「美味それとも珍味?旬の味ルバーブ」

19 5月
2011年5月19日

「蓼(タデ)食う虫も好き好き」という諺があるが、このタデ科に属する野菜にルバーブがある。ドイツ語ではラバーバーRhabarberといい、シーズン(春から初夏)の間はカフェやお菓子屋さんで売られる季節のパイやケーキのレパートリーとして大変ポピュラーなのだが、諺の示す通り好き嫌いは人によって真っ二つ。ある人は大好きだと言うし、またある人は「コレを好きな人がいる」ということに感謝するぐらいだ。

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カフェ前に出されている「自家製ケーキ」看板の様子。スモモやリンゴの王道ケーキと並んでルバーブのケーキ(赤色で下線)が載っている。

ルバーブの原産地はヒマラヤ地方。スイスでは古くから西部のフリブール州とヴォー州にまたがるムルテン湖北側地方が産地として知られているが、最近では我がトゥールガウ州やお隣のシャフハウゼン州でも栽培が盛んになっている。
本来は野菜なのだが現実的には果物の一種として扱われ、味は超酸っぱいものから甘い(と言ってもイチゴやモモの様に甘いという訳ではないが)ものまで様々。茎の色は赤から緑まで多くのバリエーションがあり、原則的に茎が緑色のものは酸っぱいとされるが、これは熟しているとかいう問題ではなく種類の違いによるものだ。食用にするのは茎部分のみで、葉を落とし薄いフィルム状の外皮を剥いてから適当な大きさに切って使う。料理方法としてはコンポート、ジャム、パイ、ケーキなどが代表的だ。

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ルバーブの特徴はそれに含まれる「シュウ酸」という成分。原則としてルバーブのシュウ酸量は茎が緑色のものの方が赤色のものよりも多く、また収穫時期が遅くなるにつれて増える。シュウ酸はカルシウムと結合する性質があることで知られており、過度に大量に摂取すると体に影響を与えることも有るので注意が必要だ。シュウ酸はルバーブを加熱調理することでもある程度下げることができるが、やはり最終的には各人で判断し、食べる際には量に注意しながらカルシウムを含むヨーグルトなどの乳製品と一緒にいただくのが望ましい。

シーズン中には一般のスーパーや路上マーケットなどでも買い求めることができる。

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収穫後半年ほど冷凍保存も出来るためシーズン外でもルバーブのケーキやパイなどを出す所もあるが、やはり基本的には春から初夏にかけての「期間限定」素材だ。ヒマラヤ地方原産ということもあり暑さには弱いが耐寒性は抜群、しかも大変強い多年草なのでスイスでは一般家庭でも簡単に育てることができる。大きく育つため1株あたり1㎡ほどのスペースが必要だが、スペースさえ充分であれば鉢植えでも育てられ、水やりと常識的な肥料以外の世話はほとんど必要なく植えっぱなしでOKだ。我が家にも庭にルバーブを植えてあるが、冬場に零下20度になろうとも毎年3月下旬には芽吹き始め、4月下旬には「茂り過ぎ!」と思うほどに成長してくれる。

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私の知る限り害虫などの被害に遭ったこともなく、時折葉を食べる物好きなナメクジやカタツムリがいる程度だ。
新たに植える場合、秋に植え付けを行うと翌年の春にはもう収穫が可能だが、実際に「使える」収穫が期待できるのは2年目以降から。収穫は大規模栽培をしている農家でも機械は使わずに手作業で行われる。ルバーブは下の写真の様に

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中心を成長点として放射状に生えるのだが、茎は刃物などで切るのではなく外側に生えているものから順に1本1本手で「ねじり取る」のがセオリーだ。

面白いことにドイツ語文献の多くには「ルバーブの採取は4月から聖ヨハネの日Johannistag(6月24日)までという古い決まりがある」との記述がある。理由は「植物を収穫のダメージから回復・成長させて翌年に備えるため」とか「ルバーブに含まれるシュウ酸が強まってくるから」とか諸説あるが、6月24日の聖ヨハネの日というのは欧州では天文学的・宗教的・歴史文化/慣習的に「夏の節目」の日なのだそうだ。この日を収穫の終わりの目印にする植物はルバーブ以外にもあり、例えば春の味覚の代表であるアスパラガスの収穫も伝統的にはこの日までとされる。逆にこの日を目安に収穫が始まるものはフサスグリJohannisbeere。アスパラガスとフサスグリについては別の機会に改めて紹介したい。

参考文献:
Rhabarber: Frühlingsgenuss für Liebhaber, von Roland Wyss-Aerni, 18. April 2008
http://www.lid.ch/de/medien/mediendienst/artikel/infoarticle/94/

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