「チューリッヒを駆け抜けろ!SOLA -Stafette」

10 6月
2011年6月10日

スイス人はスポーツを観戦するのも自分でするのも大好きだ。観戦スポーツとしては4月の記事で紹介したシュウィンゲンやサッカー・アイスホッケー・スキージャンプ・アルペンスキー、自分でするスポーツとしてはスキー・射撃・サッカー・バレーボル・自転車・乗馬・インラインスケート・ノルディックウォーキング(自然の中を競歩に近いスピードで歩くもの)そしてやはりジョギングが人気だ。スポーツクラブや団体に所属していない一般人が参加できるスポーツイベントというものも多く、代表的なものは毎年3月にグラウビュンデン州で開催されるクロスカントリースキーレース「エンガディン・スキーマラソンEngadin Skimarathon」、そして5月にチューリッヒで開催される駅伝レース「ソラ・シュタフェッテSOLA-Stafette」だ。

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SOLAの発祥はスウェーデン。スウェーデンでは1967年から1998年までヨーテボリGöteborg ―カールスタッドKarlstad間の252.7kmを走るコースで開催されていた。スイスでは1974年から始まり、今年で38回目の開催だ。最初の約10年間はザンクト・ガレンSt. GallenからチューリッヒZürichまでの約95kmを走るコースだったが、交通渋滞などの問題もあって1986年からはチューリッヒの中心市街地を囲む丘を廻る約117kmのコースに変わった。コース全図はこちらから↓
http://portal.sola.asvz.ethz.ch/infos/Documents/totalstrecke_large.jpg
スイスのSOLAは元々はチューリッヒ学術スポーツ組合Akademischer Sportverband Zürich(略称ASVZ)が運営する学生スポーツイベントで、現在も運営はASVZだが、参加者はETH(連邦工科大)やチューリッヒ大学の学生だけに留まらず、そのOB/OGや他大学の学生や一般社会人も多い。

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SOLAの面白いところは、ただ単に各人が20kmとかを走るのではなく、14人のメンバーで構成されたチーム単位での参加であるところ。この起伏ある約117kmの丘コースは14の区間(うち2区間は女性ランナー限定)に非均等分割されており、それを14人のチームメンバーでシュタフェッテStafette(=リレー/駅伝)しながら走るのだ。5月7日(土)に開催された今年のSOLAは790チームがスタート。うち20チームはタイム計測の不備や途中リタイアで記録が残っていないので、完走扱いは770チームだ。790チーム×14で単純計算すると合計11060人、完走の770チーム×14だと10780人が走った計算になる。伝統的にスイスのスポーツイベントで最も多い参加者数を誇る前出のエンガディン・スキーマラソンの今年の公式完走者数は10758人だったので、SOLAは今ではスイスで1・2を争う巨大スポーツイベントに成長したと言える。

SOLAのリレー方式は、バトンや“たすき”ではなくタイム計測用の特殊なメモリースティックを次走者に渡すことで成立する。

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私は2007年からSOLAに参加しているが、第1区と第10区は女性が走らなければならないという規則があるということもあり、いつも第1走者だ。第1区は全14区間のうち最も短い4.4kmだが、朝が早い(7時30分スタートなので7時にはスタート地点にいることが望ましい)ので寝坊は許されず、また受付時にメモリースティックを確実に受け取らなければならない(信じられないことがだが、これを受け取り忘れて失格になるチームがある)ので責任重大だ。

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さらに第1区と第8区は「一斉スタート」(レースは第1区~第7区は午前中、第8区~第14区は午後と2分割されている)なため、スタート時の位置取りも重要だ。

2011年現在でのレース参加費用は学生チームが225フラン(約20000円)、OB/OGやその他一般チームが285フラン(約25000円)だが、これらの費用で賄われるASVZによるレースのオーガナイズは大変行き届いたもので、レース開催の約1ヵ月前にはチーム幹事の元にチーム名が入ったゼッケンや荷物用のステッカーや各区間ごとの詳細(コース・総距離・高低差・荷物受け渡し場所など)が記されたハンドブックが14人分まとめて郵送される。レース当日は水やスポーツドリンクなどの飲み物が無料提供され、参加者の荷物の輸送も無料、トイレはもちろんシャワーや着替え施設も各区のスティック受け渡し場所で無料で利用することができる。

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参加ランナーは全員が規定のチームゼッケンを着用するのだが、このゼッケンは何とレース日の終日チューリッヒ市内の電車やバスやトラム(路面電車)の「一日乗り放題パス」として使うことができる。

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これは参加者が他のメンバーの応援に行ったりする時に円滑に移動できるようにするということはもちろん、レース参加者の自家用車での移動を減らして環境に配慮するという運営者の意向でもある。

各区の中継地点近くにはプロのカメラマンが2~3人待機している。

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彼らは参加ランナー全員をもれなく撮影し、その膨大な量の写真はレースの翌日からゼッケン番号と通過タイムごとにソートされてウェブサイトにアップされる。

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メモリースティックによるタイムの計測方法も大変機能的だ。各区の中継地点近くに設けられた「タイム計測地点」には特殊な計測器を持った測定係の人達が大勢待機していて、ランナーがそこを通過する際に持っているメモリースティックを測定器に挿し込むことでその区間のタイムが計測・確定される。

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レースの翌日には全てのデータが集計されてウェブサイト上にアップされ、ゼッケン番号を入力すれば各区の個人タイムはもちろん、1km平均タイム、個人およびチームの区間および総合順位の推移などが一覧表や様々なグラフで表示される。至れり尽くせりだ。

レース終了後、参加ランナー達はチューリッヒ駅の約2km北側に位置するチューリッヒ大学Irchelキャンパス(レースの最終ゴール地点でもある)のメンサMensa(元々はラテン語で「テーブル」を意味する言葉だが、スイスやドイツではいわゆる大学の学生食堂のことをこう呼ぶ)でシュパゲッタータSpaghettataと呼ばれる晩ご飯(お代わり自由の4種類のスパゲッティ+サラダ+ミネラルウォーター+いちごのミニタルト+コーヒーもしくは紅茶で何と10フラン=約900円!)を愉しむのが恒例だ。

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キャンパス構内ではその後レースのビデオ上映やディスコなどのアフターレースイベントも催され、散々走った後まだ体力が余っている学生たちによるパーティーは翌日の明け方まで続く…!

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参考ウェブリンク
Akademischer Sportverband Zürich(ASVZ)
http://www.asvz.ch/

SOLA-Stafette
http://portal.sola.asvz.ethz.ch/

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