「ワンダーランド・スイス」

17 6月
2011年6月17日

スイスに旅行に行こうという場合、期待するのはやはり牛や羊がのんびりと暮らす丘や氷河を頂く美しい山々などの雄大な自然だろう。登山電車やケーブルカーで登る3000メートル級の山からの景色もそれは素晴らしいものだが、スイスの自然をもっと身近に感じて堪能したいという場合にはサイクリングやハイキングが一番だ。

スイスには総距離約60000kmに及ぶ「ワンダーウェグWanderweg」と呼ばれるオフィシャルな散策道がある。基本的にはこのような

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黄色いプレート表示が目印になっており、ワンダーウェグは特に計画もなくぶらりと歩いても(もちろん自転車で行っても)楽しいのだけれど、このワンダーウェグ網を使って距離や難易度や目的別に設定された「ハイキングコース」というものもたくさんあるので、これを使わない手は無い。
スイスのハイキングコースを紹介するウェブサイト「Wanderland Schweiz」
http://www.wanderland.ch
には約270のハイキングコースが掲載されている。地域や難易度別に検索もでき、コース地図はもちろん総距離や登りの程度などの情報も大変詳しい。その中から今回はチューリッヒから日帰りで行かれ、ハイキング初心者にも女性の一人歩きにも安心な絶景コースをひとつ紹介したい。

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チューリッヒ州の北側に境界を接するシャフハウゼン州Kanton Schaffhausenはワイン用ぶどうの栽培が盛んなことで有名で、その総作付け面積の7割をブラウブルグンダー種Blauburgunder(赤ワインを作るぶどうの代表種、日本ではフランス語呼称のピノ・ノワールPinot Noirの方が知名度としては上だ)のぶどうが占めることから「ブラウブルグンダーランドBlauburgunderland」の異名がある。今回紹介するハイキングコースはこのブラウブルグンダーランドのぶどう畑地帯を散策する、その名も「ブラウブルグンダーランド・パノラマウェグBlauburgunderland Panoramaweg」。全長約12kmなので時間にして3時間、登りも100mほどしかない緩やかなコースだ。コースの情報や詳しい地図はこちらから
http://www.wanderland.ch/de/routen_detail.cfm?id=338323

チューリッヒからシャフハウゼンまでは約50km、電車だと約1時間。直通列車もあるが、コンスタンツKonstanz行きやザンクト・ガレンSt. Gallen行きなど東方面行きの急行に乗って途中駅のウィンタートゥールWinterthurでシャフハウゼン行きに乗換えてもよい。中世の面影が現在も色濃く残るシャフハウゼンの街も見所満載だ。

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ハイキングコースは駅からきっちり20分のシブリンガーホーエSiblingerhöheというバス停からスタート。ほぼ終始美しい集落やぶどう畑を眼下に臨みながら春には菜の花畑、初夏には麦畑、盛夏にはひまわり畑などが広がる丘陵を進む。

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「パノラマ」の名が示すとおり見晴らしはとても良いが、これは同時に「林や森などを通らない」ことを意味し、即ちコース中はあまり日陰らしい日陰がない。帽子や紫外線対策はもちろんだが、特に暑い日には充分な量の飲み物の用意も必要だ(途中に1ヶ所キャンプ場の水道で水が補給できる所があるが、それ以外にはゴール地点まで何もない)。時折道端にベンチが設置してあるので、そこが日陰になっていたら休憩チャンスだ。
コース中はずっと前出の黄色いワンダーウェグのプレート表示があり、それに沿ってゴール地点のトラサディンゲンTrasadingen方面に西へ西へと進めばよいので迷う心配もない。途中には東西に連なるスイスアルプスを一望できる「アルペンブリックAlpenblick」と呼ばれる見晴らしポイントもあり

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名峰アイガーやユングフラウなども見える…はずなのだが、私が行った時は残念ながら雲が多く見ることができなかった。

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最後の2kmほどは下りで、ゴール地点であるドイツとの国境の村トラサディンゲンまでは村のぶどう畑の中を歩くことになる。

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このぶどう畑の中には「トラサディンゲン村ワイン散策路Trasadinger Wein-Wanderweg」という周遊散歩コースが設けられている。コース沿いにはぶどう農業・ぶどうの種類・ワインの製法などについての説明が書かれた計22枚の看板が設置されていて、それを順にたどりながら歩くと散策を楽しみながら同時にぶどうやワインのことも学べるという仕組み。

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そして村の中心から200mほど西に行くとそこはもうドイツとの国境だ。

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帰路はトラサディンゲンから電車でシャフハウゼンに戻るのだが、この路線はスイス鉄道SBBではなくドイツ鉄道DBが運営している(国境線が入り組んだシャフハウゼン州ならではだ)ので、スイスに居ながらDBにも乗ることができる。

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私が考えるSBBとDBの一番大きな違いは、DBは車内放送で「次は○○○駅、降り口は進行方向右側/左側です」と言ってくれること。SBBでは駅名の放送はあるものの、降り口の方向についての案内は皆無だ。トラサディンゲン駅は「本当にコレが駅?」と疑うほどの小さな無人駅で切符の券売機もなく(私は見つけられなかった)しかも電車の本数が大変に少ないので、事前にダイヤを調べた上で切符はハイキング開始前にシャフハウゼン駅などで前もって購入しておくことをお勧めする。

チューリッヒからシャフハウゼンへ向かう電車の中からは、シュロス・ラウフェン(ラウフェン城)駅Schloss Laufenの直後に渡るライン河にかかる橋の上から進行方向左手側に有名な「ラインの滝Rheinfall」も4秒間ほど(!)見ることができる。

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全長約1300kmの長い長いライン河で唯一の滝であるラインの滝には、このシュロス・ラウフェン駅が最寄り。チューリッヒで終日フリーの日があるけど何しよう?という場合の日帰り旅行候補のひとつとして、陽の長い夏季には健脚家にはこのハイキングと合わせて、そうでもないなぁという方にはシャフハウゼン市街やラインの滝観光をじっくりとどうぞ!

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