ベリー!ベリー!」

22 7月
2011年7月22日

イチゴはスイスでもとてもポピュラーな果物のひとつだ。スーパーなど店頭に並ぶイチゴは暖かいスペインやイタリアからの輸入品が多いが、前に紹介したシャフハウゼン州ではぶどう以外にイチゴの栽培にも力を入れており、旬には旧市街にもイチゴ農家の直売スタンドが出ている。

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庭やベランダでイチゴ栽培を楽しんでいる家庭も多いが、プロ農家のようなハウス設備やノウハウが充分ではないスイスの個人宅はイチゴ栽培に適しているとは言えないのが実情。スイスの家庭菜園にはもっと「涼しい夏を好み、耐寒性があって手入れが簡単な」種類のベリー達が適しているのだ。

スイス人にとって恐らく最も身近なベリーはラズベリーHimbeere。

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こちらの気候にもよく合っているのだろうが、ラズベリーはスイスでは個人の庭における栽培が最も簡単な果物の代表だ。風通しが悪く湿気が多くなると葉にカビが発生したり開花直前の花芽にアブラムシが付いたりすることがあるが、それ以外の大きな問題はなく、5月中旬に花が咲いてから約1ヵ月後には実が熟して収穫が始められる。
朝食のミュースリMüsli(スイスドイツ語ではミュエスリMüesliと呼ぶ)に生で入れて食べることも多いが、その独特な甘酸っぱい風味(これが嫌いな人もいる)はヨーグルトのフレーバーやお菓子の材料としても好まれ、スイスの典型的なお茶菓子クッキー「シュピッツブーベンSpitzbuben」に挟まっている赤いジャムはほぼこのラズベリーだ。

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ブラックベリーBrombeereもラズベリーと並んで身近な存在だ。ペクチンを豊富に含んでいてきれいに糊化(ゲル化)するのでジャムとして加工されることも多いが、ほぼ黒に近い濃紫色に熟した実は甘く、生で食べてもとても美味しい。花が咲くのは6月中旬、実が熟し始めるのは7月中旬だ。

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ラズベリーやブラックベリーはその辺のちょっとした道路端や野山にも自生しているので、容器を持っていれば散歩がてらに摘むこともできる。

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枝が道の真ん中にまで盛大にはみ出して伸びていることもあってちょっと邪魔だが、特にブラックベリーの枝を退かしたりまたいだりする際には植物全体のトゲ(茎に巨大なトゲがあるのはぱっと見にも明らかだが、実は葉の裏側にも鋭いトゲがある)に要注意。

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退かしたと思った枝が鞭(ムチ)のようにしなって戻ってくることがあるからだ。当たると当然とても痛い!

ラズベリーやブラックベリーは日本でも名前が知られているが、日本ではあまり耳慣れずスイスで大変ポピュラーなベリーにフサスグリJohannisbeereがある。フサスグリには赤・白・黒の3種があり、私もスイスに来た直後には「フサスグリなんて名前、聞いたことない」と思っていたが、黒い種類はカシスもしくはブラックカラントの名前で日本でもお馴染み(植物学的には黒は赤や白とは別の種に分類されるのだそうだが)だ。

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剪定した枝を地面に放置しておいたらそこからまた根を生やしてしまうほど生命力が強く、栽培も容易で寒さにも大変丈夫なので、庭のある家にはラズベリーやブラックベリーと合わせて植えられていることが多い。4月半ばに一瞬本当に花かどうかを疑うほど地味な薄黄緑色の花(大きさも形も洋服などを留める「スナップ」にそっくりだ)が咲き

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実が熟すのが2ヵ月後の6月下旬と時間がかかるが、特に赤い種類のフサスグリが庭先で名前の示す通り房状にぶら下がる様子は見た目にも大変に愛らしい。実の大きさは「数珠球」ぐらい。

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白は赤に比べて酸味がまろやかだが、それでもかなり酸っぱいので、生食よりは砂糖をたっぷりと入れたパイやジャムに加工する方が一般的だ。赤フサスグリのジャムはラズベリージャムよりも赤色が濃い鮮やかなルビー色になり、風味にクセが少ないのでファンも多い。前出のお菓子シュピッツブーベンにはこの赤フサスグリのジャムが使われることもある。
黒フサスグリとグースベリーの交配種でジューシーな果肉のヨスタベリーJostabeereや

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ブルーベリーに似た味のフェルゼンビァネFelsenbirne(ジューンベリー)

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も人気。フェルゼンビァネは直訳すると「岩梨」という意味で、果実の見た目や味は梨からは程遠いが、植物学的には梨の親戚。秋にはきれいな紅葉も楽しめる。
花の時の状態を見ると想像し易いのだが、ベリー達には皆大量の種子ができる。

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これはラズベリーの花。花の中心部外側にある先端が茶色いのが雄しべで、その内側にある白い雌しべの1本1本が実/種子を作る。イチゴやフェルゼンビァネの種子はほとんど問題にならないが、ブラックベリーやラズベリーやフサスグリの種子は結構硬い(しかも大きさが程良いので歯に詰まる!)ので、これらをジャムにする場合には果実をごく少量の水と一緒に煮た後、砂糖を加える前に「漉す」のが一般的だ。
ベリーのシーズンが過ぎようかという8月下旬頃になると、我が東スイス地方ではいよいよオブストObst(梨・りんご・スモモなどの果樹)シーズンの到来を迎える。オブスト抜きに東スイスは語れない!ということで、これについては秋に改めてたっぷりと紹介させていただきたい。

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