ネツァルコヨトル王の偉業


ネツァルコヨトル王はアステカ時代のテスココの王である。
彼は後世にその名を残した名君であった。

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写真説明:100ペソ札に描かれたネツァルコヨトル王

彼は知性豊かな詩人であり哲学者の文化人であり、勇敢な戦士であると同時に優秀な技術者であった。
彼の生い立ち、生涯、彼の恋、彼の詩、彼の哲学的思考などへの興味もあるが、
今回は、彼の土木技術者としての偉業を取り上げたい。

今、世界は、メキシコは、人口の増加と地球温暖化の気象変化の原因によって、水不足、水害の問題など治水の難問題を抱えている。

メキシコ タバスコ州は去年10月末、その州全体の80%が洪水で冠水するという大災害を蒙った。
確かに温暖化などによる集中豪雨であっただろうが、その洪水は、また政府の治水の怠りにより、防げるはず方策がなされていず、
大洪水による大災害となったと言われている。
為政者の治水の大切さを思う。

スペインのメキシコ侵略前、メキシコ中央高原に栄えていた当時最大の帝国、アステカ王国はまさに今現在の首都メキシコシティーの場所にあり、
それは、メキシコ アナワック盆地全体から、北方の過去の都であったティオティワカン方面まで広がった壮大な湖の中の小さな島の都であった。

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写真の説明:人類学博物館の当時の様子を描いた地図

水上都市ともいえるアステカ王国の治水問題は、重要な課題であったと言えるだろう。
命の水を常に人々に供給し、また、洪水などから都を守る治水行政は、いつの時代でも重要なことである。
このアステカ王国の治水の土木事業を請負い行ったのがネツァルコヨトルであった。
ほとんどの地区を覆うテスココ湖は塩水であったため、チャプルテペックの湧き水を、堤道を通して、水道を引き、常に水を島に供給した。
また、都を洪水から守るため、また、湖の水量が増え、淡水湖と塩湖の水が混ざるのを防ぐためにも多くの堤防を築いた。

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写真の説明:人類学博物館のアステカ王国の想像図。
堤の道に水道が引かれ、多くの堤防も作られていた様子。

アステカ王国のその様子の跡は、今は、見ることができないが、
彼自身の治国、テスココの地において、彼が築いたその水路、水道建設のの一部を見る事ができる。
それは驚きと感嘆である。

それは、テツコチィンコ(TETZCOZINCO)遺跡である。

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写真の説明 : テツコティンコ山全景 手前の山から水路が引かれている。

他の山の湧き水をもう一つの山を超え、彼の宮殿のあるテツコチィンコ山まで、山の谷間を埋め、そこの上に水路を築き、
テツコチィンコ山まで、引きその水路はテツコチィンコ山の中腹を半周する形で続く。

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写真の説明 : テツコティンコ山の神殿の上から、水路がひかれている前方の山を望む。

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写真の説明 :山の中腹を半周する水路

そして、王の風呂と呼ばれる一枚岩をくりぬいた風呂(?)に続き、

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写真の説明 :王の風呂

また、その先は山をちょうど半周した先の女王の風呂と呼ばれる直径約5mの円形の用水タンクまで続く。

そして、王の風呂から、その下の宮殿と呼ばれる建造物までも水路と崖の岩を切って作られた階段が延びている。

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写真の説明 :岩を切って作られた階段、その階段は下の宮殿の建物まで続く。

王の風呂や宮殿や女王の風呂の周りは、水が一年中供給され、庭に花が咲き乱れ、野鳥が飛びかい、
それは美しいものであったと考えれれている。

女王の風呂から地下を通る水路が山のすそ野まで通じていたという。

彼の住居と言われているテツコチィンコの山だけでなく、調査で、山の泉の水を多くの水路によって、
彼の治国の領主達の住居にも行き渡るようになっていたという事が分かっているようだ。

メキシコの先スペイン期文化においての農業はほとんどが雨によるものであったが、
また、飲み水をいかにして得るかとうのは、地区地区でそれぞれの気候風土の条件で違うようだが、
為政者にとって、水をいかに得るかというのは大変重要な事であったであろう。

そして、それは、今もそうである。
乾燥地がほとんどのメキシコにおいて、水問題は、これからますます重大な課題である。

ネツァルコヨトルの山を駆け抜ける水路建設は、やはり、素晴らしい土木技術者としての能力を後世に示すものであろう。

追記
ネツァルコヨトルのお風呂として知られたテツコチィンコ遺跡は、あまり観光でも知られていず、殆ど訪ねる人もなく、監視の人もいず、入場料もなし、だだの散歩道の山と言ったふう。
結構なハイキングコースであるが、興味があったら、是非訪れてみてください。

メキシコシティーからテスココ市へ行きそこから、車で15分くらいの場所。
バスで行く場合、東バスターミナルからテスココ行きのバスが10~15分おきに出ていて便利。
テスココからはタクシーを利用するのが分かりやすくてよい。
タクシー料金は、40ペソ(2008年1月現在)

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