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ギリシャ生活と演劇

17 4月
2009年4月17日

日本でお芝居や演劇を見に行く・・・なんていうと、ちょっと特別な感じがしませんか?それが趣味の人は別にして、一般人にとっては、日常生活とはかけ離れたものという印象がありますが、ギリシャでは、演劇をごく身近に感じます。
ギリシャに住んでみて良く思うのは、まず「劇場が多いなあ!」ということ。うちの近所だけでも、大小様々な劇場が、あちこちに見られます。そう、気軽に徒歩で行ける範囲内で、10カ所はあるでしょうか。雑誌で演劇情報を見ていたら、アテネ近郊で、上演している劇場が120以上もありました。上演していないところもあるでしょうから、劇場数は、やはり多いですよね。

先日、「サリバン先生の奇跡」という演劇を見てきました。調度、ヘレン・ケラーの「わたしの生涯」という本を読んで興味があったので行ってみたのですが、その迫力と、観客をぐいぐい惹き付ける演出や演技に、度肝を抜かれました。サリバン先生役の女優の演技もすごかったけれど、三重苦のヘレン・ケラー役の子役も、鬼気迫っていて目が釘づけ。早口過ぎて細部は分からなかったし、ギリシャの古典でもなかったけれど、ギリシャ演劇の質の高さを実感し、充分楽しむことができました。夜の上映でしたが、小学校低学年位の子供達が、先生引率のもと、集団で見に来ていました。教育の一環でもあるのですね。

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子供達も、幼稚園時代から演劇に親しみます。子供向けの演劇もたくさんあり、うちの娘達も、学校が主催する観劇の会に年間3-4回でかけています。その中には、子供たちに大人気のユーモラスな影絵劇・カラギョージスなども含まれていますが、これも、幻想的でなかなかおもしろい「劇」です。ククロセアトロという人形劇も良くありますし、学校のイベントでも、人前で詩を暗唱したり、演劇的な要素が多いように感じます。義姉も、良く子供を演劇に連れていってくれたり、義父母に演劇のチケットをプレゼントしたりして、気軽に演劇を楽しんでいます。(下の写真は、カラギョージス人形と、子供向け演劇のパンフレット)

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ギリシャ生活には、演劇が溶け込んでいます。それもそのはず、約2500年前から花開いた演劇文化は世界的に有名で、その潮流を今に受け継いでいるのです。ギリシャ悲劇作家のアイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデス、喜劇作家のアリストファネスという名前は、世界史で習った記憶のある方も多いのではないでしょうか。現代では、古典だけでなく、現代政治風刺や一般民衆を描いた喜劇も人気です。一年中いつでも、演劇は市民の娯楽として存在しますが、特に、夏のアテネ・エピダヴロス芸術祭では、「ギリシャ国立劇場」などの老舗有名劇団が芸術性の高い作品を上演するので、毎年楽しみです。特に、紀元前に作られた遺跡である、エピダヴロスの古代野外劇場で上演される演劇は、緑豊かな借景の自然と人間が一体となり、古代にタイムスリップするような独特の雰囲気を持っており、素晴らしいです。言葉は分からなくても、旅行中にでも機会があれば体験されると、良い思い出になること請け合いです。音響効果が良いことでも有名な野外劇場ですが、近年は遺跡の痛みが激しく、保存のために上演数も限られてしまいました。まさに、ここは「狭き門」であり、俳優にとっても観客にとっても夢の舞台です。

ギリシャの独立記念日のパレード

15 4月
2009年4月15日

3月25日は、ギリシャの大切な祝日、独立記念日でした。
ギリシャが、14世紀頃から続くオスマン帝国(トルコ)支配時代に舐めた辛酸は相当なもので、「自由を!さもなければ死を!」をスローガンに独立戦争を開始した1821年は、忘れてはならない年です。独立記念日は、ギリシャ国民にとって、大変な犠牲を払って勝ち得た自由と平和の価値を、再確認する日です。青と白の、いかにもギリシャらしい国旗が街中にたなびいていました。

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今年も、シンタグマから始まるパレードに行ってきました。国会議事堂前での式典の後、11時過ぎから始まり、1時間ほど続く恒例のパレード。パレードの通るパネピスティミウ通りは、オモニア広場まで黒山の人だかりです。国旗を手に握りしめ、民族衣装に身を包んだ子供も見かけます。
次々と目前を通り過ぎる迷彩色の戦車、ジープ、消防車、救急車、船・・・空にはヘリコプター、戦闘機、偵察機の実演飛行。陸・海・空軍、警察、鼓笛隊、消防隊、など、真剣な面持ちで行進するパレードは圧巻です。耳をつんざくような戦車や戦闘機の轟音は、テレビでは実感できない体験です。ちなみに、ギリシャは、今でも男性は兵役があります。

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軍隊のパレードとは対照的に、微笑ましいのは、子供達のパレードです。小太鼓のリズムに合わせて、国旗を持って行進する子供達。各地域を代表する民族衣装や、歴史的英雄・チョリアス(国会議事堂前に立っている兵隊)の衣装も華やかです。子供達は、幼稚園から、独立戦争に関する詩や歌、英雄について学びます。工作で、英雄の顔の額を作ったり、兵隊さんの帽子を作ったり、国旗を作ったり。歌の内容はかなり難解で、独立戦争時に、いかにギリシャ軍が勇敢に戦ったかを物語風に伝える歌、国旗を称える歌、愛国心を表す歌、戦争の悲惨さを歌った歌、など、様々です。幼稚園児が鼻歌まじりに歌っていると、ちょっと不気味ですが・・・自分の国の歴史を次世代に伝えていくというのは、大切なことだと思います。

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ちなみに、うちの娘が学校の式典で暗唱した詩の内容は、次のようなものでした。
「もう忍耐の限界だった。ギリシャ軍一丸となり、トルコを撃退した。
ギリシャ人は、自由なしでは、決して生きていけない!」

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ギリシャ 復活祭の卵の話

14 4月
2009年4月14日

今年のギリシャ正教の復活祭は4月19日です。ちなみに、カトリックは、1週間前の4月12日です。
キリスト教という大きな枠はあっても、各国で、復活祭の習慣は、微妙に違うようですね。

復活祭からさかのぼって一週間、この期間は、メガリ・エブドマダ(big week)と呼ばれ、それまで続いてきた食事制限が更に厳しくなります。学校はこの週から2週間休みに入ります。
メガリ・テタルティ(復活祭前の水曜日)には、教会では聖油の儀式が行われます。聖職者が聖書を詠み、浄められたオリーブ油で、信者の額、頬、手などに十字架を切りながら、祈ってくれます。その聖油は、心身の病を癒すと言われています。
メガリ・ペンプティ(復活祭前の木曜日)は、ユダの裏切りにより、キリストが十字架に架けられた日と見なされています。教会では、朝からずっと厳粛な儀式が行われますが、一方、一家の主婦は大忙しです。この日に、復活祭用のパンやクッキーを焼いたり、卵を染色する習慣があるからです。復活祭のパンは、ツレーキと呼ばれ、ほんのり甘く、三つ編み型やドーナツ型の大きなパンの中に、赤いゆで卵が埋め込まれます。このパンは普段でも売られていますが(普段はもちろん赤卵なしです)、香辛料が独特の風味を醸し出し、お勧めです。クッキーはクルラキと呼ばれ、昔懐かしい味で、さくさくとしておいしいです。

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また、卵の染色は、なかなか楽しいイベント。昔は、自然の植物素材で染色していたようですが、今では、スーパーで、専用の染色剤が売っています。

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これは、固ゆで卵を作った後、粉をお湯にといて酢を入れ、それにつけて数分待つだけの優れもの。染色後、つや出し液を塗って磨くと、素人でもかなり良いできばえの赤卵のできあがり!これに、シールを貼ったり、お湯に入れると収縮して張り付くデザイン付きのスリーブを巻いたり、絵心のある人は、絵や模様を描いたり・・・と、子供も大喜びです。子供と言えば、幼稚園で、ウサギと卵の工作をしたり、復活祭に使うキャンドルの装飾をしたり・・・と、着々と復活祭準備を進めています(笑)。本来は、赤の染色が正式らしいですが、今では、青、黄、緑・・・など、色んな色の粉が売っています。もっとも、今はスーパーで染色済みの卵や、模様を施した卵が既製品として売っていますので、どれだけ、家で染色する人がいるのか分かりませんが。卵形やウサギ型のチョコレートも、この時期、ケーキ屋さんや、スーパーでは欠かせません。

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ちなみに、ギリシャでは、イースターエッグを隠して探すという遊びは行われていないようです。この赤卵は、イコノスタシオ(聖画台)と呼ばれるイコン(聖像画)の置かれた棚に供え、一家の厄よけをし、子供を守るという習慣や、妊婦が流産しないようにするお守りとして使うこともあるそうです。イコノスタシオは、日本の神棚や仏壇に似た感じがしますね。

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さて、この春の到来と新しい命を象徴する卵ですが、かごに入れて飾っておくだけでも華やかで、復活祭の雰囲気が盛り上がりますが、復活祭の当日は、運試しの遊びにも使われます。2人がそれぞれ卵を持ち、卵の端と端をぶつけあって、殻が割れないで残った方が勝ち、というようなゲームです。この赤卵、中身も食べて良いとされていますが、白身にまで赤い色がしみていることが多いので、なんとなく食べる気はしません。でも、捨てるのは気がひけるので、我が家では、割れた卵は、いつも公園の鳩のご馳走となっています。きっと、鳩にも御利益があるでしょう!

ギリシャ 春の風物詩

02 4月
2009年4月2日

ギリシャでは、3月から春が始まると見なされています。この時期には、色々な春の行事や習慣が目白押しで気候も良く、旅行にも適した季節です。

3月1日に、子供が幼稚園から家に帰ってくると、赤と白にねじったヒモが手首に巻かれていました。これは、「マルティ」(ちなみに、3月はマルティオスです。)と呼ばれ、春が来ると日が長くなり、日差しも強くなるので、子供の肌が日焼けで痛まないようにする、お守りみたいなものです。

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また、地方によっては、「ヘリドニスマタ」と呼ばれる、燕(ギリシャ語でヘリドーナ)の歌を、子供が近所の家から家へと回りながら歌うという、昔ながらの習慣が残っているところもあるそうです。渡り鳥の燕は、春になるとアフリカ大陸からギリシャに戻ってくるため、春の使者・象徴として愛されています。最近のアテネでは、鳩の数が多くて燕の影も薄れていますが、たまに、軒先に燕の巣を見つけると、なんとなく私も嬉しくなります。また、3月9日には、サランドピタという、様々な種類の野草や野菜を使ったピタ(パイ)を焼く習慣もあります。

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3月25日は、ギリシャの独立記念日(上の写真は独立戦争時の様子を描いたポスター)ですが、同時に、マリア様の受胎告知の祝日でもあります。3月25日は、ギリシャ正教では12大祭のひとつにあたる大切な日で、生神女福音祭とも呼ばれます。聖書によれば、この3月25日に、大天使ガブリエルが神の使者としてマリア様の前に現れ、精霊により、マリア様がキリストを身ごもることを告知したと書かれています。劇的な場面なので、今まで色々な芸術家によって、絵画の題材にされてきたものです。この祝日も、救世主のキリストがこの世に現れると告知された日なので、春の到来の喜びと一致しています。そういえば、地下鉄の「エヴァンゲリスモス」という駅の名前もありますね。日本で「受胎告知」という名の駅があったら、結構驚きますけれど。

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そして、ギリシャの年間の最大行事は復活祭(パスハ)。移動祝日で、今年は4月19日にあたります。これは、キリストが十字架にかけられてから復活したことを祝う、また、春の到来を祝う盛大なお祭りです。1ヶ月以上の節食期間を経て、晴れて迎えるパスハの日には、マギリッツァと呼ばれる臓物のスープや羊の丸焼きを食べたり、歌ったり踊ったりして、人々は春を満喫します。

5月1日のメーデーには、野山にでかけて、春の花を摘んでリースを作ったりする習慣もあります。
ギリシャの春は、花がとても綺麗です。薄紅のアーモンドの花は桜を思わせ、お茶としても有名な可憐な白い花・カモミール、血のように真っ赤なけし、鮮やかな黄色の菜の花、濃いピンク色が青空に映える花ずおう、など、色とりどりの花が遺跡の周囲にも咲き乱れ、とても香しく美しい季節です。

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