メキシコの遺跡発掘は、近年目覚しいようだ。
新しいワクワクの発見が結構あるのだ。
考古学者は、既説の歴史を変えなくっては、な~んて事もあるかもしれないぞ、と素人考えでも思ったりする。
チャパス州のトニナー遺跡、ここもまだ日本からのツアーは少ないだろうと思うが興味深い遺跡である。
メキシコ最高峰のピラミッドをもつ遺跡である。

写真の説明:メキシコ最大の高さを持つピラミッド アクロポリス
そして、マヤの遺跡で有名なパレンケの都と敵対する一大軍事国家であった事がわかっている。
マヤの繁栄期、かのマヤ象形文字が石碑に刻まれた時期、古典期のその最後の象形文字の日付、909年の日付が刻まれた石碑がみつかっている。
つまり、909年の日付が刻まれたトニナーの石碑を最後に、マヤのカレンダーの日付は石碑に刻まれなくなる。
マヤの古典期という繁栄期は、この日付を持って終わりとされる。
メキシコの遺跡の中で最も有名、かつ最大級のピラミッドは、なんと言ってもティオティワカンの太陽のピラミッドである。
太陽のピラミッドはその高さが65mである。(神殿の部分は再建されていない、一般的にティオティワカンのピラミッドの神殿部分は木造だったと推測されている。)
トニナー遺跡のアクロポリスはその高さ75mである。つまり、実は、メキシコ最大の高さを持つピラミッドである。
アクロポリスと名づけられているように、それは神殿としてのピラミッドだけでなく、そのあっちこっちに神殿の他に宮殿、テラスなどがある。
絶大な人工の建造物は、まさに多目的建造物である。

その大きな建造物は、他のメソアメリカのピラミッド、建造物と同様に時代を追って上に上に、もっと大きく、もっと大きくと築かれていったものである。
そして、最後に絶大の高さと大きさをもつ建造物、ピラミッドとなったものである。
現在までに発掘されて出てきているものも、漆喰の壁画などあり大変興味深い。

写真の説明:漆喰の壁画。マヤ神話の過去の4つの太陽が切られた人間の首で表されている。
だが、その表面だけでなく下のピラミッドの部分には、何が埋もれているか?まだまだこれからの発掘も楽しみ。
今年に、この都歴代王の中でも最強の王6代王 Linich Baaknal Chaaak王の墓も発見されたと。
トニナーは、一大軍事国家であった。
特に680年~715年の6代王は、711年パレンケのパカル(かの有名なお墓の主)の次男の王を戦争で捕らえた。
この出来事の後、最盛期のパカル王時代から、急激にパレンケの都は衰退していった事が覗える。
こんな史実からも、当時強力な国家として都が栄えていた事だろう。
考古学者も最近の発掘により、もともと考えられいた都の二倍の広さの都だったと認識し直したそうだ。

写真の説明:ピラミッドの上から望む風景。多分この周りに都が広がっていたであろうが、今は畑と牧草地。
メキシコの遺跡、観光地として有名なところだけでなく、メキシコには沢山の興味深い遺跡がある事も認識しなおす事も、メキシコの観光に関わっている者としてお勧めしたいと思う。
メキシコの遺跡の多くは、特に観光客の多い遺跡は、だんだんピラミッドなどに登るのが禁止になりつつある。
それは、危険という理由だけでなく、本当のところは、多くの人が登る事によって、1000年、2000年という歴史的建造物が破壊されるためであるだろう。
トニナーのメキシコ一高いピラミッド アクロポリスはまだ登れるよ!
行くなら、今のうちにいかが?
メキシコシティの人類学博物館だけでなく、今は、メキシコの地方の遺跡の博物館も大変充実した博物館が多くなっている。
トニナー遺跡の博物館もいい、是非トニナー遺跡に行ったらお見逃しなく!

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写真の説明:トニナー遺跡博物館の展示物 王を表す石彫

写真の説明:トニナー遺跡の博物館の展示物 時の記念碑 20年ごとに作られた記念碑
これは長期カレンダーの9.13.10.0.0.を表すと書かれていたが、さて今の何年にあたるのか?
長期カレンダーの13.0.0.0.0.が2012年12月21日になるのだそうだが。

写真の説明:トニナー遺跡の博物館のトイレ ちょっと変わっていて面白かったので写真撮ってしまった。
トニナー遺跡の博物館は、この地で取れる自然の資材で作られているとの事。うふふ。。。のポリシーか?