月別アーカイブ: 9月, 2010

心が帰る場所

22 9月
2010年9月22日
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「イタリアに住んでるなんて、楽しそうだね!」とよく言われます。
もちろん好きでここに居るわけですが、でも実際には楽しいことばかりじゃありません。
大変だなぁと思うことも沢山あるし、つらい思いをすることも少なくありません。

慣れない土地に暮らしていて疲れてしまった時、皆さんはどうしますか?
私はとっても単純。元気を充電するために、数日実家に帰ります。

え?でもわざわざ日本に帰るの大変じゃない?なんて声が聞こえてきそうですが、そんなことはありません。
有り難いことに、私はイタリアにも実家が一つあるんです。

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こちらが私のイタリアでの実家。
トスカーナ州・アレッツォという街から、バスで20分ほどの場所にあります。
「明日からちょっと帰るわ。」と電話をすると、マンマ、お姉さん、義理のお兄さん、そして今年五歳になった可愛い甥っ子が、「おかえりー!」と温かく迎えてくれます。

・・・なんちゃって、実はここはLe Bilodoleという名前のB&B。
宿を経営する一家とはお互いに家族と呼び合うほど親しく付き合っていますが、本当は血のつながりも何もない赤の他人なのです。

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ホテルですから、いつ訪ねて行っても泊まる部屋がない!なんてことはもちろん無し。
大きなプールまであって、宿の家族や他の宿泊客の皆さんと一緒に、のんびりプールサイドで昼寝を楽しむこともできます。

ね、最高の実家でしょう?
実は先週も、疲れが溜まってきたのでまたお邪魔してきました。

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私は普段フィレンツェという観光都市に住んでいますが、イタリアの魅力は田舎にこそあると思っています。
人情に厚い素朴で温かい人々、どこまでも続くひまわり畑や、空気が美味しい緑の中の散歩道。

駆け足で都市の見所だけを見て回る旅では、絶対に味わうことのできない大切な何かが、イタリアの田舎にはあります。
心が深呼吸をするとでも言うんでしょうか、ここに来るといつも「あぁ帰ってきたな」と思って心底リラックスすることができるんです。

フィレンツェには沢山の美しい教会や美術館があって楽しみには事欠かないんですが、こういう田舎道をのんびりと散歩するのが、私にとっては一番贅沢な休日の過ごし方です。

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今、宿の部屋から見える景色はこんな感じ。
まだ八月なのに、もうすっかり秋の気配ですね。

散歩から帰ってきたら、最近家族の仲間入りをした看板犬ポンゴくんが、日陰でウトウトしていました。

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さて、軽く歩いた後はお腹が空きます。
台所では料理上手のマンマが、今夜の夕食を準備中です。

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今夜のメニューはラグーソースのタリアテッレと、1.5kgのローストビーフ!

私は初めてこの宿で食事をした時にあまりの美味しさに感動して、以来ほとんどのイタリア料理を彼女から学びました。
他愛のないお喋りを楽しみながら、家の女たちが集まってにぎやかに料理をする。
私にとってはこれ以上ない至福の時間です。

美味しいマンマの味をお腹いっぱい食べて、キャンティワインを飲んで、食後のドルチェに取りかかる頃には、日々のストレスなんか完全に吹っ飛んでいるんですよね。

ストレス解消、エネルギー充填!
明日からまた頑張るための元気をもらって、フィレンツェへと帰ります。

Le Bilodole
詳しい情報や宿泊予約は公式日本語サイト http://coccolo.jimdo.com/

素朴な人々と南の島

19 9月
2010年9月19日
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今月は、南イタリアと北イタリアの特徴的な町を一つずつ紹介します。

まずは南イタリア。
ナポリ湾に浮かぶ三つの島のうち、最も小さく知名度も低いプローチダ島です。
知名度が低いとは言っても、中には私のようにすっかりこの島に惚れ込んでしまい、何度も訪れるリピーターも多いんですよ。

観光客が増えるのは嫌なので本当は誰にも教えたくない、それでも黙っていられない、そんな特別なお気に入りスポットの一つです。

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ナポリ湾からフェリーに乗ると、30分ほどでプローチダ港に到着します。

ここは南イタリアの魅力満載の、素朴で飾り気のない港。
新鮮な魚貝が並ぶ魚屋さんなど、地元の人の生活をかいま見ることができます。

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プローチダの名を一躍有名にしたのは、名俳優マッシモ・トロイージの遺作となった「イル・ポスティーノ」という映画でした。
これは実在の詩人パブロ・ネルーダと、島の純朴な青年マリオとの心の交流を描いた感動作で、舞台となったプローチダ島の美しさが名脇役になっています。

上の写真は、撮影で使われた砂浜。
九月になると海水浴をする人もおらず、誰にも邪魔されずに映画の余韻を味わうことができます。

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この島の魅力はなんと言っても、美しい風景と、素朴な人々。
ちょっと散歩しているだけで、ブーゲンビリアが咲き乱れる可愛い家々を幾つも見つけることができます。

ホテルに向かって細い坂道を歩いていると、一台の車が散歩中の老婆の前で止まりました。
「シニョーラ、乗っていきます?」
「あらあら、ありがとう。お願いしますよ。」
老女がゆっくりと乗り込む間に運転席の女性は窓から顔を出し、私を見て「ついでだからあなたも乗りなさいよ。どこに行くの?送ってあげるわ。」と声を掛けてくれました。
こんな人情味のある触れ合いも、小さく平和な島だからこそ。

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島の南島に行くと、幻のように美しいコッリチェッラ港があります。
レモンイエローやパステルピンクのおもちゃのような家々、丸い屋根が特徴的な教会、ぷかぷかと浮かぶ小さな船・・・。

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漁師さんの船に乗せてもらって、海からコッリチェッラ地区を撮ったお気に入りの一枚。

初めてこの土地に足を踏み入れた時、一瞬息が止まりました。
そのくらい美しい港なんです!
とても現実とは思えないような、不思議の国に迷い込んでしまったような・・・静かで幻想的な風景です。

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この港には幾つかのBarやレストランがあって、海を眺めながらのんびりと食事することもできます。
私が頼んだのは海の幸の前菜と、魚のフライ。
どちらも魚が新鮮で、キリリと冷えた白ワインにとってもよく合います。

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地元の青年が、コッリチェッラ地区を対岸から眺めることができる秘密の場所を案内してくれました。
草をかき分け、危ない岩場を渡って辿り着いた先には、夕日に照れされた港が。

友人や恋人とわいわい楽しい旅もいいけれど、たまには現実を忘れて、一人静かに物思いに浸りたい。
そんな時にオススメしたい、小さな南の島です。

映画の世界に入り込める街、アレッツォ

18 9月
2010年9月18日
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アレッツォは、中部イタリア・トスカーナ州にある中世の都市。
ローマとフィレンツェとを結ぶ鉄道線上に位置するので交通の便が良く、車を持たない観光客にも訪れやすい、密かな人気スポットです。

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こちらは、街の中心にあるグランデ広場。
写真を見て「おや?見たことがあるような・・・」と思った人、鋭い!!
ここはロベルトベニーニの名作映画「ライフ・イズ・ビューティフル」の舞台として使われた街なんです。
撮影で使われた場所には、そのことを示す立て看板が立っています。

ぶらぶらと街を散策していると、映画に使いたくなるのも納得です。
古い中世の町並みがとても良く保存されていて、どの風景もまるで映画のワンシーンのよう!

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こちらは広場を眺めながら休憩できる回廊です。
真夏でも涼しい風が吹くこの場所は、観光に疲れた体を休めてランチやカフェをするのにぴったり。

そうそう、ここで一つ豆知識を。

この広場はジョルジョ・ヴァザーリという芸術家による設計です。
日本ではあまり知られていませんが、ヴァザーリと言えばフィレンツェのウフィツィ宮殿、ヴァザーリの回廊、ドゥオモの天井画などを手がけたことで、とっても有名な人なんです。
実は彼、ここアレッツォの出身で広場全体の設計もしていたんですね。

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広場の近くには、骨董品店の姿が目立ちます。
ここは月に一度、街全体を使った大きな骨董市が開かれることでも有名で、ヨーロッパ全土から掘り出し物を求めて人が集まります。

昔から芸術をこよなく愛してきた街だからでしょうか。
新しいお店や建物がある地区でも、アート関連のお店が多く、モダンアートと中世の雰囲気とが違和感なく調和している、洗練された街でもあります。

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こちらは、地元のパスタやサラミを扱う食料品店。
お土産を探しながらゆっくり歩いているうちに、陽が落ちてきました。

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アンティークガラスを扱うお店に、オレンジ色の光が灯ります。
うーん、ますます映画の中にいるみたいです。
最後は教会の鐘の音を聞きながら坂道を登って、夜のドゥオモを見に行きます。

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高く空にそびえる鉛筆型の鐘楼が、ドゥオモのシンボルです。
広場には夕食後の散歩を楽しむ人たちで活気がありました。

フィレンツェからは電車で1時間弱、日帰りでも十分楽しめる距離にあります。
大都市に飽きたらこんな街でお気に入りのアンティークを探してみる、なんていうのも楽しいですよ。

ヴェローナで幸せ祈願!?

06 9月
2010年9月6日
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南の小さな島の次は、まったく雰囲気の違う北イタリア・ヴェネト州にある街ヴェローナをご紹介しましょう。

ヴェローナはかの有名なシェイクスピア悲劇、「ロミオとジュリエット」の舞台となった街。
旧市街がよく残されており、世界遺産にも登録されています。

趣のある街の様子ももちろん見所の一つですが、なんでもヴェローナには、恋に効く幸せ祈願スポットがあるとか。
というわけで、日本からやって来た女友達と二人で、わいわい騒ぎながら幸せ祈願にやって来ました。

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こちらは街の中心にあるブラ広場。
「まるでディズニーランドやディズニーシーみたい!」と歓声を上げる女二人組。
言ってからすぐ気付きましたが、こっちが本家・本物ですよね。
でも思わずテーマパークに入り込んだかと思うほど、雰囲気のある建物が並びます。

気になる祈願スポットは、ブラ広場から徒歩10分ほどのところにあります。
その名も「ジュリエットの家」。
物語のモデルとなった、ヴェローナの名家カポレーティ家の建物が一般公開されてるんです。

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こちらが恋に効くというジュリエットの銅像。
ジュリエットの右胸を触ると愛を得られる、幸せな結婚ができるなどの言い伝えがあり、世界各国から集まった観光客たちで一年中いっぱいなのです。
毎日沢山の人々に触られたジュリエットの胸は、すり減ってピカピカ輝いています。

私たちももちろん、行列に並んで有り難く胸を触らせていただきました。

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銅像の近くには音声ガイドがあって、ジュリエットの家の説明を聞くことができます。(日本語なし)
その解説によると、入り口に彫られているこの帽子のマーク(帽子はイタリア語でカッペッロ)が、カポレーティという家名の由来であり紋章なんだとか。
カポレーティ家は当時栄えた家で、実際に美しい娘もいたようです。

シェイクスピアは戯曲を書くにあたって、イタリアやギリシャなどの伝承、古い書物などを参考にしました。
本物のロミオとジュリエットは誰だったのか、そもそも実在したのか、今となってはわかりませんが、この地方に昔から伝わるある男女の悲劇に似ていると、指摘する人もいます。

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「あちらは東、とすればジュリエットは太陽だ!」とロミオが叫ぶ、あの有名なバルコニーもありました。
別途料金がかかりますが家の中も観覧することができるので、バルコニーから顔を出してジュリエット気分に浸ってみる、なんていうのもオススメです。

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ヴェローナといえば、もう一つ絶対に忘れてはならないのがこちら。
夏には世界的にも有名な野外オペラフェスティバルが開かれる、円形競技場(アレーナ)です。

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こちらはヴェルディの傑作「アイーダ」の一幕。
入り口でキャンドルを受け取り、上演前に観客が一斉に灯すのがアレーナでの伝統です。
徐々に暗くなっていく会場の中で、無数にまたたくキャンドルの光。
興奮が最高潮に達した頃、音楽が奏でられゴージャスで荘厳な舞台が始まります。

普段オペラに興味の無い人でも十分に楽しむことができるので、ヴェローナを訪れた時には是非鑑賞してみてくださいね。

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