「シュウィンゲン―スイスの根っこ:その1」

08 4月
2011年4月8日

スイスの国技にあたるスポーツとは、スキーでもサッカーでも馬術でもなくシュウィンゲンSchwingenと呼ばれるお相撲だ。
主にドイツ語圏のスイスで盛んなこのシュウィンゲン、日本の相撲と比較して似ている部分は、例えばスポーツであると同時に伝統行事でもあること、シュウィンガーケーニックSchwingerkoenig(シュウィンゲン王者、スイス相撲の横綱のこと)がスポーツ選手としてはもちろん人間としても尊敬と憧れの対象であること(なので競技以外の場面でも王者の発言や行動にはそれなりのものが求められる)など。絶対的な違いはシュウィンガーSchwinger(力士)がプロではないこと(全員が通常は大工さんだったり農夫だったりする「アマチュア」だ)と、成績優秀者や大会の優勝者には名誉と地位を象徴する冠の他に大変実用的な商品(大会のスポンサーにもよるが、車のタイヤセットとか電動のこぎりとか巨大なカウベルとか)が出るものの、賞金は出ないことだ。3年に1度開催される全国大会の優勝者商品は、何と雄牛!だ。

シュウィンゲンの試合は基本的に屋外で行われ、シュウィンガーは「まわし」ではなく特殊な形状の皮製半ズボンを着用して試合に臨む。

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取り組みはおが屑を円形に敷いた闘技場の上でシュウィンガー同士が組み合った状態からスタートし、どちらかのシュウィンガーの背面側の両肩がおが屑面に着くことで勝敗が決着する。闘技リングの外に押し出したりただ倒すだけではダメなのだ。取り組みには時間制限があり、時間内に両肩が着かない場合は引き分けという結果もある。さらに「魅力的な試合だったか」など戦い方による複雑な得点制度(敗者にも得点が付く)もあるので、単純な勝ち負けだけでトーナメントが進まない所なども興味深い。

シュウィンゲンの大会会場では、相撲闘技場の側でシュタインシュトーセンSteinstossenと呼ばれる「石投げ競技」もセットで行われるのが普通だ。

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ベルン州のインターラーケンでは200年以上の歴史と伝統を誇る「ウンシュプンネン・シュウィンゲトUnspunnen Schwinget」と呼ばれる大会があり、この大会のシュタインシュトーセンでは83.5kgもの重さがあるウンシュプンネン・シュタインUnspunnensteinという名前の(これまた歴史ある)特別な石が使われるのだが、他の大会でも基本的には40kg以上ある石が用いられ、これを屈強な男性が担ぎ上げてえいやーっ!と投げ飛ばしその飛距離を競うのだ。ちなみに現在までの最高記録は、先述のウンシュプンネン・シュタインで4メートル11センチ。大男がおが屑にまみれるシュウィンゲンも力任せに石を投げ飛ばすシュタインシュトーセンも、お世辞にも洗練されているとは言い難い行事だが、スイスが本来どういう性格の国であるかを象徴するひとつの例でもある。

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