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もう一つのシルクロード

30 10月
2008年10月30日

シルクロードというと、アジア(特に中国)からヨーロッパまでの貿易路を言うのであるが、もう一つのシルクロード、忘れられているシルクロード、認識されていないシルクロードがある。
Nao de China(中国の船と言う意味であるが、決して中国船ではない)またはマニラのガレオン船ともいう大型帆船の太平洋航海路である。

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写真の説明 : メキシコがムエバ エスパーニャの植民地時代、本国スペインは、メキシコをはさんで、太平洋と大西洋を航海して、アジアの品々をスペインに持ち込んだ。

メキシコの植民地時代(16~18世紀)アジアのフィリピン(ここも当時スペインの植民地であった)のマニラと当時ヌエバ エスパーニャと呼ばれていたメキシコのアカプルコの間で
ガレオン船(大型帆船)がスペイン王国の貿易船として、太平洋を航海してアジアとの貿易を行った。

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写真の説明 : メキシコ市 中央郵便局 4階の海軍博物館の中の展示のガレオン船の模型。
当時、イギリス、オランダなどの海賊船の襲撃を防ぐために武装した帆船であった。

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写真の説明 :今のアカプルコ。大リゾートとして発展。今も港町でもあり、大型客船なども入港する。

アジアからの豪華な商品(中国の絹も含めて)が、アカプルコの港に荷揚げされ、その多くの商品は、またメキシコを陸路で横断して、メキシコ湾のベラクルスの港より、
また、船でスペイン本国へ運ばれた。

当時、この太平洋の航海は、北太平洋海流の流れを利用して行ったものである。
アカプルコから、北赤道海流に乗りマニラ到着、帰路は、まず黒潮海流に乗り日本沖まで来て、その後、偏西風による海流の流れに乗って、カルフォニアに到達して、
その後、南に下りアカプルコに到着するというものである。
だが、行きはよいよい帰りは怖い。じゃあないけど、帰路、特に日本沖でよく船が難破したという。

だが、この難破船で、日本とメキシコとの関係の歴史が生まれるのである。
1597年の長崎の26聖人の殉教の出来事。
1613年の支倉常長の慶長遣欧使節など。

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写真の説明 :モレロス州、クエルナバカのカテドラル教会にある長崎の26聖人の殉教の物語が描かれた絵

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写真の説明 :メキシコ市 中心街にある サン フランシスコ教会。
この教会で、慶長遣欧使節の随行員の多くの人がカトリックの洗礼を受けたという説もある。

このもう一つのシルクロードによって、アジアからの商品として絹の他、磁器製品、ペルシャのカーペット、日本からの屏風や扇子、たんす、インドの綿、象牙、その他もちろん香辛料などなど。
そして、メキシコからは、銀、染料のコチニージャ、タバコ、カカオなど、また、スペインのワイン、オリーブ油など。

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写真の説明 ;Franz Mayer博物館のコレクション。当時アジアから持ち込まれたたんす。

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写真の説明 : Franz Mayer博物館のコレクション。中国からの陶磁器。

これは全て贅沢品で、これらの輸入品を買う事ができたのは、ヌエバ エスパーニャでも、支配者の金持ちだけで、一般庶民は、それを羨望で見ていた。
だが、人々は、その豪華な商品を見て、それを見習った。
そして、自分達の民芸品などの製作にその方法なども取り入れていった。
メキシコの文化は、メキシコの物は、スペインなどの西洋文化と先住民文化の融合とよく言われるが、けっしてそれだけではない。東洋的要素もふんだんに混じっている。

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写真の説明 :1700年代のプエブラのタラベラ。Franz Mayer博物館のコレクション。
確かに中国のものと比較すると見劣りがするかもだが、それに学ぼうとしたと思うがどうだろうか?

先住民の織る絹のレボソというショール、細かな刺繍などの入った民芸衣装、プエブラのタラベラ陶器(もちろんスペインから伝わったものと言われるが、あの青は中国の陶器の色を誰もが想像するだろう)、ミチュワカン州やゲレロ州の漆器、ベラクルスの民族舞踊で使う扇子。
アジアの物と決して同じではないが、だが、その影響を見る、感じる。
また、地方の村祭りなどでよく行われる闘鶏などは、アジアから伝わったものであるだろう。闘牛はスペインだけど。

また、当時、人の移動というのも当然あった、特にフイリッピン人や中国人が、労働力として、やってきた、いや連れて来られた。彼らはインディオ チナ(中国のインディオ)と呼ばれた。
アカプルコには、フイリッピン人の苗字を持つ人も多いと聞く。

また、支倉常長の使節団に同行した人の中で、それぞれの理由があったであろうが、アカプルコなどに居残った人も多かったと言う。
いってみれば、メキシコの日系の最初の人々となったのかもしれない。

もう一つのシルクロードを通して、人々、物、文化の交流が、500年になろうという昔にメキシコとアジア、日本ともあったと言えると思う。

支倉常長の主人、伊達政宗の慶長遣欧使節の本当の目論見は、キリスト教布教なんかじゃあない、貿易によって富を得たいというものであったであろう。

今、世界はグローバルである時代であるが、メキシコやラテンアメリカの目はアジアや日本に向いているように思う。
メキシコと日本の自由貿易協定も、2005年施行された。
世界の自由貿易の波が広がっていくのが時代の流れである。
それによって全ての人々が平等に恩恵を受けるかどうか?は別問題で、でも、グローバル時代の流れは変わらないだろうし。

500年もの昔、苦難のもう一つのシルクロードを通して、富(経済と言うべきか?)への願望があり、その結果として人々や文化の交流もあった事を思う。

フェリックス キャンデラの建築

26 10月
2008年10月26日

建築について、何も分からない私がこの題名で書くのはおこがましい。
世界遺産になったメキシコの建築家ルイス バラガンの邸宅やバラガンの作品建築物同様にキャンデラの作品を、建築家やその道を勉強する学生などは、その作品を見るためだけに、
メキシコを訪問する。

何故なら、メキシコが生んだ偉大なる二人の建築家の作品である建築物は、ほとんどメキシコにあり、いや、メキシコしかないともいえるからだ。

建築家や建築に興味を持つ人だけでなく、私のような、何も知らない建築無知でも、その建築物を見ると、感動する。
だから、建築家でなくっても、別に建築にそれほど関心がなくっても、もし美しいものに心引かれるんだったら、メキシコを訪れる機会に、ちょっとだけ訪れてみても、けっして損はないものとして、
このキャンデラの作った教会などを紹介したい。

キャンデラというと、HPシェル構造建築の大家という。
そのHpシェル構造とは?
説明の受け売りであるが、双曲方物面とも呼ばれるもので、縦に切ると放物線、横に切ると双曲線、45度に切ると直線という非常に合理的な形の曲面と。

シェルとは貝殻の事で、柱や梁もない曲面をつかって、つまりシェルの強さとは力が均等に配分されるという形態自体のもつ特徴を建築に応用する事である。

それで、キャンデラは、平均の厚さが4センチという薄いコンクリート板では驚異的な柱も梁もない曲面を使って巨大な貝のような建物を作り上げた。

かれは、数学がたいへん得意だったらしいが、コンピュータのない時代に、それを計算して、建築物を作り上げた。

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写真の説明 : メキシコ国立自治大学 宇宙線研究所 初めてHPシェル構造の建物を作る

教会の内部は、そのシェルの曲線と美しいステンドガラスで、荘厳な雰囲気を作り上げ、カトリックでもなく宗教心のない私でも、あっ!と思わせられた。

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写真の説明 :サン ビセンテ デ パウル礼拝堂 この形は昔の修道女がかぶた帽子の形がモデルとか。

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写真の説明 :サン ビセンテ デ パウル礼拝堂 内部

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写真の説明 : サン アントニオ デ ラス ウエルタサ教会 内部

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写真の説明 :サンタ モニカ教会 内部、一本の祭壇のところの60度に傾いた柱がなんとも不思議な雰囲気を作っている。

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写真の説明 : ヌエストラ セニョーラ デ ラ  ソレダー教会

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写真の説明 : ヌエストラ セニョーラ デ ラ  ソレダー教会  内部

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写真の説明 : ビルヘン ミラグロサ 教会

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写真の説明 : ビルヘン ミラグロサ 教会 内部

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写真の説明 : ソチミルコのレストラン

ある人が言った。
キャンデラの建築物もバラガンの建築物と同様に、世界遺産の価値がある。
かれは、メキシコ生まれでなく、スペインからスペインの市民戦争の時、メキシコに亡命して来た人で、残念な事に世界遺産申請がされていないと。

そうのうち世界遺産に登録されるかも?
そしたら、今のように、教会で、誰でも入れるのが、ルイス バラガンの建築物のように、写真も禁止、予約が必要、入場料も取られるなあ~んて事になるかも?

いや、教会と個人の住宅の違いがあるから、それはないかあ?

でも、教会を見学する時、そのエチケットは心得るべきである。
教会は人々がお祈りをしているところである。
建物に興味があるからといって、その場にいる人々を無視して、フラッシュなどバシャバシャたいたり、教会内部を闊歩するような事は慎むべきである。

追記
教会は、午後1時くらいから、4時か5時くらいまで、ドアが閉じるところが多いので、できたら午前中に訪ねるのがいい。

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