隠れた名物料理、パニガッチ

19 2月
2011年2月19日
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イタリア料理の面白いところは、地方によってまったく異なる郷土料理があり、現在でも地域によってまるで違う食文化を守り続けていることです。
「ミラノ風カツレツ」や「ヴェネツィアのイカスミリゾット」などのように、他国から観光客がやってきたことで全国的に有名になった郷土料理もありますが、基本的に家庭で食べられている物は地方によって大きく異なります。
そのため、イタリア人同士でも「え、そんな料理聞いたことない!」「俺の出身地ではそんな食べ方はしなかった!」なんて驚きがしょっちゅうあるんです。

そんな地方色豊かな郷土料理の中でも、これを知っている人はかなり珍しいと言える料理、「パニガッチ」専門のレストランに行ってきました。

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こちらがレストランの外観です。
山の頂上付近に立つ一軒家のような建物で、目の前には絶景パノラマがあります。
レストランの人に口止めされてしまったので、残念ながら店名は秘密。
地元の人には有名なお店ですが、くねくねと山道をひたすら登り続けないと辿り着けないという、かなり不便な場所にあります。

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これが、パニガッチ(単数形の時はパニガッチョと言いますが、通常は複数形で使われます)。
フィレンツェからおよそ110km北上した、マッサ・カッラーラ県にあるポデンツァーナという地域の郷土料理です。

この15cmほどの薄いパンのような物に、地元のサラミやチーズをたっぷりと挟んで食べる素朴な料理。
あっという間に全部食べられてしまったので写真では一枚しか写っていませんが、「パニガッチ4人前!」というように注文すると、カゴいっぱいに焼きたてのパニガッチが積まれてやってきます。
食べ終わるとまた追加がどんどんやってくるところは、まるで日本のわんこそばのよう。

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挟む物も多種多様で、クリームチーズが好きな人もいれば、ゴルゴンゾーラが良いという人もいるし、プロシュット(生ハム)や様々な種類のサラミ、更にはチョコレートを挟んでデザートにすることもあって、テーブルの上には所狭しと具が並びます。
せっかくだから大人数でワイワイと騒ぎながら食べたい、そんなところは手巻き寿司にも似ているかもしれませんね。
ただ挟むだけじゃなく、茹でてから食べるという方法もあって、私はこちらの方が好み。
茹でる場合はジェノバペーストをたっぷりとかけるか、シンプルにパルメジャーノチーズとオリーブオイルを振りかて食べるのお決まりです。

パニガッチの他にも野菜や煮込み料理などが次々とやってきて、ワインも頼んだ上で一人15ユーロ程度と格安値段だったので、お店の人が「これ以上お客さんが増えても困る!」と言うのも納得できます。

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ではパニガッチはどうやって作っているのか、台所にお邪魔してみましょう。
まずは、大きな暖炉で丸いテッラコッタのお皿を焼きます。
暖炉の中には次々と素焼きのお皿が投げ込まれていきます。

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熱々にお皿が熱せられたら暖炉から取り出し、小麦粉を水で練った素朴な生地を流し込みます。
生地を入れたら別のお皿を載せ、また生地を入れ、お皿、生地・・・の繰り返し。
暖炉で暖められたお皿で上からも下からも一気に加熱された生地は、先ほどの写真のような丸くうすべったいパンのようになるのです。

古くは農民たちが家の暖炉で作っていた食べ物で、今でもこの地域の人たちは家にパニガッチ用のテッラコッタのお皿を持っていることが多いようです。
家庭で、地域のお祭りで、そしてレストランで、何百年も受け継がれてきた伝統の味。
これからも大切にしていきたい、イタリアの無名の宝物です。

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