本の街、ポントレーモリ

09 7月
2011年7月9日
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雲一つない、よく晴れた初夏のある日。
トスカーナ州の北のはじっこにある、ポントレーモリという街に行ってきました。

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ポントレーモリは川沿いに作られた街で、古い石造りの橋を渡って街の中へと入ります。古い町並みがよく保存されていて、細い路地を歩くのが楽しい街です。

この日は偶然、子供向けの本に関する大きなイベントが開催されていました。

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そう、ポントレーモリは別名「本の街」とも言われるほど、本を愛する街。
一年に一度、この街の書店がその年一番優れた本を選ぶという権威ある文学賞、「バンカレッラ賞」の街としてもよく知られています。
ちなみに、記念すべき第一回目のバンカレッラ賞受賞作品は、あのヘミングウェイの「老人と海」であったというのは、地元の人々にとっては有名なお話。
後にヘミングウェイがノーベル文学賞を受賞したことから、「ノーベル賞よりも早く、ヘミングウェイの価値を評価したのはバンカレッラである」と、大きな注目を集めました。

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昔から本への関心が高かったというこの街では、18世紀にはすでに数多くの移動書店が軒をつらねていたと言われています。
本とポントレーモリは、切っても切れない関係。
一年を通して、様々な本に関するイベントが開かれています。
この日行われていたイベントも、読書離れしていく子供たちに本の楽しみを伝える貴重な機会になっている模様。
道行く子供たちに話を聞いてみると全国からこの日のために集まったそうで、「去年も参加したよ!」「学校の友達や先生たちと来てるんだ」と、目を輝かして答えてくれました。

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本の街ポントレーモリでは、街の至る所でこんな棚を見つけることができます。

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「LIBRERIE DEGLI ONESTI」、正直者の本棚。
ここに置かれた本は誰でも自由に手にとって、気に入った物があれば持っていくことができます。
お代は、棚の横に設置された箱に、自分が払いたいと思うだけの金額を入れます。
あるいは、手持ちの本を代わりに置いていくのでも構いません。
誰が監視しているわけでもなく、お金の入った箱だって一日中置きっぱなし。
立ち読みだってしたい放題だし、時にはご丁寧に本棚の横にベンチが設置してあることもあります。

読みたい本があればいつでも持って行っていいし、読み終わったらまた同じ場所に戻してもいい。
読み終わった本は家の本棚に眠らせて置くのではなく、ここに寄付して街のみんなで共有する。
本を愛するポントレーモリの住民たちが、みんなで作り上げている街の本棚、それが「正直者の本棚」なのです。
私も一冊、ここで本を買ってきました。

年間一冊も本を読まないという人が、実に90%を越えると言われるイタリア。
ポントレーモリの本に対する数々の取り組みは、今やイタリア文学界や出版界を支える大きな希望の光になりつつあります。

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