タイプーサムin KLバトゥケーブ

09 1月
2011年1月9日

KL中心地からハイウェイで15分ほど離れたバトゥケーブで、今年も1月20日にインドの代表的な宗教行事「タイプーサム」が行われる。

 毎年信者や見物者が150万人以上訪れるといわれており、最近では海外から「タイプーサム」を見学するツアーも組まれているほどだ。

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 「タイプーサム」とはヒンドゥー教の主神シバ神の息子、ムルガ神を崇める南インド発祥の祭り。何千人もの信者たちがKLのヒンドゥー寺院からバトゥケーブまで、カバディと呼ばれる御輿を担ぎ17キロメートルの道のりを練り歩く。
  バトゥケーブに到着すると、その年願い事が成就した信者たちは、精神をトランス状態にさせて鉄串を頬や舌に貫通させたり、多数のかぎ針を胸と背中に引っ掛けたり、背中にカギフックで引っ掛けられたロープで御輿を引っ張ったり、火の壷を持ったりという苦行をしながら、272段の階段頂上ムルガ神の像のある洞窟まで目指して行進する。
  こういった行列が次から次へと繰り出され、太鼓と音楽が、そして掛声、叫声、その雑踏と喧噪は異様な空間を作り出す。

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  信者は、事前に数日~数週間の断食やメディテーションをして身体と精神を準備するのだが、普通ならばできないことが可能になるのは厳しい修行によって神が体に乗り移るからだと信じているらしい。   

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  当日、バトゥーケーブ周辺一部は車両通行止めとなる。ハイウェイの両側には臨時バス、 観光バス、自家用車が延々と縦列駐車され、日中は交通渋滞と化すので私は朝6時に家を出た。(昨年訪問時)
 ケーブに近づくにつれ、だんだん人も多くなり、イ ンドのお香の匂いも一段と濃くなっていく。
  いきなり背中にプラムをたくさんぶら下げた信者が目の前に現れた。その後に孔雀の羽で飾られた大きな1人用のカバディを支えながら歩く人、火が燃え盛る大きな鉄壺を手の平にのせ、足底に釘を打ちつけたスリッパを履いている老人、直径1センチ以上はあるかと思われる鉄パイプを頬に貫通させている人が続く。
  
  
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  ゲートからぞろぞろとゆっくりとしたペースで歩いてきたが、階段の真下までまで来ると、もう自分のペースでは歩けなくなり、群衆の流れに身を任せるしかないという状態。後方から大きな叫び声が聞こえ、私は反射的に振り返った。そこには顔と体中を紅く塗り、目をカッと見開いて大声で吠えながら一心に歩こうとしている男がいた。
  時々真っ赤な舌を蛇のようにチョロチョロと出しながら。でもその背中にには大きなフックが突き刺さり、そこから十数本の縄が伸び、その端を握り締めて制御している人がいるので、なかなか進まない。口からはヨダレをだらだらと流し、背中に食い込んだフックは縄が引っ張られるものだから背中の皮膚が山のような形になっている。私はその様相の異様さに言葉 を失ってしまった。
 辺りには大勢の太鼓奏者が信者を極限のハイ状態を継続させるかのよう にビートを刻み続け踊る。カセットレコーダーを抱え、大音量でビートを流している親族もいる。
  立ちこめるお香の煙。見ているほうも気持ちがどんどんハイになる程すごい。これは一種の催眠術のようで、見ている人がいきなりト ランス状態に落ちることもよくあるのだそうだ。
 
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  タイプーサムは、こういった荒行ゆえに、インド本国では禁止されており、今やマレーシアとシンガポールだけでしか見ることができない。でも私は、この目の前の光景の中に人間としての偽りのない危うさと美しさを見た。そして苦行を自ら背負う信者をサポートする親族の絆や誇りを見たような気がする。

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