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ギリシャのカーニバル 「アポクリエス」

18 2月
2008年2月18日

ギリシャの2月後半から3月初旬は、アポクリエスと呼ばれる謝肉祭のお祭り期間にあたります。このお祭りは、毎年日付が変わる移動祝祭なので、新しい年を迎えると人々は新しいカレンダーを買い、その年のアポクリエスとそれに続く復活祭の日付をチェックします。また、ギリシャ正教と他のキリスト教とでは、宗教行事に使用するカレンダーが違い、復活祭などの日付も異なることが多いので、旅行などを計画する時には注意が必要です。

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カーニバルとも呼ばれるこの期間は、今年は3月9日までです。その後、4月27日のキリストの復活祭(英語ではイースター、ギリシャ語ではパスハ)まで、キリストの死を悼む意味で、動物系の食物を口にしないニスティア(肉断ち)の期間になるため、その直前は「肉に感謝する期間―すなわち謝肉祭」となるわけです。特に、2月28日は、チクノペンプティ(肉の焼ける匂いのする木曜日)と呼ばれ、この日はほとんどのギリシャ人が肉を食べることになっています。ギリシャには、肉専門のレストラン(プシスタリア)が沢山ありますが、この日は超満員です。

アポクリエスの最後の週末(今年は3月8,9日)は、各地で仮面をつけたり仮装した人々のパレードなどが行われ、盛り上がりは最高潮に達します。パトラのカーニバルなどは、世界的にも有名です。アポクリエス最後の日曜日(今年は3/9)は、アテネ中心部、アクロポリス麓にあるプラカでは思い思いの扮装をした人でごったがえし、色とりどりの紙吹雪が舞い、ラッパや爆竹や花火などの音も賑やかで、深夜まで大変なさわぎになります。夜はお酒も入るので、楽しいのと共に、ちょっと危険なほどのお祭り騒ぎなので注意が必要です。一方、この日の昼間のザピオン庭園(国会議事堂のすぐ横の公園)はうってかわって、かわいらしい仮装をした子供たちで一杯になり、見ているだけでも楽しいです。

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アポクリエスの思い出といえば、はるか遠い昔、友達と二人で、1ヶ月間、ヨーロッパ内を自由旅行したのですが、ギリシャにたどり着いた日がちょうどアポクリエスの最高潮の日で、道路は通行止めになり、バスから人の波の中に放り出され、坂の上のホテルまで重い荷物を引っ張りながら歩くはめになったのです。道は、人でごった返しており、いきなり、プラスチックのこん棒を持った人達が走ってきたと思ったら、何度も頭を殴られて、パニック状態に!

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この棒は道端でも良く売っており、それを手に、人の頭を叩きながら練り歩いている人がたくさんいたのです。おもちゃの棒ですが、思いっきり叩かれるとかなり痛い・・・そして、私は初めての地で右も左も分からず、両手に大荷物なので抵抗できなくて・・・極めつけは、スプレーのようなものをシューーーーーっとかけられ、体中白い泡だらけに!私は、催涙スプレーか何かだと思い、これで荷物も全部とられて、一巻の終わりだ・・・・と恐怖におののいて泣きそうになりました。しかし、幸い、それはただの遊びのスプレーで、数秒後には何もなかったかのように泡は消えてしまい、ただの悪ふざけだと分かって、本当にほっとしました。そして、やっとのことでホテルにたどりついた私たちは、荷物を放りだすと外に繰り出し、道端でそのこん棒を買い、リベンジの旅へと出かけたのでありました。あの時は、ここにお嫁に来るとは夢にも思わなかったですね。まさか、ギリシャ人と結婚してここに住むことになろうとは、なんという運命のいたずらでしょう・・・
アポクリエスが来るといつも、この遠い昔の出来事を思い出します。
この時期に旅行される方は、楽しいけれど、気を付けて下さいね。

ギリシャの肉料理

10 2月
2008年2月10日

ギリシャには、宗教に関連して、肉を食べる日とか、シーフードを食べる日とか、チーズを食べる日などがあります。2月末から3月初旬までのカーニバルは、ギリシャ語ではアポクリエス、すなわち、「謝肉祭」の期間です。この期間中に、「チクノペンプティ」という肉を食べる日があります。
チクノペンプティというのは、「肉の焼く匂いのする木曜日」と訳されますが、今年は2月28日がその日に当たります。

それにちなんで、今日は、ギリシャの肉料理のご紹介です。このチクノペンプティには、肉専門のプシスタリアというレストランは満員となり、老若男女、みんな肉料理を楽しみます。特に、炭火焼きの肉は秀逸で、豚、牛、羊、鶏、山羊など何でもシンプルに炭火やオーブンで焼き、レモンやオレガノをかけて頂くのがギリシャ風です。日本と違い、ギリシャでは、羊、山羊、ウサギなども良く食べます。羊は、ギリシャ語ではアルニと呼ばれます。羊は臭いがあると思われがちですがそうでもなく、これがとてもおいしいのです。

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また、パイダキャと呼ばれるスペアリブも、脂がのっていておいしいです。ヨーロッパでは珍しい臓物肉料理、ココレッチも名物です。これは、羊の腸やレバーを串にぐるぐる巻きにして炭火で焼いたもので、ほろ苦さと脂身が絶妙な組み合わせですが、好き嫌いは分かれるところです。

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また、肉を串にさして焼く焼き鳥のようなスブラキと呼ばれる軽食、羊や豚肉をあぶって、薄くこそげとったものを、ピタというパンに巻いて食べるギロというものも、安くておいしいです。スブラキやギロは、レストランに行かなくても、ギリシャのファーストフード店で気軽に楽しめ、ちょっと小腹が空いた時などに便利です。
冬に最適な煮込み料理としては、挽肉をキャベツで包んだラハノドルマデス(ロールキャベツ)やユーバラキャ(肉団子のスープ煮)がお薦めです。どちらも、ギリシャ特有のアヴゴレモノソースというスープが特徴です。このスープは、オリーブ油、塩、コショウのスープに、溶き卵とレモンを混ぜ合わせて作るもので、他の料理にも良く登場します。日本人の口にも合う優しい味付けです。

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トマト味の煮込み料理としては、牛肉のトマト煮のコキニストや、牛肉と小タマネギと一緒に煮込んだスティファード、米型のパスタと一緒に煮込んだユベチなどもおいしいです。
ビフテキというと、日本ではステーキのことですが、ギリシャでは挽肉で作ったハンバーグのようなもので、馴染みやすいです。

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またケフテダキャという揚げ肉団子も、ほとんどはずれがありません。いずれも、日本のものよりは、ハーブの香りが強いのが特徴かもしれません。
海に囲まれたギリシャですが、シーフードは高く贅沢品です。肉料理はどれもおいしいので、色々試して頂ければ旅の楽しみも倍増することでしょう。

アテネ中央市場めぐり

07 2月
2008年2月7日

アテネの中心部、オモニア広場の近くにアテネの胃袋、中央市場があります。ここは、東京の下町や、アジア諸国の市場を思わせるような、活気にあふれ、混沌としていて猥雑で、色んなものがごちゃごちゃしていて、私的にはわくわくする所です。オモニア広場近辺は、どのガイドブックを見ても危険な地域と書いてありますが、私自身は危険な思いをしたことはありません。確かに、外国人が多く、麻薬中毒のような人も時々見かけますが、夜は避け、あまり変な裏通りに行かないようにすれば、ちょっと違うアテネを垣間見られる、おもしろい所です。

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中央市場は、アクロポリスとオモニアを結ぶアシナス通り沿いにあります。道をはさんで、片側に肉市場と魚市場があり、反対側に野菜や果物を売る生鮮市場があります。そんなに広くもないので、ざっと1周するだけならば、30分もあれば十分です。

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こちらは肉市場。結構、ぎょっとするかもしれませんが、皮をはがれた哀れな羊や鶏などが、ここかしこにぶら下がっています。頭、内臓・・・などと、部分に分けて売っているところもあり、結構グロテスクな印象も・・。肉の内臓系を食べるヨーロッパ人も珍しいけれど、ギリシャでは、内臓のスープとか、串にぐるぐるまいて焼く肉料理(ココレッチ)などがあって、これが結構おいしいんです。でも、あの、つるされた羊の哀しそうな目を見ると、なんとなくお肉を食べるのに、罪悪感がわいたりします。

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お隣は魚の市場。日本と違って、大きなマグロなどはないし、セリの風景などもないですが・・魚好きな日本人には、なじみやすい場所かもしれません。ギリシャには、復活祭前などの肉断ちの期間や、シーフードを食べる日などがあるので、その時は、かなり混み合います。海に囲まれたギリシャではあるけれど、一般的に、シーフードは値段が高い贅沢品です。シーフードレストランは、魚の値段がキロ単位でのっていたりして、高くつくこともありますから気を付けて下さい。ギリシャではタコも良く食べますが、タコを食べるヨーロッパ人というのも、珍しいらしいですね。ギリシャが誇るオペラ歌手のマリア・カラスが日本公演に来た時、食事が合わなくて困っていたところ、タコを食べて元気になったという逸話も聞いたことがありますが・・・真偽のほどは、分かりません!

お向かいに渡ると、そこは生鮮野菜や果物の宝庫。日本に比べると、大きくて元気のいい不揃いの野菜や果物がたくさん売っています。中には、オリーブだけの店、ナッツや豆類の店、飼料の店、卵だけの店、ハムやソーセージの店、などの専門店もあります。この卵屋のおじさん、私が写真を撮ろうとしたら「ちょっと待って!」というので、怒られるのかとすくんだら、「髪をちゃんと整えるからさ!」とツルツルのゆで卵のような禿頭を撫でてみせ、にやっと笑いました。こういう愛嬌のあるノリ、ジョークが、また、いい味だしているんですよね。

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ギリシャ正教の結婚式

04 2月
2008年2月4日

ギリシャ正教の結婚式は、伝統が守られていて、とても素晴らしいものです。今日は、その結婚式のご紹介です。ギリシャでは、結婚式は夜にやることが多いようで、どうしてかというと・・・その後、続いて夜通しのパーティーをやるからです!さすが、夜更かしの得意なギリシャ人です。

花で飾られた車に乗って花嫁が到着し、お父様と一緒に腕を組み、美しい花嫁が、ランプでロマンティックにライトアップされた長い緋毛氈の上を、いそいそと教会の入り口まで進む・・・まるで、どこかで見た映画のようです。
そして、教会の入り口で待ちかねていた花婿に、お父様が大事な花嫁をたくし、挨拶をかわした後、教会内に入場。

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その後の式の進行は下記のとおりです。
婚約の儀式:讃美歌(ギリシャでは女性コーラスはなくて、男性だけの荘厳な歌です)の後、司祭が新郎新婦の指輪を持ち、それぞれの額の前で3回十字を切った後、指輪の交換。ギリシャ正教では、右手の薬指に指輪がはめられます。これは、慈悲を与えるのは神の右手であり、キリストを天に導いたのも神の右手だったからだそうです。その後、クンバロスと言われる介添人夫妻が、3回指輪を交換。この交換の意味は・・・夫婦の一方がもう一方の弱点や不完全なところを補いあうことが必要だということを象徴しています。儀式の中で、色々な行為を3回繰り返す意味は、神と子(キリスト)と聖霊の「三位一体」の象徴です。夫婦の忠誠、調和、愛をお祈りする司祭の祈祷で婚約の儀を終了します。

婚姻の儀式:この二つ目の儀式は、讃美歌、祈祷、冠(ステファナ)の交換、聖書の朗読、杯の交換、祭壇の周りを回る儀式、祝福、と続きます。
冠(ステファナ)の交換が、この儀式のクライマックスとなるわけですが、この冠は丸い金属の輪で、美しい飾りがついていることが多く、新郎と新婦の分、二つが、結婚を象徴する白いリボンで結ばれています。それを、司祭が聖書の前で清め、十字を切ったあと、3回、新郎新婦交互にかぶせ、その後、介添人も3回、ステファナを交換し、結婚の儀式の証人となります。

新約聖書の朗読があったあと、杯の交換・・・つまり、ワインの入った一つのグラスを互いに飲む儀式があります。これは、日本の三三九度に似ているなあ、などと思ったのですが、由来は、聖書の一節にあります。キリスト様が参列した婚礼で、水をワインに変えたという聖書の逸話から来ているらしく、一つのグラスから飲むという儀式は、人生において、喜びも悲しみも一緒に分け合う、夫婦一如の人生を表しています。

司祭が、結婚による一体化を象徴するように新郎新婦の両手を合わせます。そして、クライマックスである祭壇の周りを3度回る儀式の時には、招待客から一斉に歓声とライスシャワーを浴び、司祭に導かれ、夫婦最初の一歩を踏み出すことになるわけです。祭壇というのは、神の言葉の書かれた聖書と、キリストによって人々が救われたというシンボルである、十字架が置かれたテーブルです。この周りを歩くことは、彼らの歩む、神とキリストを中心とした世界が象徴されているわけです。この儀式の間、結婚生活の中で、愛する者のために、自分を犠牲にしても尽くすという無償の愛を謳う讃美歌がバックで歌われます。介添人も、ステファナが落ちないように押さえながら、新郎新婦の後ろを黒子のようについて回ります。

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最後に、司祭がこのステファナを新郎新婦からとりはずした後、幸福で実りの多い結婚生活が末永く続くことを神に祈り、神だけが二人を分かつことができるという夫婦の宣言することで儀式は終了します。
人がたくさん居すぎて、近くで写真が撮れなくて残念でしたが・・雰囲気は伝わったでしょうか。

ギリシャ正教の結婚式に見られる象徴
3という数:3回十字を切る、3回杯を交換する、3回祭壇の周りを回る・・・など、何かと3という数字が出てきますが、これは、神と子と精霊という「三位一体」の象徴とされています。
リング:指輪が円形で、初めも終わりもないことから、結婚生活が永遠に続くことを象徴しています。
冠(ステファナ):二つの冠が白いリボンで結ばれていることから、夫婦の融合、一体化を象徴しています。また、ギリシャ正教では、この冠を殉教者の冠(キリストの茨の冠)の象徴と見る人もいるそうです。それは、結婚生活の中では、両者の間に、数限りない自己犠牲が必要だと考えているからです。
ワイン:ワインは、豊饒と永遠、キリストの血を象徴しています。

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結婚の記念品のクフェタ(白砂糖で固めたアーモンドのお菓子):トレイに盛られ、後で招待客に振る舞われます。一般的にチュールの布などに綺麗に包まれ、奇数の個数のアーモンドが入っています。奇数は、割り切れない数なので、夫婦が分かれないようにという祈りが託されています。また、アーモンドは豊饒を表す卵の形をしていて、その堅さは、結婚生活が容易にこわれないようにという願いが込められ、周りにかぶせられた白砂糖は、これからの結婚生活の純粋さと、甘さを表現しています。
米:ライスシャワーは、結婚したカップルに、司祭や招待客から受けるお米のシャワーですが、これは、豊饒、幸福、結婚の強固な地盤を築くことを象徴しています。

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