月別アーカイブ: 2月, 2011

目の前にあるのに見えない通路

27 2月
2011年2月27日
Pocket

数々の見所があるフィレンツェの中でも、一二を争う人気スポットと言えば、ウフィツィ美術館とポンテ・ヴェッキォ(ヴェッキォ橋)でしょう。

IT_0202_0101

ウフィツィ美術館はご存じの通りボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」やレオナルド・ダヴィンチの傑作「受胎告知」など、数々の有名絵画の宝庫。
そしてポンテ・ヴェッキォは宝石店が並ぶ独特の景観が特徴的な、フィレンツェ最古の橋です。

この二つは見たことがあるという人も多いと思いますが、じゃあこの二つを結ぶ秘密の通路があると聞いたら、「え、そんなのどこにあった?」って驚く人も多いんじゃないでしょうか。

ヴァザーリの回廊(Corridoio Vasariano)。
正しくはフィレンツェの政治の中心であったヴェッキォ宮殿から、かつてメディチ家の住居だったピッティ宮までを繋ぐ回廊です。

普段は一般公開されていませんが、年に数回不定期で、ガイドと共に巡るツアーが開催されます。
運良く予約を取ることができたので、この「ヴァザーリの回廊ツアー」に参加してきました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

狭い通路を通るので、ツアーは一回20名ほどの小グループ。
ウフィツィ美術館の中でガイドと待ち合わせをして、普段は固く閉ざされている木製の大扉をくぐると、いざ秘密の通路の中へ。

「回廊なんてどこに?」と思われた方は、上の写真をよく見てください。
手前の建物(美術館)から橋へと繋がる廊下のような赤煉瓦の屋根を確認できると思います。
回廊の壁にはずらっと絵画が掛けられているのですが、当然のことながら写真撮影は禁止。
その代わり窓から外を写すのはOKとのことだったので、ちょっと珍しいアングルからポンテ・ヴェッキォを見てみましょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

わかりますか?
これは回廊にある小さな丸窓から、ポンテ・ヴェッキォの宝飾店を見下ろした写真です。

そもそもヴァザーリの回廊は、1565年にメディチ家のフランチェスコ一世と、オーストリア皇女ジョバンナの結婚を記念して作られたもの。
これほど長い空中回廊を街の中心に作ることで、権力を見せつけるという役割もありましたが、住居であるピッティ宮から職場であるヴェッキォ宮殿に通うための、いわゆる「メディチ家の通勤路」でもあったのです。

ですからこの回廊はフィレンツェの支配者であるメディチ家にとって、とっても私的な場所。
市民にその姿を見せることなく、かつ市民の姿や声は聞いておきたい・・・という我が侭な願望が、この橋の上の小窓によく現れています。
この窓、外からは中にいる人の姿が見えにくい仕組みになっていて、メディチ家の人々はここから橋を行き来する人々の生の声を盗み聞きしていたようです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

もう一つ、メディチ家のプライベートスペースとして大切な役割を持っていたのが、回廊半ばにあるこの窓。
これは回廊がサンタ・フェリチタ教会を通り抜ける部分で、メディチ家専用の特別席でミサを聞くことができるようになっています。
つまり彼らは家から一歩も外に出ることなしに、回廊を抜けてミサを聞きに来ることができたのです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

一時間ほどのツアーを終えて、ようやく出口が見えてきました。
本来この回廊は住居部分にまで繋がっているそうですが、ヴァザーリの回廊ツアーではピッティ宮殿の庭が最終出口になっています。

メディチ家の息吹を感じることができる、貴重な体験でした。

冬のお楽しみ、蒸気機関車がやって来た!

22 2月
2011年2月22日
Pocket

毎年冬になると、フィレンツェ中央駅の下にある旅行代理店に、こんなチラシが張り出されます。
「trenino a vapore(蒸気機関車)のチケット発売中!」そう、年に数回、この時期だけ走る特別な蒸気機関車があるのです。

「子供たちにはお土産付き。」
「現地で暖かいポレンタ(とうもろこしの粉を使った伝統料理)あり。」
「クリスマスマーケットも開催中。」
などなど、レトロなデザインのチラシには夢のようなプログラムがぎっしり書かれていて、とっても楽しそう!
これは是非一度参加してみなければ。
というわけで、私も友人一家と一緒に、蒸気機関車の旅に出ることにしました。
折しもフィレンツェは大寒波に襲われて雪もちらついていた日・・・でも寒さに負けずに、いざ出発!!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

じゃん!
私は本物の動く蒸気機関車を見たのは、これが初めてかもしれません。
蒸気を吐き出す様子も大迫力です。
今からこれに乗って旅をするのかと思うと、冒険の旅に向かうみたいでワクワクします。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

運転手さんもとってもレトロな衣装で、まるで映画のワンシーンのよう!
赤いスカーフにくわえタバコ姿がとってもお似合いです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

友人一家と駅で待ち合わせた後、いざ車内へ。
木の椅子や、素朴な絵など、車内のデザインもとっても可愛い!
小さな子供連れの家族が多く、子供たちが大はしゃぎして叱られるというお決まりのシーンもあちこちで見られました。
でも本当は、大人だってみんなワクワクドキドキしてるんですけどね。

雪のために少し出発が遅れましたが、警笛が鳴ってゆっくりと汽車が走り出しました。
外は一面の雪景色。雰囲気はばっちりです。
これからフィレンツェ近郊の小さな村に行き、現地で自由散策、そしてまた夕方に集合してフィレンツェに帰ってくるという一日小旅行です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

途中、小さな駅に停車してトイレ休憩。

汽車に乗ることが目的の旅ですから、今回は車内に居る時がメインイベントです。
現代の快適な電車とは違った不便さも、楽しみの一つ・・・とは思っていたんですが、次々と予想もしなかったハプニングが発生!

中でも大変だったのは、幾つかの車両の暖房が壊れていて、気温が零下になっていたこと。
どおりで寒いと思った・・・。
窓が内側から凍り付くほどの寒さだったので、さすがにこのままずっと座っていては体に悪いということになりました。
全席指定の満席だったので単純に空いた席に移動するというわけにもいかず、スタッフや大人たちが協力し合い、小さな子供を優先して暖房が付いた車両に移動することに。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

目的地に着く頃には、大人たちはみんな寒さでフラフラになっていました。
さっそく、暖かい食事と太陽の光を求めて街を散策します。
到着したのはフィレンツェよりも更に気温が低い、山に囲まれた田舎町。
雪で白く輝く山を見ながら散歩していると、徐々に元気が戻ってきます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

夕方にはまた駅に戻ってきて、再び蒸気機関車に乗り込んで出発です。
この後汽車は雪の影響でダイヤが大幅に乱れ、予定時刻から大幅に遅れてなんとかフィレンツェ駅まで帰り着きました。

固い木の座り心地、雪の中を暖房なしで走ったこと。
確かに不便なことは山ほどあったけど、それも過ぎてみるといい思い出です。
やっぱりまた機会があったら乗ってみたい、そんな特別な魅力がある蒸気機関車の旅でした。

隠れた名物料理、パニガッチ

19 2月
2011年2月19日
Pocket

イタリア料理の面白いところは、地方によってまったく異なる郷土料理があり、現在でも地域によってまるで違う食文化を守り続けていることです。
「ミラノ風カツレツ」や「ヴェネツィアのイカスミリゾット」などのように、他国から観光客がやってきたことで全国的に有名になった郷土料理もありますが、基本的に家庭で食べられている物は地方によって大きく異なります。
そのため、イタリア人同士でも「え、そんな料理聞いたことない!」「俺の出身地ではそんな食べ方はしなかった!」なんて驚きがしょっちゅうあるんです。

そんな地方色豊かな郷土料理の中でも、これを知っている人はかなり珍しいと言える料理、「パニガッチ」専門のレストランに行ってきました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こちらがレストランの外観です。
山の頂上付近に立つ一軒家のような建物で、目の前には絶景パノラマがあります。
レストランの人に口止めされてしまったので、残念ながら店名は秘密。
地元の人には有名なお店ですが、くねくねと山道をひたすら登り続けないと辿り着けないという、かなり不便な場所にあります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

これが、パニガッチ(単数形の時はパニガッチョと言いますが、通常は複数形で使われます)。
フィレンツェからおよそ110km北上した、マッサ・カッラーラ県にあるポデンツァーナという地域の郷土料理です。

この15cmほどの薄いパンのような物に、地元のサラミやチーズをたっぷりと挟んで食べる素朴な料理。
あっという間に全部食べられてしまったので写真では一枚しか写っていませんが、「パニガッチ4人前!」というように注文すると、カゴいっぱいに焼きたてのパニガッチが積まれてやってきます。
食べ終わるとまた追加がどんどんやってくるところは、まるで日本のわんこそばのよう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

挟む物も多種多様で、クリームチーズが好きな人もいれば、ゴルゴンゾーラが良いという人もいるし、プロシュット(生ハム)や様々な種類のサラミ、更にはチョコレートを挟んでデザートにすることもあって、テーブルの上には所狭しと具が並びます。
せっかくだから大人数でワイワイと騒ぎながら食べたい、そんなところは手巻き寿司にも似ているかもしれませんね。
ただ挟むだけじゃなく、茹でてから食べるという方法もあって、私はこちらの方が好み。
茹でる場合はジェノバペーストをたっぷりとかけるか、シンプルにパルメジャーノチーズとオリーブオイルを振りかて食べるのお決まりです。

パニガッチの他にも野菜や煮込み料理などが次々とやってきて、ワインも頼んだ上で一人15ユーロ程度と格安値段だったので、お店の人が「これ以上お客さんが増えても困る!」と言うのも納得できます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ではパニガッチはどうやって作っているのか、台所にお邪魔してみましょう。
まずは、大きな暖炉で丸いテッラコッタのお皿を焼きます。
暖炉の中には次々と素焼きのお皿が投げ込まれていきます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

熱々にお皿が熱せられたら暖炉から取り出し、小麦粉を水で練った素朴な生地を流し込みます。
生地を入れたら別のお皿を載せ、また生地を入れ、お皿、生地・・・の繰り返し。
暖炉で暖められたお皿で上からも下からも一気に加熱された生地は、先ほどの写真のような丸くうすべったいパンのようになるのです。

古くは農民たちが家の暖炉で作っていた食べ物で、今でもこの地域の人たちは家にパニガッチ用のテッラコッタのお皿を持っていることが多いようです。
家庭で、地域のお祭りで、そしてレストランで、何百年も受け継がれてきた伝統の味。
これからも大切にしていきたい、イタリアの無名の宝物です。

宮廷画家の展覧会

11 2月
2011年2月11日
Pocket

フィレンツェ中心街、ドゥオモからも歩いて3分ほどの場所に、パラッツォ・ストロッツィ(ストロッツィ宮殿)があります。
かつてはフィレンツェの有力貴族だったストロッツィ家の住居で、現在は様々な催し物や展覧会などに使われています。
昨年9月からこのストロッツィ宮殿で開かれていた「ブロンヅィーノ展」に行ってきました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こちらが入り口。
会期の最後の一週間は夜も23時まで会館しているというので、平日夜に行ってみたのですが・・・長蛇の列。
もっと早くに観に来て居ればゆっくり観られたんでしょうけど、みんな考えることは同じ。
終了ギリギリになって飛び込む私のような人が多いので、この時期はどの時間も大混雑なんだそうです。

IT_0201_0102

オーディオガイドを借りようと思って列に並んでいると、貸し出し所で働いていたのはちょうどこの展覧会を薦めてくれた友人でした。
「オーディオガイド借りるの?あ、でもちょっと待って。あと5分したら私たちの仲間がガイドをして、詳しい説明付きで展覧会を回ることになってるのよ。予約制なんだけど、特別に入れてあげる!」
とのこと。
さすがコネの国、イタリア。
イタリアで持つべきものは、やはり友!
ガイドはイタリア語のみですが、やっぱり機械が一方的に喋るのを聞くよりも、人間がゆっくりと説明してくれた方が面白いに決まってます。
イヤホンを受け取って、ツアーの参加者に混ぜてもらうことにしました。

IT_0201_0103

こちらは併設されていた写真展のパンフレットです。
展覧会の中は写真撮影禁止だったので、今回はいい写真がなくてごめんなさい。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

展覧会の写真は撮れませんでしたが、その代わりに展覧会の後散歩した、夜のフィレンツェの写真です。

さて、ブロンヅィーノという名前は日本ではあまり有名ではありませんが、メディチ家の宮廷画家として活躍したと言えば、「ひょっとしてあの絵・・・」と思い当たる人もいるかもしれませんね。
かつてフィレンツェを支配した強力な一族、メディチ家。
ブロンヅィーノは彼らの面影を今に残す、沢山の肖像画を描きました。

ブロンヅィーノの本名はちょっとややこしい、アーニョロ・ディ・コジモ・ディ・マリアーノ・トーリと言います。
どれが名前だか名字だかよくわからくなりそうですが・・・ブロンヅィーノというあだ名は、彼の髪の色が青銅(ブロンゾ)だったからなんだそうです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

展覧会は彼の師匠であるポントルモの作品などもあり、師弟の絵を見比べることもできるようになっています。
未公開だった作品や、フランスのルーブル美術館から取り寄せた作品などもあり、かなり見応えのある大規模な展示でした。

中でもため息が出そうになるのは、チケットにも印刷されていたメディチ家のお后様「エレオノーラ」の肖像画。
ここで描かれた彼女のドレスの精巧さ、美しさは、とても400年以上の時が経過しているとは信じられないほどです。
この絵に描かれたドレスがあまりにも素晴らしかったため、後日「エレノオーラはこの服を着て埋葬された」など様々な憶測と伝説を呼んだのだとか。

今回私が参加したのは、お喋り上手のガイド共に館内を回る、1時間半ほどのツアーでした。
イタリアでガイドと一緒に美術館を回ったのはこれが初めてでしたが、これなら予約してでも参加する価値があるなぁと納得です。

Copyright© 2017 イタリアトレンドナビ All Rights Reserved.