食事は一日5回
ポーランドでは、食事は一日5回とるのが理想といわれています。
まず朝早くおきて、ホットコーヒーやミルク、サンドイッチなどで朝食(シナダニェ)をとり、職場や学校へ向かいます。ポーランド人の朝は早く、大体6時か7時には、皆起きています。
午前10時頃、はやくも小腹がすくので、第二の朝食(ドゥルギエ・シナダニェ)をとります。家から持参したサンドイッチや、リンゴやトマトなどで軽くビタミンを補給、職場ではコーヒーブレイクタイムに、子供は学校の休み時間に、このドゥルギエ・シナダニェをとります。
ポーランドの朝の食卓
15時頃家に帰ると、一日のメインである昼食(オビヤド)です。子供が学校から帰り、仕事のほうも午後2時ごろに一区切りつくので、昼食は自宅で家族そろって取るのが基本です。オビヤドでは、まず前菜としてスープ、その次にメインの肉料理を食べます。主食のじゃがいもを、マッシュポテトやベークドポテトにして、コトレット(ポーランド風カツ)やゴロンカ(豚もも肉の煮込み)など肉料理の付け合せにします。肉料理の付け合せには、マカロニやリゾットも好まれていますが、洋食ばかり食べている日本人が白いお米が恋しくなるように、ポーランド人も、三日に一回はじゃがいもを食べないと、恋しくなるそうです。
今日のオビヤドはコトレットに茹でたじゃがいもの付け合せ
18時頃の四回目の食事(ポド・ヴィエチョレック)では、コールドプレートなどの軽いものか、ケーキなどのデザートに紅茶かワインですませます。午後のティータイムにあたる感覚です。
昼食(オビヤド)と、この4回目の食事ポド・ヴィエチョレックは、どこの家庭でも力が入ります。肉料理は料理の腕の見せ所ですし、ティータイムに代々伝わる自家製のケーキを焼く家もあります。日本の夕食同様、一家団欒のひと時だからです。なので朝食や夕食(夜食)などは各自キッチンで済ませても、オビヤドとポド・ヴィエチョレックは、一家そろってダイニングでとるのが理想とされています。また親戚や友人を家に招待する際も、このオビヤドかポド・ヴィエチョレックに招待するのが普通です。
親戚一同そろっての、ポド・ヴィエチョレック
そして夜20時ごろに、5回目の食事、夕食(コラツィア)をとります。パンにハムやチーズなどを挟んだ簡単なサンドイッチが一般的ですが、昼食の残りのスープをパンと一緒に食べる人もいます。夕食というよりは、夜食といったほうが適当かもしれません。
ざっと以上がポーランド人の伝統的な食生活です。なんだか読んでいるだけで、おなかがいっぱいになりそうですね。もっとも最近は時間の都合で3回や4回の家庭も多くなってきており、その場合は、第二の朝食(ドゥルギエ・シナダニェ)や、四回目の食事(ポド・ヴィエチョレック)は省かれることも多いようです。
また何回目にこれを食べなければいけない、という決まりはありませんが、例えば、朝食は、サンドイッチなどの軽いものが普通のようです。いつだか私が朝からラーメンを食べていたら、ポーランド人の夫から「朝からそんな重い物を食べるなんて信じられない」といわれてしまいました。逆に、メインである昼食(オビヤド)は、温かいものと決まっています。真夏に冷やし中華を出したら、「こんなサラダみたいなもの昼食に食べられない」とまたまた文句が来てしまいました。どんなに暑い日でも、汗を流してでもオビヤドは温かいを食べないと、食べた気がしないそうです。「美味しいもの=温かいもの」の図式は北国ポーランドならではですね。
ポーランドでは昔から、「どんなに経済的に苦しくても、食事にはお金を惜しまず」を美徳としてきました。1980年代の経済破綻の時も、一部肉や果物などが不足したものの、農業国のポーランドでは、食べるものには困りませんでした。バラエティにとんだメニューを、少量ずつ(日本人にはそれでも結構な量ですが!)、小分けにして食べることで、日ごろから健康的な生活を心がけています。その証拠に、ポーランドのお年寄りはみなとても長生きなんですよ!