても良く合いますが、かなり強いので、後で泳ぐ時や、日中は避けた方が良いかも知れません。
港から一本内側に入った通りにも、かわいらしい店やレストランが並び、散策も楽しいです。

港を降りて左側に行くと、コロナビーチという小さなビーチがあるので、時間がない時に、ちょっとだけ海水浴を楽しみたい人にお勧め。観光用の馬車も、子供は喜ぶかも知れませんね。コロナビーチの手前にあるバス停から、エギナ島の見所、「聖ネクタリオス修道院」「アフェア神殿」「アギア・マリーナビーチ」へのバスが出ます。このバスは、かなり老朽化しており乗り心地も良くありませんが・・・15分ほどで聖ネクタリオス修道院、30分ほどでアフェア神殿、40分ほどで終点のアギア・マリーナビーチに着きます。

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聖ネクタリオス修道院は、寄付だけで建てられた立派な教会で、アギオス(聖)・ネクタリオスを祀っています。彼は、20世紀初頭に亡くなったばかりの最近の人で、死後、遺骸がいつまでも腐敗しないで残っていたそうで、後にギリシャ正教会によって聖人と認められました。中には、彼の遺骸の一部が安置されていて参拝者が後をたちませんが、観光地ではないので静粛に・・・ちなみに、エギナ島の特産・ピスタチオナッツは、外国生活も長かったこの聖人が国外より持ち帰り、エギナ島に根付かせたと言われています。

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アフェア女神を祀るアフェア神殿は、紀元前5世紀頃に建てられた、保存状態の良いドーリス式の神殿。アギア・マリーナビーチからピレウス港まで見渡せる、眺めの良い小高い丘に建っているので、気持ちが良いです。大理石ではなくエギナ島産の石灰岩でできており、現在でも、24本の柱が残っています。この神殿と、アテネのパルテノン神殿、スニオン岬のポセイドン神殿は“holy triangle(聖なる正三角形)”を構成しており、この場所に建てられたのは偶然ではないと考えられています。ここからの重要な発掘物・彫刻は、ドイツ(ミュンヘン)の彫刻館と、エギナ島内の博物館に納められています。

この丘の急斜面を下ったあたりに、エギナ島では一番有名なビーチ、アギア・マリーナがあります。遠浅の砂浜に沿って、カフェやレストラン建ち並び、リゾート地の雰囲気です。カフェに席をとって、海に行ったり来たりできるのが便利です。ただし、あまりビジター用の設備は整っていません。
ビーチだけが目的なら、ピレウス港から、アギア・マリーナビーチ直行の船も出ています。

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バスで移動する場合は、帰りの時間、乗り場を必ず確認して下さい。アギア・マリーナは、時刻表どころか、バス停の表示さえないので・・・また、席取りのために、早めに並んだ方が良いでしょう。炎天下、冷房もない古いバスで悪路を行くので、立っているとかなり疲れますが、バスの車窓からは、ピスタチオ、オリーブの木が豊かな田園風景が広がり、のどかなギリシャの田舎の風景が楽しめます。

アテネの喧噪とは全くかけ離れた、ギリシャの島、田舎を満喫できる日帰りの旅。
エギナ島の他に、ポロス島、イドラ島も周遊するワンデークルーズもありますが、とにかく慌ただしいのが玉に瑕。1日、同じ島でゆっくりするのも良いですよ。

必見!アテネの新「アクロポリス博物館」(その2 博物館の概要)

19 7月
2009年7月19日

新アクロポリス博物館は、先月6月20日に著名人や各国の要人などを招いて、華々しくオープニングセレモニーが行われたのですが、この日は、正にギリシャの歴史に残る大切な記念すべき日。実は、この待ちに待った晴れの日を迎えるまでには、苦難の歴史がありました。

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文化省大臣であるサマラス氏の言葉の通り、ギリシャの独立から188年、コンスタンティノス・カラマンリス首相がこの地に新博物館を建設すると決定してから33年、メリーナ・メルクーリ(元女優で、後、文化省大臣)がエルギン・マーブルの返還をイギリスに要求し、その夢の実現に向けてキャンペーンを行ってから27年、アクロポリスの新博物館はギリシャの悲願でした。アクロポリスはギリシャの誇り。そのシンボルとなる博物館は、単なる建物ということではなく、ギリシャの理想、価値観、アイデンティティー、精神、威信を賭けての大事業だったのです。今まで丘の上にあった小さな旧博物館では、大切な文化遺産を全部展示することもできず、ギリシャのパルテノン神殿の彫刻群(通称エルギン・マーブル)をたくさん所蔵している大英博物館にその返還を求めても、「ギリシャには、貴重な彫刻を展示・管理できる場所もない」と一蹴されていたのです(涙)。1976年に新博物館の建築に踏み切ってからも、建築の入札は難航し、建築中に新しい遺跡が見つかったり、立ち退き問題で裁判になったりで工事も遅れに遅れ、2004年のアテネオリンピックに間に合わず・・・これは本当に残念でした。オリンピックが過ぎてしまえば、さしあたって急ぐ必要もないか・・・という感じで、いつ開館するのかと気をもんでいたので、この夢の実現は、ギリシャ人でない私にとっても、本当に感無量です。

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有名なスイスの建築家ベルナール・チュミ氏等が設計したこの新アクロポリス博物館は、遺跡とは対照的な現代的デザイン。展示物が主役になるようにと建築物の無駄を排除し、わざと無機質な雰囲気にしているような印象を受けます。コンクリートとガラスを多用し、自然光を重用視して、展示彫刻をできるだけ美しく見せる工夫がなされています。建物の下で発掘された遺跡も、ガラス張りの床にして見学できるようにしたのも、なかなかのアイデアです。総床面積は2万5千平方メートルで、手狭な旧博物館に比べ、展示スペースは約10倍もの広さ。建築費用はなんと1億3千万ユーロ(約175億円)で、正に国家一大事業!その夢にかけた意気込みを感じます。

さて、博物館の構成ですが、下記のようになっています。話題のスポットなので、相当混んでいるかと思いましたが、私が訪れた平日の午前中は、ツアー客が到着する時以外は、割合ゆったりと見られました。

グランド・フロア: カフェ、ミュージアムショップ、シアター、クローク
アクロポリス・スロープ ギャラリー (アクロポリスの丘 岩壁斜面からの発掘物)
1階(日本でいう2階): アルカイック・ギャラリー (紀元前7―5世紀、アルカイック期の彫刻)
プロピレア(前門)、アテナ・ニケ神殿、エレクティオン からの発掘物、彫刻
紀元前5世紀~5世紀の発掘物
2階: カフェ、ミュージアムショップ
3階: シアター
パルテノン・ギャラリー (パルテノン神殿の破風・メトープ・フリーズの浮き彫り彫刻)

たくさん写真を撮ろうと意気込んでいたのですが・・・3階以外は、フラッシュなしでも撮影は禁止されていていたので、残念ながら写真のご紹介はできません。3階のパルテノン・ギャラリーだけはフラッシュなしでの写真撮影が可能です。放送でも何度も注意が流れていましたし、警備員も見張っていましたので、ご注意下さい。

古代より、アクロポリスは市民の信仰の対象で要塞でもあり、様々な神殿や神域があり、その周りに街が形成されました。1階にあがる最初のスロープでは、アクロポリスの周囲にあった街や神域の遺跡から発掘された、紀元前のアテネ市民の日用品や、アクロポリスへの奉納品、神域からの発掘物が展示されています。下のガラス張りの床からは遺跡が見えるので、昔のアテネの街並や市民の日常生活の様子を想像しながら歩くのが楽しいです。ひときわ目を引くテラコッタのニケ(勝利の女神)像2体(1-3世紀)は、大変保存状態も良く美しいです。

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スロープをのぼりきった1階(日本でいう2階)は、アルカイック・ギャラリー。天井の高い明るいスペースに、柵もなくガラスケースにも入っていないお宝の彫刻が惜しげもなく展示されており、至近距離から細部を鑑賞することができます。でも、くれぐれも展示物には手を触れないように!これらの彫刻の多くは、神・神殿・神域への奉納品で、奉納した人の名前や職業が書かれていたりします。壁際に一列に並べるのではなく、広い展示スペースの真ん中に点々と作品を配したこの展示方法は本当に素晴らしいと思います。彫刻の後ろ姿、横からの姿、衣服のドレープの細部、編んだ髪の毛や体の細部、昔の彩色を彷彿とさせる模様など、貴重な彫刻の細部を、色んな方向からくまなく観察することができ、「神への奉納品は完璧でなければいけない」、という当時の哲学を実感します。また、全面ガラス張りの室内なので、時間帯によって微妙に変わる自然光の中での陰影の鑑賞も、別の楽しみと言えそうです。
ここの見所は、アルカイック期(紀元前7-5世紀)の彫刻。コレーと呼ばれる美しい乙女像の数々、青年像、アテナ像、「仔牛をかつぐ青年」など、どれも悠久のバランス美にあふれています。「カリアティデス」と呼ばれるエレクティオンのポーチに立っていた少女像のオリジナル(パルテノン神殿にある像はコピーです)、ヘラクレスの破風彫刻等もこの階で見られます。

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ここまで見て、2階のカフェで一服するも良し。アクロポリスの実物を眺めながら、飲み物や軽食を楽しめます。バルコニーに出ると、眼前にそびえるパルテノン神殿は圧巻!この場所に博物館ができて、本当に良かったなと思います。ただ、夏は屋内の方が冷房がきいていて過ごしやすいです。

そして、3階のパルテノン・ギャラリーでは、パルテノン神殿の内側を飾っていた東西南北のフリーズ(帯状浮き彫り彫刻)、外側フリーズのメトープ(浮き彫り額)、破風(東側正面と西側正面の三角形の屋根部分)に施された彫刻を、存分に鑑賞することができます。特に、東側内側フリーズのパンアテナイア祭の行列を描いた彫刻は有名で、チケットのデザインにも用いられています。

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このギャラリーは、パルテノン神殿の模型のようになっていて、彫刻が、横に見える実際のパルテノン神殿と同じ方向・形・比率に配置され、実際の神殿のどこに、どの彫刻があったのかが分かるしかけになっています。フリーズの装飾は、ギリシャ古典期彫刻の極みと言われ、細部の表現力、躍動感、バランス、力強さ、ストーリー性など、人を惹き付けてやまない魅力にあふれています。

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そして、この階には、全世界に向けて、ギリシャからの熱いメッセージがこめられています。彫刻の黄色っぽい部分は本物ですが、白い部分は複製で、わざと、その違いがはっきり分かるようになっています。そう、この白い部分は、実はイギリスの大英博物館に所蔵されているのです。ギリシャのトルコ統治時代に、コンスタンチノープルの英国大使であった当時のエルギン卿が、パルテノンの彫刻を破壊してイギリスに持ち帰ってしまったのです。ギリシャは、イギリスに対し今までずっと返還を迫ってきましたが拒否され、交渉はうまくいきませんでした。今回は特に強硬に、この素晴らしい新博物館オープンに際し、パルテノン彫刻(通称エルギン・マーブル)の返還を強く要求していたのですが、イギリス側は返還する気は全くないようで、「貸し出すのは可能。でも、その後は永遠にイギリスの所有とする」というような条件を出してきて、ギリシャ国民は大いに怒ったのでした。
私も実際に、一つの彫刻がギリシャ側とイギリス側に分断されていたりするのを目の当たりにして、とても心が痛みました。この新博物館オープンを機に世界的に注目され、世論が高まって、いつの日か、ギリシャの文化遺産が故郷に戻ることを願っています。
今年中は、できるだけ多くの方にギリシャの至宝を見て頂こうというわけで、入場料はたったの1ユーロ!是非、訪れてみて下さい。

アクロポリス博物館
場所: 15 Dionysiou Areopagitou St. Athens
地下鉄 ライン2(赤ライン)「アクロポリ」駅下車すぐ
Tel: 210-9000901
入場料: 2009年中は1ユーロ。
開館時間 : 8:00―20:00 (19:30最終入場)
休館日 : 月曜、祝祭日 (1/1,3/25、復活祭の日曜日、5/1,12/25,12/26)
公式HP:http://www.theacropolismuseum.gr

必見!アテネの新「アクロポリス博物館」(その1 アクロポリスの歴史)

18 7月
2009年7月18日

今、アテネ一番の話題は、6/20にオープンしたばかりの素晴らしい「アクロポリス博物館」!!
博物館の説明をする前に、今回は、アクロポリスの歴史をちょっとご紹介しましょう。

アクロポリスとは、ギリシャ語で「(古代)都市の一番高い場所 」 の意味で、ギリシャの様々な都市で、古代から城塞・神域・権力者の住居などに利用されてきました。その中でも、アテネのアクロポリスは最も有名で、ユネスコの世界遺産に指定された、アテネのシンボルとなっている丘(海抜155m)です。
新石器時代(紀元前4000年~)から人が居住し、ミケーネ時代(紀元前15―12世紀)には王の宮殿や城壁がありました。その後、ポリス(都市国家)の時代(紀元前8世紀)には神域となり、現在残っている建築物は主に紀元前5世紀から2世紀に造られたものです。

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現在アクロポリスの丘に残っている遺跡の中で最も有名なパルテノン神殿(写真上)は、アテネの都市の名前の由来ともなっている「アテネ女神」を奉る壮麗な神殿です。アテネの黄金時代を築いた大政治家ペリクレスの命で、紀元前5世紀頃、イクティノスとカリクラテスの設計により建設されました。今は白っぽい大理石の色が残っているだけですが、当時は美しく彩色されていて、フィディアス作の12mとも呼ばれる黄金と象牙のアテナ像が中に安置され、その他にも信奉者からの奉納品である素晴らしい彫刻や贈答品を所蔵する豪華絢爛な神殿で、様々な祭儀が行われる市民の信仰の対象でした。

丘の上には、パルテノン神殿の他にも、下記のような重要な遺跡があります。
1)プロピレア(神域への入り口となる西側の前門)

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2)アテナ・ニケ神殿(カリクラテスの作である「勝利のアテナ」を意味するイオニア様式の神殿)
3)エレクティオン神殿(エレクテウス王にちなんで名付けられ、カリアティデスと呼ばれる、6体の優雅な乙女像がポーチに配されている。現在、エレクティオンの屋外にある彫刻はレプリカで、オリジナルは、博物館内に展示)

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このアクロポリスですが、破壊と略奪の歴史に彩られ、今、この形で残っているのが奇跡的とも思える位です。4―5世紀、ローマ帝国の支配下ではキリスト教が国教になったため、破風部分を破壊し十字架を配してキリスト教の教会に改築され、15世紀からのトルコの支配下では、今度はイスラム教のモスクに改築されて使用されました。でも、一番致命的な打撃は、火薬庫としても使用されていたために、17世紀にヴェネチア軍の砲撃を受けて破壊された時でした。また、19世紀には、トルコ統治時代の大使であったイギリスのエルギン卿が、フリーズ(神殿上部の、帯状浮き彫り彫刻部分)の半分と、破風部分を壊してイギリスに持ち帰ってしまいました。その彫刻群は、今では大英博物館に所蔵されていて、ギリシャ政府は、何十年にもわたり返還を迫っています。
このような波瀾万丈の歴史を持つアクロポリスの丘。その古代からの建築物、彫刻、日用品など、世界の至宝とも言える発掘物が一同に集められたのが、この「新アクロポリス博物館」なのです!!

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