バニラのふるさと


ケーキやアイスクリームなどの香料に欠かせないバニラ。
そして多分香水を多く使う外国などでは香水の香りとしても使うだろう。
だが、日本では、よほどケーキ作りに凝った人以外は、本物のバニラを香料として使いたいなどと思わないだろう。
バニラアイスクリームの好きな人は多いと思うが、あの味は、バニラなしには成り立たないのだろう。
今の時代は、多分科学エッセンスなんてのもあるのだろうと思うが。

バニラと言っても、メキシコを思い出してくれる人はあまりいないようだが、実は、バニラの原産地、ふるさとは、メキシコである。
だが残念な事に、今世界のバニラ産地は、マダガスカルなど他の国が多く輸出国として知られていて、メキシコの名はあまり現われないようだ。

バニラの元々のふるさとは、メキシコの特にベラクルス州北部のトトナカ部族の住んでいた熱帯密林地区、エル タヒンなどの古代都市が栄えた地区である。

世界遺産にもなっているエル タヒンの遺跡からもっとも近い町、パパントラの周辺が今でも、メキシコのバニラ産地である。

私は一泊の小旅行でこのパパントラの小さな田舎町に泊まった。
今回の一つの楽しみはバニラの栽培の様子を見たいと言うのがあった。
エコロジー公園と名づけたところで、バニラなどの栽培もしていてそれを見せてくれると、メキシコの旅行案内本にあったのだ。

だが、運悪く、メキシコシティを出た時は曇り日だったが、途中からシトシト雨。
この雨は旅行中、ずーと降り続いた。
メキシコ湾あたりにやってくるノルテという寒波の影響。今年3度目の乾季の雨である。

一泊して、今日こそはいい天気になるかな?と期待したが、雨は止まない。
ホテルの人に聞いたら、この雨では公園は閉まっているだろう、公園は泥で歩けないだろうしと。
それでも、もしかして見せてくれるかも?の期待で、パパントラの郊外にあるその公園とやらにタクシーで行ってみた。

広い公園と言うから、りっぱな入り口があってと想像していたが、いや、まったくメキシコの普通の農家という趣。
柵や入り口は、密林の木で作られた手作り、その奥にある家は、田舎の小さな掘っ立て小屋風。
入り口は閉まっていたが、それでも大声で呼んでみたが、誰も現われない。
残念でした!

パパントラ出身のメキシコ人の友達がいるが、前に、私がバニラ、バニラと言うものだがら、彼、実家に帰った時、つるの延びたバニラを持って来てくれた事があった。
バニラは、熱帯の密林に育つランである。そのつるは十メートル以上もどんどん伸びて行くらしい。
私としては大事にしていたつもりだったけど、我が家はメキシコシティでも山の麓にあって、寒いのだ。
熱帯密林に育つのだ、日向でなく日陰に置くようにと言われて、せっかく貰ったバニラ、寒かったのかねえ?

もともと、バニラは原生林の密林の中、つまり、木々が生い茂る中で木に絡まり大きくなって行くのだった。
今は人間が多くなってそういう密林はなくなってきているわけで栽培されるようになった訳だから、農家では、オレンジの栽培と平行して、オレンジの木に絡ませて育てるのだそうだ。

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写真の説明:この写真は、大分前の記事で伝統的民間医療のところに載せた写真であるが、バニラが木に絡まって伸びて行く様子。
今回はバニラの植物の写真がまったく撮れなかったので。

友人の話で、バニラの花は5月頃咲くそうだ。
その花は今は人口受粉をしているが、昔野生では、我が家でもよく見かけるが花の蜜を吸う鳥ハチドリという小さな鳥が、花の蜜を吸いに来て受粉してくれると言うものだった。

そして、その花が実をつける。その実の莢を乾燥させたもの。大体15センチくらい。それがのバニラのエッセンスとして使われるものである。

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写真の説明:バニラの実の莢を乾燥させたもの。この4本で20ペソだった。

バニラの栽培の様子は見られなかったが、パパントラの町の市場で、バニラやバニラのお酒、バニラ入りコーヒー(ベラクルスの産物にコーヒーもある)などを買って帰る事にした。

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写真の説明:バニラエッセンスの他バニラのお酒、バニラ入りコーヒー、バニラエッセンス、バニラで作ったアクセサリーなど売っている。

ところで、前の記事に書いたボラドーレスをメキシコシティや色んな観光地でやっている人達は、このパパントラのトトナカの人たちである。
先スペイン期時代にはいろんな場所で宗教儀式として行われていたであろうこのボラドーレスも、今はこのパパントラのトトナカの人たちだけが継承しているという事だろう。
パパントラの町の広場の一角の町の教会の庭に高いボラドーレスの柱が立っていた。

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写真の説明:教会の庭に立っている高いボラドーレスの柱。高さが教会の尖塔と同じ位だった。
雨でもちろん、ボラドーレスをやるどころではないだろうが、教会の祭り、村の行事、何かあるたびごとに、ここでボラドーレスが行われるのだろう。

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写真の説明:パパントラの町の小高い丘の上に立っているボラドーレスの彫刻

メキシコシティの博物館の前や、ティオティワカンの遺跡の前でボラドーレスをやって見せてくれる人たちも、もちろんこのパパントラの町の人たちで、ボラドーレスをして、また、彼らの町の産物、バニラも彼らは売っています。

もし、パパントラまで行かなくっても、メキシコシティなどでボラドーレスをみたら、ついでにバニラを買ってもいいでしょう。

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