田舎町で迎える冬の訪れ

05 1月
2011年1月5日
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トスカーナ州の北のはずれに位置する、とある田舎町。
ここで毎年、12月5日に行われる「聖ニコロの火」という素朴な行事があります。
今年は5日が悪天候だったため、一週間延期して12月12日に行われました。

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広場に着くとすぐ、地元のおじさんたちが「よく来たな!さぁさぁ、まずは俺の作ったワインを飲んでくれ」とコップを差し出してきました。
ワインを飲みながら世間話をしている間に、徐々に町民たちが広場に集まってきます。

この行事は、もともとは冬至の頃に冬への不安を解消するお祭りとして、地元の農夫たちが行ったものだと言われています。
この時期は畑の収穫が終わり、農業の暦では一年の仕事が終わる時でもあります。
その年の収穫への感謝、来年の収穫への祈り、そしてこれから訪れる厳しい冬への怖れと不安を吹き飛ばすため、人々は広場に集まって大きなたき火を燃やしたのです。

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イタリアの伝統的行事の多くは、こうした古い慣習や文化をベースにして、後に教会の意志によって強制的にキリスト教の教義と合体させられました。
このたき火も例外ではなく、いつの頃からか聖ニコロと結びつけた宗教行事となったのです。

教会の鐘の音を合図に、神父さんが聖ニコロの像と一緒に広場にやってきます。

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神父さんによる祈りの儀式が終わると、いよいよ着火です。
町の人々が周囲を取り囲んで見守る中、地元の青年団が松明を掲げて木の枝で作ったの山に近づき、着火します。

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山の頂上には太く大きな木が一本突き立てられていて、これが燃え落ちる方向によって吉兆を占うんだそうです。

火が全体に行き渡ると、町民の大歓声と共に花火が打ち上げられます。

誰かが持ってきたパンやソーセージを、みんなで炙って食べるのも、たき火の楽しみの一つです。
「こっちのソーセージ焼けたぞ!」
「パンを炙ったから、俺んちのオリーブオイルをつけて食べてみろよ。」
賑やかなお喋りが始まって、人々は火で暖を取りながらその土地で取れた食べ物や飲み物を味わいます。

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去年から、地元のおばちゃんたちによる郷土料理の屋台も出るようになりました。
かごの中に詰まっているのは栗の粉で作った、揚げまんじゅうのようなものです。

屋台とは言っても、お金は取りません。
巨大なワインボトルが置いてあって、そこに来年のイベント運営のために払える分だけ寄付をすることになっています。

この町の人たちは、みんなで大きな一つの家族のようなもの。
こうやって一年に一度、普段は遠くに住んでいる親戚や家族が地元に集まる聖ニコロの日を、みんな楽しみにしているのです。

たき火が終わると、本格的なクリスマスシーズンの到来です。

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